まっかちゃんのブログ

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競争から協調へ-新聞業界の生き残り策

2011-02-19 12:35:55 | 社会・経済
17日、大阪市立大学文化交流センター2月専門講座を受講しました。マスコミコース<ネット時代の新聞の使命を考える>の1回目は「競争から協調へ-新聞業界の生残り策」と題して元朝日新聞記者の青木耕治さんが講義を行いました。

1、新聞業界の現況
a)部数減が止まらない
新聞業界全体の発行部数は、平成12年には5380万部ほどだった。それが平成21年10月には5035万部に減少、さらに22年10月は約4900万部にまで減った。この1年間で100万部減少したことになる。6年連続の減少。(日本新聞協会調べ)

平成22年12月現在の購読部数は、①読売新聞1001万部、②朝日新聞795万部、③毎日新聞359万部、④日経新聞305万部、⑤産経新聞175万部、他に中日新聞グループ338万部。

b)広告出稿量も減少
平成21年度の業界の広告費総額は6739億円で前年比18.6%減。この10年で半額に落ち込み、初めてインターネットの広告費を下回った。

c)多メディア化で、速報性に劣る
インターネットはリアルタイム。
新聞は夕刊締切が午後1時30分、朝刊締め切りが午前1時50分。これは京阪神の真ん中に住んでいる人に配られる新聞の締め切り。周辺部や田舎はもっと締切が早い、午後10時半以降に発生した事件などは2日遅れになる。

2、生残り策を模索
a)印刷の提携
各地で新聞社が地元の新聞社に印刷を委託している。なんと、読売と朝日も相互に印刷を委託している。

b)販売の提携
地方では地方新聞に中央紙が販売を委託する例が目立つ。2007年に販売の提携を結んだ朝日、日経、読売の3社は、とくに都会では3社の販売店が話合って、販売を分担するケースが相次いでいる。「このマンションは朝日さんで」などというように。

c)記事の相互交換
合理化と地方の切り捨て。
地方取材網だけでなく、本社内でも人減らしが。
朝日は定年後不補充では追いつかず、4、50代に希望退職を募る。
毎日は共同通信に再加盟するとともに、傘下の地方紙とも個別に契約を結び記事の提供を受ける。
ついには朝日、読売の両社でも記事交換の動きが。

d)夕刊の廃止
産経新聞の東京本社版夕刊が2002年3月30日で廃止。大阪の夕刊は継続するものの、それと引き換えられる形で大阪新聞も同時期に産経夕刊に紙面統合する形で休刊となり、大阪府の夕刊地方紙は全滅となった。
毎日も北海道で夕刊が2008年8月末で廃止。
朝日は大分、佐賀県の夕刊を2010年3月末で廃止した。

3、将来の展望
a)電子新聞
日経は昨年3月から新聞をパソコンと携帯電話で読める有料の「日本経済新聞 電子版」(通称Web刊)を発行した。
朝日は1月14日から、リコーと提携し新しいビジネス向け有料配信情報サービス「News Plaza」を始めた。

b)データベースコンテンツの販売
新聞各社は、長年蓄積した記事などのデータベースコンテンツの販売を始めている。
戦前・戦中・戦後の膨大な写真資料をデータベース化したフォットアーカイブも、各社で競い合って利用を呼び掛けている。

c)不動産業
日経、朝日、読売の新聞大手3社は、立地条件の良い本社土地を有効活用して、不動産事業に乗り出している。
すでに、日経は2009年4月に新社屋を完成させ、貸し会議室やホールの利用を呼び掛けている。
朝日は来年秋に大阪本社新社屋をオープン、読売東京本社は再来年秋に完成の見込み。  

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