暇人に見て欲しいBLOG

別称(蔑称)、「暇人地獄」。たぶん駄文。フリマ始めました。遊戯王投資額はフルタイム給料の4年分(苦笑)。

たとえば夫婦

2006年10月19日 23時59分58秒 | 小説系
 たとえばこれは、ぼくが子供の頃の話だけど。
 近所に同い年くらいの女の子が住んでいて、その子とよく遊んでいた。かわいい子だった。いつも公園で、ままごとをした。子供だったから、全然はずかしくなかった。
 でもおかしなことに、その子は結婚したばかりの夫婦のままごとを好んでやった。そしていつも、ぼくに妻役をやらせて自分は夫役ばかりするのだ。
 そりゃあ、ぼくは当時から、自分のことを「ぼく」と呼ぶ変わった女の子だったけれど、かわいらしいその子が夫役だなんて見た目にありえなかった。男の子みたいな性格をしたこのぼくのほうが、ずっと相応しいのに。
 小学校に入学して、その子と同じ学校に通うようになって、ぼくはそのわけをようやくさとった。
 初めて学校へ行くとき、ぼくは赤いランドセルを背負ってその子の家に行ったんだ。一緒に学校に行こうと思って。
 でも、ぼくは家から出てきたその子を見てびっくりしてしまった。
 その子は、黒いランドセルを背負っていたんだ。
 女の子じゃなかったんだよ。
 でもね。
 その子もその子で驚いていたみたい。
 ぼくの後ろの赤いランドセルを見て、びっくりした表情をしていたから。
 きっと知らなかったんだね。
 ぼくが女の子だってこと。
 つまり、性別的にぼくが妻役でその子が夫役というのは、大正解だったわけ。
 そして今は、うん。
 ぼくは本物の妻で、その子は本物の夫なんだけどね。
 さて、今日は何を食べさせてあげようかな。

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