大和郡山市散策の日、夜は西大寺まで戻り「あじ処 なる」で一杯飲もうと決めていた。
なるの開店までには、まだ2時間ほどあった。
時間潰しの場に選んだのは、近鉄大和西大寺駅中の「チャオブレッソ」。
パン屋の併設喫茶で、様々に美味しそうなにおいがこれでもかと誘惑を仕掛けてくる。
だが、そこは我慢のしどころと、お喋りやコーヒーで気を紛わす。
それでも持て余した時間を、近鉄百貨店の売場巡りで使い果たし・・・。
17時の「なる」開店と同時に、こんな壁際席の一番客となった。
ボリュームを落としたBGMの店内で、客が私たちだけというのは、静かすぎて妙に落ち着かない。
会話がどちらからともなく小声になり、周囲が気になりだす。
すると、スタッフらの暇だよ~って雰囲気が伝わってきた。
厨房からひそひそと聞こえくる内容にクスッと笑えたりする。
どうにもこうにも手持ち無沙汰で仕方がない様子だ。
その日は、刺身がどれでも300円のサービスデー。
サーモン好きの娘が、他はいいからサーモン、サーモン、サーモンと連発するのを半ば聞き流し、ピックアップした3種は、プリップリの鮮度抜群。
ファーストドリンク1杯サービス券でいただいた、霊芝の梅酒ソーダ割りでお疲れ様~乾杯♪
梅の風味濃く上品な口あたりに、娘が承知で頼んだのかと思いきや、梅酒の中で最も高価なのを
選んだとチャッカリ言ってのける。
同じのにして良かったやろと同意を求められ、う、うん、と頷いてしまった。
なる風ロコモコサラダ、だし巻きたまご、そばめしを追加した。
だしまきを食むと、卵とは異質の軟らかい何かが歯に当る。
不思議に思い切り口を見ると、山芋らしき細かい粒々がたくさん認められた。
ついでの時に若い男性スタッフに問いかけると、すりおろした山芋が交ぜてあると言う。
山芋は分かるけど、どう見たってみじん切りでしょ、と声には出さず、娘と顔を見合わせ肩をすくめた。
料理にも力を入れている居酒屋で、ハズレなしが嬉しい。
友と2人でしょっちゅう通っていた当時は、カウンターの左端席を好んだ。
と言うのも、顔見知りになった料理人と話すのが楽しみの一つでもあったから。
また、とても細やかな気遣いをする店長の、ある持て成しは今も心に残っている。
いっとき私は体調を崩しアルコールを断っていた。
それを知った店長は、私のために熱いお茶を急須ごと出してくれるようになった。
マイペースで飲めるように、との気持ちのこもったお茶の美味しかったこと。
2人の姿を見かけなくなって久しいが、そんな昔が私の中に住み着いているから、時に立ち寄ってみたくなる店だ。
また「ファーストドリンク1杯サービス券」をもらっちゃったしね~♪