【1.労基法32条における「労働時間」の意義等】
▼ 労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(不活動時間)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。
▼ 不活動時間においては、その間、労働者が労働から離れていることを保障されて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができるのであって、不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。
▼ そして、当該時間において、労働契約上の役務の提供が義務づけられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。
【2.本件におけるあてはめ】
▼ 原審は、主として以下の(1)から(3)の要素を勘案して、労働からの解放が保障されていたと評価した。本判決ではこれらの要素に該当する事実等を適宜修正・補足しつつ、(4)を加え原審同様に労働からの解放は保障されているとした。
▼ (1)バスの移動、忘れ物の確認、車内清掃等はバスターミナル到着後2分間および次の運行開始時間前4分間で終わらないことが度々あったとは認められず、基本的にはそれ以外の待機時間について休憩を取ることが可能であったこと、(2)待機時間中、Xを含む乗務員は実際に自由にバスを離れて休憩を取れるようになっていたこと、(3)N社は乗務員が休憩中であることを理由に乗客対応を断ることや貴重品や忘れ物をバス車内に置いてバスを離れることを認めていたことからすれば、乗務員は待機時間には乗客対応、貴重品や忘れ物、バス車体等の管理を行うことを義務づけられていたとは認められない。
▼ (4)運転営業係必携に常に丁寧親切な乗客対応を心掛ける旨の記載があったとしても、それは労働時間中の義務につき定めたもので、休憩中も対応を義務づけられていたわけではないし、そのような対応が度々認められるわけでもなく、現実に対応した際には労働時間として賃金を支払われていたのである。
▼ 以上により、待機時間は労基法上の労働時間とは認められないから、待機時間が労基法上の労働時間に当たることを理由とするXの主張は採用できない。
【3.個別対応に関する時間外割増賃金の有無】
▼ 待機時間が一般に労働時間に該当しないとしても、待機時間中に例外的に業務対応をしたことがあれば、その対応時間については労働時間として賃金を支払う必要があるが、待機時間として主張する時間中の特定の時間にXが乗客対応等の具体的な実作業等に従事したことの立証が不十分であることに加え、具体的な主張もなされておらず、Xの時間外労働を理由とする賃金請求には理由がない。
1)本件控訴を棄却する。
2)控訴費用はXの負担とする。
※なお、上記判決に対し、Xから上告の申立てがありましたが、平成30年4月17日、最高裁判所第三小法廷は本件を上告審として受理しない旨の決定をしています
▼ 労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(不活動時間)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。
▼ 不活動時間においては、その間、労働者が労働から離れていることを保障されて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができるのであって、不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。
▼ そして、当該時間において、労働契約上の役務の提供が義務づけられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。
【2.本件におけるあてはめ】
▼ 原審は、主として以下の(1)から(3)の要素を勘案して、労働からの解放が保障されていたと評価した。本判決ではこれらの要素に該当する事実等を適宜修正・補足しつつ、(4)を加え原審同様に労働からの解放は保障されているとした。
▼ (1)バスの移動、忘れ物の確認、車内清掃等はバスターミナル到着後2分間および次の運行開始時間前4分間で終わらないことが度々あったとは認められず、基本的にはそれ以外の待機時間について休憩を取ることが可能であったこと、(2)待機時間中、Xを含む乗務員は実際に自由にバスを離れて休憩を取れるようになっていたこと、(3)N社は乗務員が休憩中であることを理由に乗客対応を断ることや貴重品や忘れ物をバス車内に置いてバスを離れることを認めていたことからすれば、乗務員は待機時間には乗客対応、貴重品や忘れ物、バス車体等の管理を行うことを義務づけられていたとは認められない。
▼ (4)運転営業係必携に常に丁寧親切な乗客対応を心掛ける旨の記載があったとしても、それは労働時間中の義務につき定めたもので、休憩中も対応を義務づけられていたわけではないし、そのような対応が度々認められるわけでもなく、現実に対応した際には労働時間として賃金を支払われていたのである。
▼ 以上により、待機時間は労基法上の労働時間とは認められないから、待機時間が労基法上の労働時間に当たることを理由とするXの主張は採用できない。
【3.個別対応に関する時間外割増賃金の有無】
▼ 待機時間が一般に労働時間に該当しないとしても、待機時間中に例外的に業務対応をしたことがあれば、その対応時間については労働時間として賃金を支払う必要があるが、待機時間として主張する時間中の特定の時間にXが乗客対応等の具体的な実作業等に従事したことの立証が不十分であることに加え、具体的な主張もなされておらず、Xの時間外労働を理由とする賃金請求には理由がない。
1)本件控訴を棄却する。
2)控訴費用はXの負担とする。
※なお、上記判決に対し、Xから上告の申立てがありましたが、平成30年4月17日、最高裁判所第三小法廷は本件を上告審として受理しない旨の決定をしています