今日も ぺこぺこ

ジョリ夫婦&ぺこ。3匹とも、今日も元気に「ぺこっ」てます。

映画の帰りに寄り道

2006-01-19 19:28:35 | Weblog

映画館を出たら、もう6時くらいでした。
大体いつも、クリシー広場にある大きな映画館へ行くわたしたち。普段なら
モンマルトル墓地上を通ってアベス通りへ出て、そのまますぐ家に戻るんですが、
この日はなんだかどこか寄って行きたい気分になったワタシ。
横断歩道の信号待ちの間に、夫を口説きます。
「アイリッシュ・パブに寄ってかない?」
クリシー大通りには、いくつかアイリッシュ・パブがあるんです。
アベス通りでなく、クリシー通りを通って帰宅しても距離的には同じ。
しかもその時間はちょうど「ハッピー・アワー」と呼ばれるサービスタイム。
わたしはまだコレを利用したことが無いんですが、多分、通常の料金で倍ほど
出してもらえるとか、そういうシステムだと思います。(←違うかもしれません・・・)
このハッピー・アワーは大体、夕方5時から8時くらいの間だったと思います。

でも、わたし以上に寒がりな夫。
「ビールは・・・寒いよ。ビールって気分じゃないよ~」と言い出します。
ワタシの脳内ではすでに「ギネス」とオーダーまで決まってたのに・・・(無念!)
仕方なく?予定変更!ワタシは、この冬まだ飲んでなかったヴァン・ショーを
提案し直しました。
ヴァン・ショーとは、ワインとオレンジの絞り汁を小鍋で温めた飲み物で、
シナモンと砂糖を入れて飲みます。(シナモンスティックを入れて鍋で温める
のかもしれません。作り方は人それぞれのようです。)
冬時期はカフェの定番メニューです。

ヴァン・ショーに対しては反論しない夫。
じゃあ、どこに行こうか?
帰り道上であり、そしてウチの近所にあるカフェ、「Les 2 moulins」(ドゥー・ムーラン)
に決定! ←映画「アメリ」で有名になったあのカフェです。

お店の一番奥に「禁煙席」と書かれた場所があり、そこの壁には巨大なアメリの
ポスターが。近所なのに、なかなか来る機会の無いこの店。
この店に夫と二人だけで来るのはもしかしたら2度目かも?
わたし「前に二人で来たのって、いつだったっけ?」
「えーっと・・・・・・・・ (悩)」
わたし「あっ!! 確か、もう4年以上も前よ。シャンゼリゼの映画館でアメリを
  観た後で、歩いて帰って、夜遅くにここに寄ってキール飲んだのよ。」
「そうだった、そうだった!僕が連れてきたんだった!」
かな~り昔のことなので、二人とも忘れかけてました。
2001年の夏、フランスに3ヶ月滞在予定で来たワタシを夫(当時、彼)が
「モンマルトルが舞台になってる映画があるから、行こうよ!」と半ば無理やり
わたしを映画館に誘ったのでした。そしてその帰りに、映画の舞台となった
例のカフェに連れて行ってくれて、キール(フルーツのリキュールを白ワインで
割ったもの)を飲んだのでした。夜11時くらいだったかなぁ。

そんな話をしていたら、ウェイターが注文を聞きに来ました。
「ヴァン・ショー2つ、おねがいします。」と夫。

しばらくすると、わたしたちのヴァン・ショーよりも先に、隣に日本人男性&
フランス人女性という感じの二人がやって来ました。テーブルがギューッと
寄せてあるので、その女性が通って席に着くだけの幅がありません。わたしは
自分たちのテーブルをギリギリ可能なところまで壁に押し付け、場所を広げて
通れるようにしてあげました。
「Merci !」と、彼女からの心地よい返事。

やって来たヴァン・ショーとともに、さっき観た映画の話をしていたら、横のカップル
の話し声も自然と耳に入ってきます。
わたしの隣には、女性。夫の隣には、日本人かな?といった感じの男性が
座っています。
バーは雑音が多いため、わたしの耳には(耳の向いてる方向のせいで)
わたしに対して向かい側に座ってる男性の声のほうがよく聞こえてきて、
わたしと肩が触れ合うんじゃないかってくらい真横に座ってる女性の声は
ほとんど聞こえてきませんでした。(いや、そもそも盗み聞きしようと“耳ダンボ”
にしてたワケじゃないしね・・・)
でも、時々「ヨコハマ」とかナンとか、気になる単語が男性の口から聞こえて
くるのです。あ、やっぱり日本人なのか~、と思いました。

顔を赤くしながら一生懸命話をしてる、この男性。
“彼女を口説こうと考えているのかな?” そんな考えが浮かびました。
そしてしばらくしたら、二人はわたしたちより先に去っていきました。

わたしたちも、そろそろ帰ることに。
2人で8.40ユーロだったので、夫は10ユーロ札をテーブルに置いて去ろうと
しました。でもたまたまウェイターが近くに来たのでお金を渡し、全部取って
ください、と。その際に、わたしが欲しいと言ってた「レシート」をもらって良いか
どうか、夫は尋ねました。
「もちろん。いいですよ。」との答えが。
そしてそのウェイターさんは、わたしたちがコートを着てる間に、店の写真が
印刷されたマッチ箱を持ってきて、「記念に、どうぞ」と言ってくれたんです。
わたしってば、完全に観光客に見られてしまったようですね。(笑)

上の写真が、その時のレシートとマッチ箱。

レシートの一番下に、
“Amelie vous remercie de votre visite” と書いてあります。
日本語にすると、「来てくれてありがとう。 by アメリ」ってところでしょうかね。
(コレが面白かったので、レシートが欲しかったんです。)

注:レシートって、普通もらっちゃっても構わないんですが、カフェやバーで
ウェイターに直接お金を支払うのではなく、お金をテーブルに置いて立ち去る
こともけっこうあるので(それはOKな行為)、その際に「レシートが無いと、
忙しいウェイターさんだったら困るのでは?」とワタシはいつも気になるのです。
グラスの形からしてヴァン・ショーだとわかるにしても、やっぱ・・・ね。

2ムーランを出て家へ向かって歩いている時、夫が先ほど隣のテーブルにいた
二人の話をしてきました。
「あの日本人&フランス人の横にいたフランス人カップルが、やたらキスしてて、
  それ見た日本人の男の子が“日本じゃアレはタブーなんだ”って女の子に
  説明してたよ。」と夫はそう言いながら笑ってました。
ワタシ「ん~、でも今なら、喫茶店でチューするカップルもいるかもよ。そんな
  話をしてたんだ、あの二人。ならわたしたちもチューすれば良かったかな?
  日本人だってやるんだよ~ってね。(笑)」
「でもココはフランスだから、やっぱ違うでしょ~。」
とまあ、こんなこと言いながら帰宅したんですが、実際のわたしたちはと言いますと、
日本在住の普通の日本人カップル並みにシャイなのであります。
人前でチューなんぞできるような夫ではないのです。(苦笑)
(↑ホントにキミはフランス人なのか? 謎)

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(余談)
ヴァン・ショーですが、お店によってはシナモンが横に置いてあったり、
粉末状のスパイス容器ごと一緒に出されて「お好みで入れてね」って感じ
だったりもします。店によってホントにいろいろ違うんです。
(シナモンを最初から入れてないのは、シナモン・アレルギーの人がいるから
かもしれません。)
2ムーランのヴァン・ショーは、スプーンで耐熱グラスの中を探ると短く切られた
シナモン・スティックが出てきました。(ワタシは粉シナモンは表面に浮くので
ヴァン・ショーには向かないと思っています。)
夫に「シナモン・スティックってね、飲み物に香りをつけるだけだから、洗って
乾かして数回使うことができるんだって」と話しました。そう本で読んだことが
あるんです。(←ホントにホント?誰か知ってる?)
非常に驚く夫。「マジでー?」
で、ここでワタシはあることに気が付きました・・・。
「ねぇねぇ、このシナモン・スティック、もしかしたら洗って何度も使ってるかもよ。」
夫は「まさか~」という反応でしたが、ここはフランス。ありえなくも無いと思うワタシ。
(笑)


Je vous trouve tres beau

2006-01-19 18:23:51 | Weblog

この間の日曜日に、夫と映画を観てきました。
題名は「Je vous trouve tres beau」(←アクサン省略)です。
日本語訳すると “あなたはとてもハンサムですね” とでもなるかな?
これは映画中に何度か登場するセリフなのですが、しかし、映画の中核を成す
言葉(内容)でもあるんです。

映画の舞台はフランスのとある田舎町。
主人公の中年農夫(エメー)は妻との淡々とした暮らしの中、妻の存在を重視して
などいなかったが、妻の突然の事故死をきっかけに、妻の存在がいかに重要
であったのか気づくことに。それは愛からではなく、単に「オレ1人でどうやって
農業&家事etc.をこなしていくんだ!!」ということでした。
とにかく、働き手が必要だ。特に家のことをやってくれる人がいなくては。
(今まで、洗濯も料理もしたことが無かったエメーなのです。)
困った挙句、仕方なしに結婚相手を紹介してくれる会社へ出向くことに。
そこは貧しいルーマニア女性を斡旋する業者でした。
「どんなタイプの女性がお好みですか?ブロンド女性?それとも黒髪?」
との質問にエメーは答えます。「そりゃ、毛は生えてるほうがいいが・・・。」
とにかく「妻」というよりも「働き手としての家族、伴侶」を求めるエメーなのです。

この斡旋業者の女社長が、エメーを連れて飛行機で一路ルーマニアへ。そこの
ホテルにてお見合いが行われます。沢山の女性がホテルに集まり、1人ずつ
エメーと面会。皆、セクシーな服を着て派手なお化粧をしています。
そしてエメーの前でルーマニア語交じりのフランス語で自己紹介しながら、
「Je vous trouve tres beau」と皆が皆、必ず最後に言うのです。
“アナタ、トッテモハンサムデスネー。”と。(←社長の教えた殺し文句?笑)
「なんで皆同じこと言うんだ!こんな中年男(←お世辞にもハンサムとは言えない)
のどこがハンサムなんだ!あんなこと無理に言わせなくてもいいんだ!」と、
終いには怒り出すエメー。
「きっと・・・ルーマニア人の好みなのよ、きっと。」とおろおろする女社長。

お見合いを終えた仲間に、同じくお見合い目的でそこへ来ていた貧しいルーマニア人
のエレナは聞きます。「どんな人だった?」
仲間はそっけなく答えます。「んー。チビでハゲ。農業やってるんだって~。」
それを聞いたエレナは、自分の派手な服装を改めて見直し、近くにあるバーに
座ってた若者に「ちょっとだけ、そのセーター貸してくんない?」と頼みました。
そしてきれいにジェルをつけてた髪の毛を掻き乱してぼさぼさに・・・。

エメーの最後のお見合い相手が、地味なセーターを着て登場したエレナでした。
「わたし、動物が好きなの。」と言うエレナ。
「それは良かったわ~、この方、農場を持っておられるのよ!」と女社長。
「動物ねぇ・・・沢山いるよ。」“その世話で大変なんだよ!”と言いたげな感じで
ぶっきらぼうに答えるエメー。
「沢山!? うさぎも???」と目を輝かせて聞く、エレナ。

こうしてエレナはエメーに連れられてフランスへ行くことに。
しかし、エレナには実は子どもがいたのです・・・小さな女の子。
彼女は家族を支えるために、涙を飲んで、フランスへ行くのです。
「アンタの夢のバレエ教室、いつか開けるようにするために送金するからね」と
泣きながら妹に自分の娘を託して。

(全部話すと面白くないので、解説はここでオワリね。)
   あ、でもコレだけちょっと書かせて・・・(笑)

フランスに来てエメーの家で一緒に暮し始めることになったエレナ。
必要なものを買うように言われてエメーから300ユーロもらったのですが、
すぐに全部使い果たしてエメーをビックリさせます。
でも彼女が買ったもののうちの一つがコレ、クチナシの花の鉢植えでした。

これをエメーに渡しながら、
「gardemoi っていうお花なのよ、知ってる?」とエレナ。
(これと同音の gardes-moi という語は“わたしを手放さないで”という意味に
とらえられます。)
花なんて無価値だと思っているエメーには、それは無駄遣いとしか思えず、
半ば憤慨しながらも「それは gardemoi じゃなくって gardenia(クチナシ)だよ・・・」
と答えるのでした。(ここで gardenia? gardenia? と首をかしげるエレナ。笑)
エレナはエメーに自分の必死な状況を伝えたかったのでしょうが、この時は
まだエメーはそれに気が付かないでいるのでした。
ギリギリのところでがんばっているエレナ、しかしいつも笑顔を絶やさないのです。


この映画、フランスの農家の現状とルーマニア移民の現状を描いています。
エメーとエレナの心の距離がだんだんと近づいていく、感動的なお話でもあり、
またそれとは全く違うところで全く関係なくコメディーが繰り広げられていて、
とってもフランス映画らしい魅力を持っている映画です。
この映画を見る女性は、エレナのまっすぐな心にきっと心を打たれるはず。
チャンスがある人はぜひ観てみてね。オススメです。
(日本でも、いつか上映される日がくると思うから。単館上映かもしれないけど・・・)