確かに、私はここにいた。
そう、あの時もここに・・・。
遠いむかしの幼い記憶が、靄のように立ち込める。
それが、やがて朧げな形を成す。
・・・・・・。
ホテルの一室で目覚めた日。
都会の朝が、たいそう穏やかなことに驚く。
鳥のさえずりに交じり、子供たちの声が部屋まで流れ込んでくる。
ホテル前の道をゆくのは、私と同じ小学生の登校班。
初めての地でむかえる朝は、音も匂いも違う。
朝日に輝く、真新しい一日の始まりだ。
あの日は土曜日。
私は、学校を休んじゃった。
叔父の結婚式だから。
ちょっぴり心もとなく落ち着かない。
気持ちのどこかで、微かなスリルを味わっていた。
ホテルの、一階と二階をつなぐ階段。
その際に立って、下のフロアを見下ろしていた。
・・・・・・。
思い出すのは、ただそれだけ。
あとの記憶は、一切合切が消え失せている。
もちろん結婚式のひとかけらさえも。
今秋の、紅葉の盛りをちょっと過ぎたころ。
ホテル平安の森 ロビーレストラン京わらべ でランチをいただいた。
週変わりメニューの、
「海の幸のアクアマーレ」 or 「鶏肉のタイ風オーブン焼き ココナッツ風味」
から一皿を選び、サラダ、惣菜、パン、デザート、飲み物がバイキング。
惣菜の品数は少ないが、千円ランチだからねぇ。
パンはトースターで軽く焼いて、もっちっりと美味しかったし。
〆のコーヒーまで付いてりゃ、上等だ。
入口を入って左側がレストラン。
私の席からは、フロアの右側が見渡せた。
ロビーの壁に沿って、二階へ伸びる階段がある。
・・・・・・。
なんだろう・・・その階段が妙に気になる。
この胸の引っかかりは・・・なんだろう。
・・・・・・。
私の視線が捉えたものは・・・。
二階から見下ろす子供の私。
刺繍をあしらった、ピンクのジャンバースカートとボレロのアンサンブル。
・・・そう。
確かに、私はここにいた。
あの時もここに・・・。
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