まっかちゃんのブログ

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大阪の宗教空間

2012-05-14 14:38:57 | 文化・文学・アート
11日追手門学院大阪城スクエアで、「大阪文化の深読み講座」第2回「大阪の宗教空間」を受講しました。講師は、大阪城天守閣研究主幹 北川央さんです。内容は以下の通りです。

1、生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)坐摩神社(いかすりじんじゃ)
・生國魂神社と坐摩神社は伊勢神宮成立以前のわが国の国家神。生國魂神社は「大八洲(おおやしま)の(みたま)」すなわちわが国の土の霊魂を祀り、坐摩神社は「大宮地(おほみやどころ)(みたま)」、すなわち大王(天皇)の宮殿が営まれる土地の守護霊を祀る。両神社の祭神は、「宮中神卅六座(きゅうちゅうのかみさんじゅうろくざ)」に数えられ、宮中においても、「生島の巫(いくしまのかんなぎ)」「坐摩の巫(いかすりのかんなぎ)」と呼ばれる専門の巫女が」いて奉仕した。
生國魂神社は、大化の改新(645)で孝徳天皇が遷都した難波長柄豊碕宮(なにわながらとよさきのみや)の近傍に鎮座し、室町時代後期には現在の大阪城地にあった大坂(石山)本願寺に近接して鎮座した。
・羽柴(豊臣)秀吉による大坂築城、それにともなう城下町建設、また大坂城の拡張工事などによって、生國魂神社も坐摩神社も遷座。
・坐摩神社の社地は同神社の「行宮」となり、江戸時代の大坂城本丸には生國魂神社の神木とされる「生玉の松」があった。

2、四天王寺とその周辺
・四天王寺は聖徳太子により創建された。南大門・中門・五重塔・金堂・講堂が南北に一直線に並ぶ伽藍で、配置は四天王寺式伽藍配置と呼ばれる。本尊は救世観音。
・多くの子院と周辺には七宮が鎮座。
・太子信仰の聖地。
・浄土信仰の聖地。

3、熊野神社と渡辺別所
・渡辺津を起点とする熊野街道。
・上町台地には、窪津(渡辺)王子、坂口王子、郡戸王子、上野王子、安倍王子が鎮座。
・渡辺津にあった渡辺浄土堂は、重源が諸国に設けた七別所の一つである渡辺別所の中心施設。⇒渡辺津から四天王寺周辺に至る上町台地一帯が浄土信仰の聖地になった。

4、浄土真宗の本拠
・明応5年(1946)本願寺八世蓮如が現在の大阪城地に大坂(石山)御坊を建立。この大坂御坊はやがて本願寺本山となり、大坂は本願寺王国の首都に。
・大坂本願寺は10年にわたる織田信長との戦争の結果、大坂を退去。紀州鷺森、泉州貝塚を経て、天正14年(1586)にはいちど大坂
・天満に戻ってくるが、文禄元年(1592)京都・七条堀川(現、西本願寺)に移転。江戸時代には、船場の西本願寺津村別院(北御堂)、東本願寺難波別院(南御堂)が浄土真宗の拠点。

5、寺町
・羽柴(豊臣)秀吉の大坂築城にともなう城下町建設で成立。わが国初の「寺町」。
・圧倒的多数を占める浄土宗寺院。一方で、浄土真宗寺院が一ケ寺もないのが大きな特徴。
・都市巡礼の場。
・さまざまな庶民信仰の場。
・七墓巡り。
講義の後、北川央さんと高島幸次さん(大阪大学CSCD招聘教授、追手門学院大阪城スクエア企画アドバイザー)の対談がありました。

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大阪の知的風土-「懐徳堂」-

2012-05-11 00:53:13 | 文化・文学・アート
8日立命館大阪キャンパスで、立命館大阪プロムナードセミナー「哲学・思想の宇宙をめぐる-大阪・京都の系譜-」第1回「大阪の知的風土-懐徳堂-」を受講しました。講師は、大阪大学大学院文学研究科 教授の湯浅邦弘さんです。内容は以下の通りです。

1、懐徳堂(かいとくどう)の歴史
1)江戸時代の懐徳堂
 1724(享保9)大坂の有力町人「五同志」、懐徳堂を創立。初代学主に三宅石庵就任。町人と武士が一緒に学ぶ。
 1726(享保11)懐徳堂に官許の認可がおりる。半官半民。
 1788年(天明8)老中首座の松平定信が来坂、中井竹山(四代目学主)がその諮問に答える。
 1838(天保9)懐徳堂から300mほど離れた場所に、緒方洪庵が適塾を開学。
 1869(明治2)財政逼迫し、学舎を閉鎖。
2)再建された懐徳堂(重建懐徳堂)
 1910(明治43)懐徳堂記念会設立。
 1916(大正5)重建懐徳堂竣工。
 1926(大正15)懐徳堂創学二百年、重建懐徳堂十周年記念として、懐徳堂書庫ならびに研究室竣工。
 1945(昭和20)大阪大空襲により、書庫部分を除き重建懐徳堂焼失。
3)今に生きる懐徳堂
 1949(昭和24)懐徳堂記念会、懐徳堂蔵書を大阪大学に寄贈。「懐徳堂文庫」と命名。
 2001(平成13)大阪大学創立七十周年記念事業の一環として、マルチメディア技術による懐徳堂の顕彰が行われる。
 2004(平成16)懐徳堂研究の総合サイト「WEB懐徳堂 http://kaitokudo.jp 」公開。
 2010(平成22)懐徳堂記念会創立百周年。

2、懐徳堂記念会創立百周年記念映像「知徳の遺産、世紀を超えて」のDVDを映写。

3、懐徳堂の精神
 ①懐徳堂幅 初代学主三宅石庵の手になる書幅。論語の「君子懐徳(君子は徳を(おも)う」が有力。
 ②「論孟首章講義」初代学主三宅石庵の議事録。「仁義をする者は、利はせねども、自ら利がついてまはるなり」と説く。
 ③入徳門聯 中井竹山が記した竹製の(れん)。「力學以修己」「立言以治人」-學に(つと)めて以て己を修む。言を立てて以て人を治む。
 ④「宝暦八年定書」全三条 懐徳堂の書生間の交わりについて、貴賤貧富を問わず同輩であるとする。
 ⑤天図 中井履軒が作成した木製回転式の天体図。
 ⑥「越俎弄筆(えっそろうひつ)」中井履軒の人体解剖図説。前野良沢・杉田玄白らによる「解体新書」完成の前年に成書。  

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