マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

ニューヨーク恋物語 第10章横浜編

2008年09月10日 | ニューヨーク恋物語
すっかり秋らしくなりましたね。
晴天に恵まれて、ちょっと嬉しい昨日、今日です。


いつも私のブログを訪問してくださってありがとうございます。


夏の間、自宅でひきこもっていましたが
秋の訪れとともに、少しずつ行動範囲を広げてゆきますね。
そして楽しいブログを綴っていきますね。


                 


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さて、2週間ぶりの「ニューヨーク恋物語」です。
すっかり間が空いてしまいました。


前回は、大沢がニューヨークへ帰っていき、大沢の今日子への想いを
切々と綴ったニューヨーク編でしたね。


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「大沢さん」って、素敵ですね。
私は、大沢のファンです。(笑)


今回の「第10章横浜編」は、横浜を舞台にする最後の章です。
私は、この10章がかなりお気に入りです。


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この章を読まれると、きっと今までの胸のつかえがおりることでしょう。
どうか、お楽しみください。


上の写真は
1  ミッドタウン
2  カーネギーホール
3  レストラン・プラネットハリウッド


物語の挿絵の写真は
「NIGHT Windows ~東京の夜景」のShinshinさんと
過去の「マドンナの夢ギャラリー」の更新写真です。


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


                 


ニューヨーク恋物語 第10章横浜編


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大沢がニューヨークに帰って、三ヶ月が過ぎた。


今日子は毎日仕事に追われていた。
企画会議、関西への出張、取引先との接待。
早朝出勤と、残業の繰り返しの毎日が続いていた。


9月には、このプロジェクトが一段落つく。
最終段階を迎え
チームは膨大な仕事量をこなすのに、躍起になっていた。


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そして夏休みも取れぬまま、8月も終わろうとしていた。
睡眠不足、不規則な食事時間。
今日子は心身ともに、疲労を感じていた。


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夜遅くに部屋に戻ると寂しかった。
5月に大沢が帰国した時、この部屋で一週間過ごした。


部屋のあちこちに、大沢との「夢の跡」が残っていて
今日子をより一層切なくさせた。


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疲れると、今日子は、自分はいったい何のために
がんばっているのだろうと考えるようになった。


そんな投げやりな気持ちの時
大沢から届くメールは、今日子の気持ちを救ってくれた。


大沢はいつも、今日子を気遣うメールをくれた。
大沢の方が一人でニューヨークにいて、どれほど寂しいことだろう。


それなのに、大沢のメールは、とても優しかった。
今日子は大沢に、済まない気持ちでいっぱいだった。


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今日子は大沢に、自分の気持ちを赤裸々に綴った。
大沢への想い、仕事への未練。
恋と仕事の板挟みで、苦しむ胸の内を大沢に伝えた。


時には、仕事のアドバイスを求めた。
大沢はいつも的確に判断して、今日子にアドバイスしてくれた。


近況と、気持ちを伝えるメールが、ニューヨークと横浜の間を行き来した。


夕食を食べ終わった今日子は、キーボードの前に座った。
そして今夜も大沢にメールを打ち始めた。


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親愛なる大沢君


今日は少し早くに帰れました。
でも疲れたので、今夜は駅前のコンビニでお弁当を買って来ました。
お弁当とデザートを今、食べ終わったところです。


手抜きの夕食ばかりで、こんな私って、主婦失格?
あッ・・・・ 私は、まだ主婦じゃなかったわね。(笑)


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今、部屋の窓からベイブリッジが見えます。
ランドマークタワーやみなとみらいの観覧車が見えます。


あなたと泊まったロイヤルパークホテルも見えます。
あの夜の思い出は、生涯忘れません。
大沢君には、感謝しています。


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今夜も、港の灯りがとてもきれいです。
この部屋から、二人でベイブリッジを見ていたことを思い出します。


ニューヨークのブルックリン橋と
横浜のベイブリッジが重なるとあなたが言ったこと。
5月のあの一週間が、こんなにも切なく思い出されます。


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9月半ばには、仕事が一段落つきます。


半年がかりの仕事だったから、とても手ごたえを感じられました。
いよいよ、最終段階で、今が一番大変な時かな?


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そして11月には、また新しいプロジェクトがスタートします。
今度はもっと仕事を任せてもらえそうなので
また来年の春までがんばるつもり。


こんな私を許してね。
あなたとのことは、きっと考えるから・・・ もう少しだけ待って。


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あなたに渡した鍵のお陰で、私は毎晩あなたに夢で会える。
ニューヨークで、ランチタイムもしないで、私の部屋に侵入してる?


あなたが来てくれるから、こんなに疲れていても、今夜も寂しくない。
安心して眠れそうよ。


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誰よりも、大沢君を愛している。
私の愛を受け止めて。


世界で一番あなたが好き。  
おやすみなさい。


今日子のメールは、すぐにニューヨークに届くだろう。


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今日の横浜は朝から雨が降っていた。
8月の雨は、何日ぶりだろう。


今日は午後からの会議で、出勤が遅かった。
それでも今日子は朝から出かけた。


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午前10時
今日子は、横浜駅の近くの病院の待合室にいた。


今日子は、このところ体調がすぐれず、食欲もなかった。
それに貧血がひどく、微熱もあった。
8月の暑い中、休日も返上で仕事をして来た疲れが出たようだった。


この病院の院長と、今日子の父は懇意にしていた。
それで一度診てもらうことになった。


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診察室に入ると、穏やかで優しそうな院長がいた。


父から事情は聞いていると言い、
院長は、更に今日子に詳しい問診をした。
そして簡単な検査をして、診察をした。


今日子は、これまで病気らしい病気もしなかったので
病院とも縁がなかった。


今更ながら自分が健康だったことを思ったりした。
一通りの検査が終わると、院長は今日子に言った。


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「心配はいりませんよ。 おめでたです。
 お腹の赤ちゃんは順調です。 もう13週を過ぎたころでしょう。
 来年の3月には、ママですよ。 可愛い赤ちゃんの誕生です。」


今日子は院長の言葉が信じられなかった。


今日子は、もともと生理不順で
仕事に追われ不規則な生活が続くと、精神的にも肉体的にも
疲労が重なり、何ヶ月も生理がないことがあった。


今回もそんなことを思っていた。
まさか妊娠したとは、夢にも思わなかった。


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喜びと戸惑いの中、病院から母に電話をした。
母はとても喜んでくれた。


母と喜びを共有すると
今日子は妊娠の喜びが、2倍になった。


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夜、仕事が終わって帰宅した今日子は、パソコンに向かった。
大沢に、妊娠のことを知らようとキーボードを叩いた。


けれど今日子は、途中で指を止めた。
こんな大切なことをメールで伝えたくないと思った。


3月には二人の赤ちゃんが生まれる。
大沢の喜ぶ顔を見ながら、妊娠のことを伝えたいと思った。
今日子は来月どんなことがあっても、渡米することを決めた。


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妊娠がわかると、今日子は母になる喜びと責任感から
規則正しい生活を心がけるようになった。


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食欲がなくても、赤ちゃんのためだと思って、栄養のあるものを食べた。
朝もきちんと朝食を取って、会社に行くようにした。
コーヒーはやめて牛乳を飲むようになった。


ハイヒールが好きな今日子は、いつも10センチもあるヒールを履いていた。
それを踵の低い靴にして、休日にはスニーカーを履いた。


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デパートへ行くと、ベビー用品売り場に足が向いてしまう。
ベビー用品は見ているだけで、今日子を幸せにした。
今日子の母性は、日増しに強くなっていった。


今日子は仕事が辞められず、愛する大沢を一人でニューヨークへ行かせた。
大沢もまた、「結婚」という言葉を口にしなかった。


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仕事に未練がある今日子を自由に羽ばたかせてくれた。
だから今回のプロジェクトチームでも、思いっきり力を発揮できた。


大沢が何も言わずに
一人でニューヨークに発った切ない気持ちも、十分に理解できた。


今日子は、この世で一番大切なものが、ようやくわかりかけてきた。


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子供の頃から、夢に向かって進んで来た。
そしてその夢が叶う職業についた。


自分の力を十二分に発揮して、会社や上司からも認められた。
今回のプロジェクトでは、今日子の企画が評価された。
それは今日子にとって最大の喜びだった。


けれど医者から、妊娠を告げられた時の喜びは
今まで味わったことがないような、大きなものだった。


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今日子の一番大切なものは、大沢とお腹にいる赤ちゃん。
今、そうはっきりと確認できた。


今日子は上司に、妊娠のことを告げた。
そして辞表を出す決心をした。


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9月半ばに、このプロジェクトチームは解散する。
その後、引継ぎと残務整理。
9月末日には退職できそうだった。


11月から始まる新しいプロジェクトチーム。
今度は、今日子がチームリーダーになる予定だった。
けれど今日子は、もう仕事には未練はなかった。


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ある夜、今日子は大沢に一通のメールを送った。


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大沢君、今夜もベイブリッジがきれいに見えます。
まるでお星さまのように、キラキラと、灯りが輝いています。


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今年も東京の夏は暑くて、大変でした。
けれど夜になると、秋の気配を感じる風が吹いてきました。


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先週、鎌倉の実家に帰ったら、ツクツクボウシが鳴いていました。


行ってしまう夏が哀しいと・・・
「ツクツクボ~シ、ツクツクボ~シ」と、切ない声で鳴いていました。


8月も、終わりです。


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突然ですが・・・・
9月16日から、5日間お休みが取れたの。


私、ニューヨークに行っていいですか?
実はもう航空券も手配しちゃいました。


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あなたに会いたくて・・・
あなたに会いたくて・・・
あなたに会いたくて・・・


そして大沢君に、話したいことがある。
あと二週間で、あなたに会える。
嬉しいです。


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私、ニューヨークへ行きます。
大沢君、今日子を待っていてください。

                今日子


第11章へ  続く・・・


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