会社にケンカを売った社員たち~リーガル・リテラシー~

人気メルマガ『会社にケンカを売った社員たち』の公式ブログ。会社と社員のWin-Winな関係作りの答えが満載。

No.504 今週の事件【メディカルプロジェクト事件】の概要(2020年1月22日号)

2020年01月22日 07時55分00秒 | 会社にケンカを売った社員たち

今回の事件は、医師であるXがM社に対し、雇用契約に基づき、(1)平成27年1月分の賃金150万円、(2)26年12月分の賃金として支払われるべき未払のインセンティブ報酬4万7557円、(3)26年8月1日から27年1月23日までの間、所定休憩時間に休憩できず1日8時間を超えて労働したことに対する時間外割増賃金104万8206円の合計259万5763円から、既払金73万5329円を控除した残額186万0434円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。


皆様からのご意見ご感想等をお待ちしております。

※ この判例の本文は、『会社にケンカを売った社員たち』公式note に掲載しています。

★メルマガ『会社にケンカを売った社員たち』は、隔週水曜日午前8時に配信しています。★
メルマガのご登録はこちらをクリック(まぐまぐのサイトへ移動します)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【紀北川上農業協同組合事件】大阪高裁判決の要旨(平成30年2月27日)

2020年01月08日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
【1.本件就業規則等の変更が不利益変更に該当するか否かについて】
▼ K組合の給与規程は賞与の支給および定期昇給の実施について、これらをすることができると規定しているにとどまっており、給与規程を根拠として、賞与や定期昇給に関する具体的な権利が発生すると解することは困難であったところ、本件就業規則等の変更により、賞与は原則として支給しないこと、定期昇給は実施しないことをそれぞれ定めた。

▼ スタッフ職制度導入の前後における労働者の処遇を一般的客観的に対比すると、その程度はともかくとして、本件就業規則等の変更は労働者の労働条件を不利益に変更するものであると解するのが相当である。

【2.本件就業規則等の変更についてAらの同意があるといえるかについて】
▼ 本件変更について、Aらが同意する旨の明示的な意思表示をしたとは認められない。また、Aらが過去にスタッフ職制度について反対の意思表示をしていない等の消極的な事情をもって、本件変更について、黙示的な同意があったと評価することもできない。

【3.本件就業規則等の変更が労契法10条の要件を満たすかについて】
▼ Aらに対する賞与の支給や定期昇給の実施をする余地が完全に失われたということもできないこと、スタッフ職制度が適用されるまでに6年以上の期間があったこと、特に賞与の支給および定期昇給の実施については、変更前の給与規程において具体的な権利として定められていないこと等に鑑みれば、本件就業規則等の変更に係る不利益は実質的なものとはいえず、その程度は小さいといえる。

▼ 経常収支において赤字が恒常化していなくても、高年齢層の人件費がK組合の事業収支を圧迫している以上、高年齢層の人件費を削減せず問題を先送りにすれば、早晩事業経営に行き詰まることが予想されたこと、同組合の事業利益の水準は和歌山県内の同規模の農協に比べて低いこと、K組合が従来25あった支店を9に削減していたこと等からすれば、労働条件を変更する高度の必要性があったものと認められる。

▼ 賞与については、臨時に支払われる賃金の性質を持っていること、定期昇給については、若年者であればともかく、Aらについては、一定の年齢に達し、過去に継続して定期昇給が実施された結果、他の職員に比して、賃金も相当程度高額になっていること、以上の点を総合的に勘案すれば、スタッフ職制度導入に伴う変更後の就業規則等の内容が相当性を欠いているとまでは認められない。

▼ スタッフ職制度については、労働組合との交渉や職員への具体的な説明を経て導入され、その後変更を経つつも、10年以上にわたって継続して適用されてきたものであり、一応の定着をみていると評価することができる。

【4.結論】
▼ 以上により、本件就業規則等の変更は労契法10条所定の合理性を有していると認めるのが相当である。

1)Aらの控訴をいずれも棄却する。
2)控訴費用はAらの負担とする。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

No.503 今週の事件【紀北川上農業協同組合事件】の概要(2020年1月8日号)

2020年01月08日 07時55分00秒 | 会社にケンカを売った社員たち

今回の事件は、K組合の職員だったAら10名が、スタッフ職制度の導入に伴う就業規則の変更は労働条件を労働者に不利益に変更するものであって、労働契約法9条および10条の要件を満たすものではないから、Aらにはその効力は及ばないとして、同組合に対し、定期昇給が実施されたことを前提とした未払賃金ならびに賞与およびこれらに対する遅延損害金の支払を求めたもの。


皆様からのご意見ご感想等をお待ちしております。

※ この判例の本文は、『会社にケンカを売った社員たち』公式note に掲載しています。

★メルマガ『会社にケンカを売った社員たち』は、隔週水曜日午前8時に配信しています。★
メルマガのご登録はこちらをクリック(まぐまぐのサイトへ移動します)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする