「まえがき」
「ニューヨーク恋物語」を書き始める時、自分なりに起承転結を考えていました。
そして細かな表現は、行きあたりばったりで、その時の気分で書いて来ました。
![A1010 A1010](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/bd/b925d595f1c03ce4edb1379d7799e046.jpg)
けれど、大沢が今日子にプロポーズをする言葉だけは決めていて
それを最初から、HPの表紙に書いていました。
ところが、これを書いたばかりに、ここに持っていくまでが苦労しました。
小説とは、最後まで書きあげて、最もクライマックスのシーンを
「表紙の帯の部分」に持ってくるものなのに
私の場合は、帯の部分が出来ていて、中身が書けていなかった。
![J909 J909](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/b9/f75b1afdc531df1e02ee4ed6a1e862ab.jpg)
素人ならではの「無知」な執筆。
今、3年前を振り返ると、その「無知」も懐かしいです。
さて、この物語もあと2章で終わりです。
「ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編」のクライマックスシーンです。
![O1616 O1616](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/89/5b416cbe2eb2e24ba7934c52087cbc1e.jpg)
私が帯の部分として、最初からHPの表紙に書いた
セントラルパークを舞台にした、大切なシーンをここに書いて
今日の「まえがき」とします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/present.gif)
「私 この世で一番大切なものがわかったわ。
だからニューヨークに来たの。
この街で、あなたと一緒に暮らしたい」
今日子はそう言うと、大沢の胸に顔を埋めた。
ニューヨークの秋は早い。
陽はゆっくりと、西に傾き始めた。
大沢はポケットから、指輪を取り出して
今日子の細い指にはめた。
「すぐに結婚しよう」
大沢はためらいもなく言った。
今回の物語の挿絵の写真は、すべて私が撮ったものです。
尚、上の写真は
1 セント・パトリック教会
2 グランド・ゼロ
3 ブロード・ウエイ
</object>
ミューヨーク恋物語2008 BGM 愛し君へ(森山直太朗)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/present.gif)
「ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編」
![11ny1 11ny1](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/85/74297f8010aaaa4f67aa9417251f88c6.jpg)
昨日の午後成田を発ったノースウエスト航空は
まもなくジョン・F・ケネディ国際空港に到着する。
![11ny2 11ny2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/43/a61e8fa283cb8ed6dc1782d23b1f012e.jpg)
機上の人となった今日子は、機内ではほとんど眠れなかった。
大沢に会えると思うと、溢れる気持ちを抑えることが出来なかった。
時々自分の腹部に触れてみる。
ここに大沢との子供がいると思うだけで
今日子は何度も涙ぐみそうになった。
![11ny3 11ny3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/45/32660197cf3a99087643e39ce6cd8fd7.jpg)
妊娠のことを伝えれば、どんなに喜んでくれるだろう。
大沢はいつも大きな愛で、今日子を包んでくれた。
早く早くと、気持ちが急いた。
機内を走りたい衝動に駆られた。
![11ny4 11ny4](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/23/1f428588e1239b2adda02b685846d866.jpg)
嬉しい報告をニューヨークで出来る。
今日子の気持ちは、次第に高まっていった。
![11ny5 11ny5](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/3e/08e29c6865b63265d89d8a451d4360c9.jpg)
税関を通過して、空港の到着ロビーに行くと、大沢がいた。
大沢はすぐに、今日子を見つけてくれた。
![11ny6 11ny6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/aa/2dabb33e8dac4a8f236076d49ac79bb0.jpg)
「久しぶり。 よく来たね。 今日子、会いたかった。」
「私もよ。 本当に会いたかった。」
二人はお互いの気持ちを確認しあった。
大沢は今日子を車に乗せると、空港をあとにした。
![11ny7 11ny7](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/8d/fcec99747b11d10efed938749630389e.jpg)
大沢のアパートに着くと、今日子は目を輝かせた。
大沢がニューヨーク支店に転勤になって1年半。
ニューヨークにいる大沢を訪ねるのは初めてだった。
「ここがあなたのお城なのね。 思ったよりきれいだわ。」
「今日子に叱られるから、昨夜は思いっきり片付けた。」
「あなたはいつも一夜漬けね。」
![11ny8 11ny8](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/78/c9a68e9b56b09532a36922603c0808fb.jpg)
そう言いながら振り返ると、ふいに大沢に抱きしめられた。
大沢は今日子にキスをした。
甘くとろけるような大沢のキス。
横浜で過ごす一人の夜
今日子は、何度大沢の唇の感触を思い出したことか。
大沢のキスは、いつも蜜の味がした。
![11ny9 11ny9](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/2a/1cba088ec868a981157f8cea8a975e54.jpg)
「街に出て食事をしよう。 少し今日子を案内したい。」
大沢のアパートから歩いてセントラルパークへ行った。
「この公園は、昼間芝生に座って日光浴や読書や
ピクニックランチを楽しむ人が多いんだ。
ニューヨークの人たちの心のオアシスなんだ。」
「セントラルパークは、毎日僕のジョギングコース。
その向こうのカフェで朝食を済ませる。 明日の朝、一緒に来よう。」
![11ny10 11ny10](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/95/060f0583b5d02f8e8da858ad72c4ba97.jpg)
「目を閉じると、あなたの風を感じるわ。
この街で息づいているあなたの風よ。
私、ニューヨークに来てよかった。 本当に来てよかった。」
二人はセントラルパークをゆっくり歩いて行った。
秋の風が、肌に心地よい。
![11ny11 11ny11](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/a4/3f412f1caf49a871fd1a901c5694f989.jpg)
二人はベンチに腰を下ろした。
今日子は大沢の顔を見て微笑んだ。
「どうしたの? 僕の顔に何かついている?」
大沢は今日子に尋ねた。
今日子は、なおも微笑みながら、大沢に語りかけるように言った。
![11ny12 11ny12](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/4c/3e8d6a329c64d4a9a8ee78706023bb0c.jpg)
「私、赤ちゃんが出来たの。」
大沢は目を丸くした。
そして今日子を見つめた。
「メールで知らせなくてごめんなさい。
でもこんな大切なこと、メールじゃなくて
私、直接あなたに言いたかったの。
そして二人で喜びを分かち合いたかったの。」
これまで何も言わなかった今日子だったのに
妊娠したことを大沢に告げると、堰を切ったように言葉が続いた。
![11ny13 11ny13](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/2f/cd0b0e05edd6f707ad532ee5c433ef45.jpg)
「もう母子手帳ももらったわ。
来年の三月には、私たちの赤ちゃんが生まれる。
私たち、パパとママになるのよ。」
![11ny14 11ny14](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/e2/91108e3bed5864c8c3b8b02786142800.jpg)
「私、この世で一番大切なものがわかったわ。
だからニューヨークへ来たの。
この街であなたと一緒に暮らしたい」
今日子はそう言うと、大沢の胸に顔を埋めた。
![11ny15 11ny15](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/0c/47da705e1bdb54b268c825e8925df932.jpg)
ニューヨークの秋は早い。
陽はゆっくりと、西に傾き始めた。
![11ny16 11ny16](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/2e/a070003d811621084de2b098de4edd1a.jpg)
大沢はポケットから指輪を取り出して、今日子の細い指にはめた。
「すぐに結婚しよう。」
大沢はためらいもなく言った。
夢にまでみたニューヨークで今、今日子は大沢のプロポーズを受けた。
妻になる喜び、母になる喜びが、同時にやって来た。
今日子は大沢に肩を抱き寄せられると、涙が溢れて来た。
![11ny17 11ny17](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/c0/eec10bba5a47574bdbb6cb6e12c52916.jpg)
それから二人は夜の街へと出かけた。
「今日子、ここがミッドタウンだ。
世界に名だたるブランドショッピング街の5番街。
エンターテイメントの最高峰のブロードウエイ。
眠らない街の代名詞、タイムズ・スクエア。
高層ビルが軒を連ねるビジネス街。
今日子、今夜はニューヨークを感じてほしい。」
![11ny18 11ny18](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/3b/24fec6edfdde94780a5eff2bf137cf48.jpg)
「この街の熱気が伝わってくるわ。
私もこの街が好きになれそうよ。」
![11ny19 11ny19](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/be/ae705813ebbb1c9857b594a68ce4155a.jpg)
二人はタイムズ・スクエアの近くのレストランに入った。
久しぶりに向き合っての食事だった。
![11ny20 11ny20](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/38/a1d30e3047136fa9b0f5f83a31d4049a.jpg)
いつもならワインかブランデーで乾杯する二人だったが
今日は二人とも、オレンジジュースをグラスに入れた。
「あなたまでオレンジジュースにすることないのに。」
「僕も、もうすぐパパになるから。」
大沢は訳のわからないことを言って、今日子を笑わせた。
ニューヨークでの初めての夜であった。
![11ny21 11ny21](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/33/ffcaf071fbc65d37d9f18aaca85b8bf0.jpg)
食事が運ばれて来た。
「今日子、何でも食べられるの?」
「そうなの。 妊娠にも気づかないくらいで。
夏風邪だと思って病院に行ったら、おめでただと言われた。」
![11ny22 11ny22](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/00/2b5dc02720de64cb81716c4298ee0848.jpg)
「今夜はしっかり食べて。 今日子は二人分食べなきゃ。」
「でもお医者さまは、太りすぎはよくないって言ったのよ。」
「セントラルパークで、今日子から聞いた時は驚いた。
でも嬉しかった。
僕は今日子をずっと待っていてよかった。」
![11ny23 11ny23](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/02/7c8f1bdbae9988bf3e3ef510d50ffccb.jpg)
「神様は僕たちに、赤ちゃんまで授けてくれた。
僕は人生で、今日ほど嬉しい日はなかった。
これから僕のすべてをかけて、今日子を愛してゆく。
僕を信じて、ついて来てほしい。」
![11ny24 11ny24](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/e0/cb7ac135a16c42419ecb753569db7c88.jpg)
今日子もまた、今日ほど嬉しい日はないと思った。
妊娠を祝福してくれて、大沢にプロポーズされて・・・・
人生最良の日だと思った。
5日間の休暇はあっという間に過ぎていった。
今日子の帰国の日が来た。
あと1ヶ月もすれば、ニューヨークで二人の新婚生活が始まる。
![11ny25 11ny25](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/bb/0da6703e77e2a115b2a6c3015b90b0b4.jpg)
「セントラルパークの近くにある教会で、結婚式を挙げよう。
今日子と僕とベイビーの三人の結婚式だ。」
「・・・・・ ・・・・・ ・・・・・。」
![11ny26 11ny26](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/c4/b12e7a04369bde5b776528a7c3ad1d91.jpg)
「僕は、今日子のウエディングドレス姿を早く見たい。」
「・・・・・ ・・・・・ ・・・・・。」
今日子は幸せな時ほど、会話が続かないものだと思った。
言葉が出なくて、うなずくだけだった。
それでも今日子の気持ちは、大沢に伝わった。
![11ny271 11ny271](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/1c/26adab952dc0d3dcde1fe21577a5fe53.jpg)
二人は部屋のカーテンを選んだり、台所用品を揃えたり
今日子のために、クッションのいいソファーも買った。
![11ny272 11ny272](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/8a/fefe50ba1fbcb250b8b43fd227dc28c1.jpg)
ニューヨークの観光よりも、新しい生活に向けての準備に追われた。
けれど二人には、とても充実した時間だった。
そんな楽しい毎日は、あっという間に過ぎて行った。
![11ny28 11ny28](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/24/34989547e2c14310a19dd5429262c12b.jpg)
「10月半ばには、ニューヨークに来るから、あと1ヶ月待っていて。」
「わかった。
今日子にはずいぶん待たされたから1ヶ月なんてすぐだよ。
こんな幸せ、何だか夢じゃないかと思ってしまう。
これは夢で、明日の朝起きたら、夢が消えていそうな気がする。」
「大丈夫よ。 夢じゃない。 現実だよ。
今日子は、どこへも行かないし、消えたりしない。
あなたの今日子は、きっとまたニューヨークに来る。」
![11ny29 11ny29](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/9b/3cacc376a189020734470928ee41bbaa.jpg)
今日子はそう言うと、大沢の車に乗った。
エンジンをかけると、車は空港へと走り出した。
![11ny30 11ny30](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/0f/85c42bf9bc4e0c03225bd9c016c6cecc.jpg)
そして今日子は機上の人となった。
「あなたの今日子は、きっとまたニューヨークに来る。」と言った言葉が
大沢の耳に、何度も何度もこだましていた。
最終章へ 続く・・・・
![Banner2_2 Banner2_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/82/7cfaddb0656b9649495301460a84d5c5.png)
「ニューヨーク恋物語」を書き始める時、自分なりに起承転結を考えていました。
そして細かな表現は、行きあたりばったりで、その時の気分で書いて来ました。
![A1010 A1010](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/bd/b925d595f1c03ce4edb1379d7799e046.jpg)
けれど、大沢が今日子にプロポーズをする言葉だけは決めていて
それを最初から、HPの表紙に書いていました。
ところが、これを書いたばかりに、ここに持っていくまでが苦労しました。
小説とは、最後まで書きあげて、最もクライマックスのシーンを
「表紙の帯の部分」に持ってくるものなのに
私の場合は、帯の部分が出来ていて、中身が書けていなかった。
![J909 J909](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/b9/f75b1afdc531df1e02ee4ed6a1e862ab.jpg)
素人ならではの「無知」な執筆。
今、3年前を振り返ると、その「無知」も懐かしいです。
さて、この物語もあと2章で終わりです。
「ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編」のクライマックスシーンです。
![O1616 O1616](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/89/5b416cbe2eb2e24ba7934c52087cbc1e.jpg)
私が帯の部分として、最初からHPの表紙に書いた
セントラルパークを舞台にした、大切なシーンをここに書いて
今日の「まえがき」とします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/heart.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/mist.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/birthday.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/happy01.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/bar.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/ribbon.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/virgo.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/tulip.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/bell.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/cherry.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/present.gif)
「私 この世で一番大切なものがわかったわ。
だからニューヨークに来たの。
この街で、あなたと一緒に暮らしたい」
今日子はそう言うと、大沢の胸に顔を埋めた。
ニューヨークの秋は早い。
陽はゆっくりと、西に傾き始めた。
大沢はポケットから、指輪を取り出して
今日子の細い指にはめた。
「すぐに結婚しよう」
大沢はためらいもなく言った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/heart.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/mist.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/birthday.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/happy01.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/bar.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/ribbon.gif)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/tulip.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/bell.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/cherry.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/present.gif)
今回の物語の挿絵の写真は、すべて私が撮ったものです。
尚、上の写真は
1 セント・パトリック教会
2 グランド・ゼロ
3 ブロード・ウエイ
</object>
ミューヨーク恋物語2008 BGM 愛し君へ(森山直太朗)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/heart.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/mist.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/birthday.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/happy01.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/bar.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/ribbon.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/clover.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/virgo.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/tulip.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/bell.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/cherry.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/present.gif)
「ニューヨーク恋物語 第11章ニューヨーク編」
![11ny1 11ny1](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/85/74297f8010aaaa4f67aa9417251f88c6.jpg)
昨日の午後成田を発ったノースウエスト航空は
まもなくジョン・F・ケネディ国際空港に到着する。
![11ny2 11ny2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/43/a61e8fa283cb8ed6dc1782d23b1f012e.jpg)
機上の人となった今日子は、機内ではほとんど眠れなかった。
大沢に会えると思うと、溢れる気持ちを抑えることが出来なかった。
時々自分の腹部に触れてみる。
ここに大沢との子供がいると思うだけで
今日子は何度も涙ぐみそうになった。
![11ny3 11ny3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/45/32660197cf3a99087643e39ce6cd8fd7.jpg)
妊娠のことを伝えれば、どんなに喜んでくれるだろう。
大沢はいつも大きな愛で、今日子を包んでくれた。
早く早くと、気持ちが急いた。
機内を走りたい衝動に駆られた。
![11ny4 11ny4](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/23/1f428588e1239b2adda02b685846d866.jpg)
嬉しい報告をニューヨークで出来る。
今日子の気持ちは、次第に高まっていった。
![11ny5 11ny5](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/3e/08e29c6865b63265d89d8a451d4360c9.jpg)
税関を通過して、空港の到着ロビーに行くと、大沢がいた。
大沢はすぐに、今日子を見つけてくれた。
![11ny6 11ny6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/aa/2dabb33e8dac4a8f236076d49ac79bb0.jpg)
「久しぶり。 よく来たね。 今日子、会いたかった。」
「私もよ。 本当に会いたかった。」
二人はお互いの気持ちを確認しあった。
大沢は今日子を車に乗せると、空港をあとにした。
![11ny7 11ny7](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/8d/fcec99747b11d10efed938749630389e.jpg)
大沢のアパートに着くと、今日子は目を輝かせた。
大沢がニューヨーク支店に転勤になって1年半。
ニューヨークにいる大沢を訪ねるのは初めてだった。
「ここがあなたのお城なのね。 思ったよりきれいだわ。」
「今日子に叱られるから、昨夜は思いっきり片付けた。」
「あなたはいつも一夜漬けね。」
![11ny8 11ny8](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/78/c9a68e9b56b09532a36922603c0808fb.jpg)
そう言いながら振り返ると、ふいに大沢に抱きしめられた。
大沢は今日子にキスをした。
甘くとろけるような大沢のキス。
横浜で過ごす一人の夜
今日子は、何度大沢の唇の感触を思い出したことか。
大沢のキスは、いつも蜜の味がした。
![11ny9 11ny9](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/2a/1cba088ec868a981157f8cea8a975e54.jpg)
「街に出て食事をしよう。 少し今日子を案内したい。」
大沢のアパートから歩いてセントラルパークへ行った。
「この公園は、昼間芝生に座って日光浴や読書や
ピクニックランチを楽しむ人が多いんだ。
ニューヨークの人たちの心のオアシスなんだ。」
「セントラルパークは、毎日僕のジョギングコース。
その向こうのカフェで朝食を済ませる。 明日の朝、一緒に来よう。」
![11ny10 11ny10](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/95/060f0583b5d02f8e8da858ad72c4ba97.jpg)
「目を閉じると、あなたの風を感じるわ。
この街で息づいているあなたの風よ。
私、ニューヨークに来てよかった。 本当に来てよかった。」
二人はセントラルパークをゆっくり歩いて行った。
秋の風が、肌に心地よい。
![11ny11 11ny11](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/a4/3f412f1caf49a871fd1a901c5694f989.jpg)
二人はベンチに腰を下ろした。
今日子は大沢の顔を見て微笑んだ。
「どうしたの? 僕の顔に何かついている?」
大沢は今日子に尋ねた。
今日子は、なおも微笑みながら、大沢に語りかけるように言った。
![11ny12 11ny12](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/4c/3e8d6a329c64d4a9a8ee78706023bb0c.jpg)
「私、赤ちゃんが出来たの。」
大沢は目を丸くした。
そして今日子を見つめた。
「メールで知らせなくてごめんなさい。
でもこんな大切なこと、メールじゃなくて
私、直接あなたに言いたかったの。
そして二人で喜びを分かち合いたかったの。」
これまで何も言わなかった今日子だったのに
妊娠したことを大沢に告げると、堰を切ったように言葉が続いた。
![11ny13 11ny13](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/2f/cd0b0e05edd6f707ad532ee5c433ef45.jpg)
「もう母子手帳ももらったわ。
来年の三月には、私たちの赤ちゃんが生まれる。
私たち、パパとママになるのよ。」
![11ny14 11ny14](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/e2/91108e3bed5864c8c3b8b02786142800.jpg)
「私、この世で一番大切なものがわかったわ。
だからニューヨークへ来たの。
この街であなたと一緒に暮らしたい」
今日子はそう言うと、大沢の胸に顔を埋めた。
![11ny15 11ny15](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/0c/47da705e1bdb54b268c825e8925df932.jpg)
ニューヨークの秋は早い。
陽はゆっくりと、西に傾き始めた。
![11ny16 11ny16](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/2e/a070003d811621084de2b098de4edd1a.jpg)
大沢はポケットから指輪を取り出して、今日子の細い指にはめた。
「すぐに結婚しよう。」
大沢はためらいもなく言った。
夢にまでみたニューヨークで今、今日子は大沢のプロポーズを受けた。
妻になる喜び、母になる喜びが、同時にやって来た。
今日子は大沢に肩を抱き寄せられると、涙が溢れて来た。
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それから二人は夜の街へと出かけた。
「今日子、ここがミッドタウンだ。
世界に名だたるブランドショッピング街の5番街。
エンターテイメントの最高峰のブロードウエイ。
眠らない街の代名詞、タイムズ・スクエア。
高層ビルが軒を連ねるビジネス街。
今日子、今夜はニューヨークを感じてほしい。」
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「この街の熱気が伝わってくるわ。
私もこの街が好きになれそうよ。」
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二人はタイムズ・スクエアの近くのレストランに入った。
久しぶりに向き合っての食事だった。
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いつもならワインかブランデーで乾杯する二人だったが
今日は二人とも、オレンジジュースをグラスに入れた。
「あなたまでオレンジジュースにすることないのに。」
「僕も、もうすぐパパになるから。」
大沢は訳のわからないことを言って、今日子を笑わせた。
ニューヨークでの初めての夜であった。
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食事が運ばれて来た。
「今日子、何でも食べられるの?」
「そうなの。 妊娠にも気づかないくらいで。
夏風邪だと思って病院に行ったら、おめでただと言われた。」
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「今夜はしっかり食べて。 今日子は二人分食べなきゃ。」
「でもお医者さまは、太りすぎはよくないって言ったのよ。」
「セントラルパークで、今日子から聞いた時は驚いた。
でも嬉しかった。
僕は今日子をずっと待っていてよかった。」
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「神様は僕たちに、赤ちゃんまで授けてくれた。
僕は人生で、今日ほど嬉しい日はなかった。
これから僕のすべてをかけて、今日子を愛してゆく。
僕を信じて、ついて来てほしい。」
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今日子もまた、今日ほど嬉しい日はないと思った。
妊娠を祝福してくれて、大沢にプロポーズされて・・・・
人生最良の日だと思った。
5日間の休暇はあっという間に過ぎていった。
今日子の帰国の日が来た。
あと1ヶ月もすれば、ニューヨークで二人の新婚生活が始まる。
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「セントラルパークの近くにある教会で、結婚式を挙げよう。
今日子と僕とベイビーの三人の結婚式だ。」
「・・・・・ ・・・・・ ・・・・・。」
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「僕は、今日子のウエディングドレス姿を早く見たい。」
「・・・・・ ・・・・・ ・・・・・。」
今日子は幸せな時ほど、会話が続かないものだと思った。
言葉が出なくて、うなずくだけだった。
それでも今日子の気持ちは、大沢に伝わった。
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二人は部屋のカーテンを選んだり、台所用品を揃えたり
今日子のために、クッションのいいソファーも買った。
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ニューヨークの観光よりも、新しい生活に向けての準備に追われた。
けれど二人には、とても充実した時間だった。
そんな楽しい毎日は、あっという間に過ぎて行った。
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「10月半ばには、ニューヨークに来るから、あと1ヶ月待っていて。」
「わかった。
今日子にはずいぶん待たされたから1ヶ月なんてすぐだよ。
こんな幸せ、何だか夢じゃないかと思ってしまう。
これは夢で、明日の朝起きたら、夢が消えていそうな気がする。」
「大丈夫よ。 夢じゃない。 現実だよ。
今日子は、どこへも行かないし、消えたりしない。
あなたの今日子は、きっとまたニューヨークに来る。」
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今日子はそう言うと、大沢の車に乗った。
エンジンをかけると、車は空港へと走り出した。
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そして今日子は機上の人となった。
「あなたの今日子は、きっとまたニューヨークに来る。」と言った言葉が
大沢の耳に、何度も何度もこだましていた。
最終章へ 続く・・・・
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