晴れ、5度、68%
この家の整理をしていた時に見つけた小箱に入っていた高野杉のぐい呑です。母の使っていた食器はほとんど捨てました。いい品もありましたが、欠けやヒビも多く私の好みのものでないものはさっぱりと始末しました。小箱の木製のぐい呑は5つ揃いです。頂きものでしょうか?母は使ったことがなかったと思われます。木肌を見て杉から作られているとわかります。素の木の器が好きです。杉材だと香りがあります。箱ごと残したのはもう8年も前のことです。
この家に戻って来てこのぐい呑5つは私の食器棚に収まりました。期待していた香りがないのが残念です。酒器として使おうか?小さな向付として使おうか?引き出しに並ぶ5つを手に取ってはまた戻しました。
先日主人が帰宅した折、晩酌のぐい呑を探していました。ぐい呑を数種類用意してあります。その晩のぐい呑を選ぶのもまた楽しいものです。この高野杉のぐい呑を主人はまだ知りません。別の引き出しの奥に仕舞っていました。思い出して取り出すとその晩のお酒のお供に使ってくれました。 端正な形、清々しい木肌、杉材はとても軽く仕上がります。翌朝、丁寧に洗いました。底には「高野杉」と焼印が押されています。しっかり乾かそうと窓辺に置きました。引き出しにしまう時、手に取ると「あら、杉の香りが。」水を一度含み乾燥する時に香りが立ち始めたのだと思います。料理やお酒を邪魔する香りではありません。スッと香ってはスッと消える香りです。その晩も主人はこのぐい呑を使いました。
杉材のわっぱのお弁当箱をいくつか持っています。長年使うと杉の木目が艶やかに浮かび上がって来ます。手に触れられ、幾度も水をくぐって木の器は変化して行きます。香港に戻る主人の荷物にこのぐい呑が一つ入りました。ご所望です。
私が生きている間に「高野杉のぐい呑」を艶のある木の器に育ててやりたいと思います。