暇人に見て欲しいBLOG

別称(蔑称)、「暇人地獄」。たぶん駄文。フリマ始めました。遊戯王投資額はフルタイム給料の4年分(苦笑)。

掌編小説【きらいじゃない】

2010年04月12日 18時59分10秒 | 小説系
「ねぇ、わたしのこと、どう思ってる?」
「どうって言われてもなぁ……」
「嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
「じゃあ好きなんだ?」
「その二択しかないのかよ」
「じゃ、じゃあ……フツウ?」
「好きでも嫌いでもフツウでもないさ」
「え……?」
「だいっ嫌いだ!」
 そう言って、彼はわたしをギュッと抱きしめてくれた。
「もぅ……わたしもだいっ嫌い!」
 心臓の鼓動(おと)が聞こえるくらい、彼の胸に頭を埋めた。
 すごくドキドキしていたけれど。
 それはもしかしたら、わたしの心臓の音だったのかもしれない。
「おまえ、ときめいちゃって、恋する乙女だなっ」
 と、彼がわたしの頭を、何度も優しく撫でてくれたから。
 二人して笑って、顔赤くして見つめ合って、またギュッてして、しばらく抱きしめ合って、それからまた澄んだような瞳(め)に吸い込まれそうになって、急に恥ずかしくなってほほ笑んで、そしてようやくキスをした。
 わたしには下半身がなくて、それ以降は出来なかったけれど、さいっこうに、幸せだった。
 ありがとう。
 だいすきだよ?

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