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会社にケンカを売った社員たち~リーガル・リテラシー~

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■ 【朝日建物管理事件】最高裁第一小法廷判決の要旨(2019年11月7日)

2022年03月16日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ 原審の判断のうち、契約期間の満了により本件労働契約の終了の効果が発生するか否かを判断することなく、Xの労働契約上の地位の確認請求およびその契約期間が満了した後である2015年4月1日以降の支払請求を認容した部分は是認することができない。

▼ 事実関係等によれば、第1審口頭弁論終結時において、最後の更新後の本件労働契約の契約期間が満了していたことは明らかであるから、第1審はXの請求の当否を判断するに当たり、この事実を斟酌する必要があった。

▼ 原審はこの点について判断を遺脱したものであり、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

▼ 原判決中、地位確認および2015年4月1日以降の賃金支払請求を認容した部分は破棄を免れず、Xが契約期間の満了後も本件労働契約が継続する旨主張していたことを踏まえ、これが更新されたか否か等についてさらに審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻す。

福岡高等裁判所平成29年(ネ)第516号地位確認等請求事件について、同裁判所が平成30年1月25日に言い渡した判決に対し、A社から上告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

1)原判決中、Xの労働契約上の地位に確認請求および2015年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄する。
2)前項の部分につき、本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
3)A社のその余の上告を棄却する。
4)前項に関する上告費用はA社の負担とする。

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■ 【安藤運輸事件】名古屋高裁判決の要旨(2021年1月20日)

2022年03月02日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決

▼ A社作成に係る2017年6月1日付の同社組織図と人員配置図とを比較すると、後者には「倉庫部」「倉庫所長E(※乙社の役員)」の記載があるのに、前者にはその記載がなく、また、A社作成に係る同年4月1日付の人員配置図と6月1日付の上記人員配置図とを比較すると、ともに「倉庫部」「倉庫所長E」の記載がされている。

▼ このように矛盾する内容の組織図が存在することに照らすと、A社のいう本件配転命令前後における倉庫部門の新設は実態がないにもかかわらず、同配転命令の業務上の必要性を作出するために同社が訴訟上主張しているにすぎないのではないかとの疑問を抱かざるを得ない。

▼ A社は、Xと他の従業員とを比較して本件配転命令についての業務上の必要性を否定することは配転にあたり余人を持って代え難いという高度の必要性を実質的に要求するに等しく、不当であると主張する。

▼ しかし、本件配転命令についての業務上の必要性を検討するに当たり、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化といった観点から、本件配転命令時においてA社に在籍していたX以外の従業員の事情を考慮することが許されないとする理由はない。

▼ 本件配転命令は、そもそも業務上の必要性がなかったか、仮に業務上の必要性があったとしても高いものではなく、かつ、運行管理業務および配車業務から排除するまでの必要性もない状況の中で、A社において、運行管理者の資格を活かし、運行管理業務や配車業務に当たっていくことができるとするXの期待に大きく反し、その能力・経験を活かすことのできない倉庫業務に漫然と配転し、Xに通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせたものであるから、本件配転命令は権利の濫用に当たり無効と解するのが相当である。

1)本件控訴を棄却する。

2)控訴費用はA社の負担とする。

 

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【青森三菱ふそう自動車販売事件】仙台高裁判決の要旨(令和2年1月28日)

2021年03月17日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
[1.Xの自殺が長時間労働等に起因するうつ病または適応障害によるものか否か]
▼ Xは28年1月上旬頃、それまでの八戸営業所における業務に起因して適応障害を発症したところ、その後も長時間労働が続き、出来事に対する心因性の反応が強くなっていた中、同年4月16日、先輩従業員から叱責されたことに過敏に反応して自殺を図るに至ったと認めることができる。

[2.A社の責任原因]
▼ Xが適応障害を発症して自殺を図るに至ったことについては、八戸営業所のB所長およびC課長代理において、Xに業務上の役割・地位の変化および仕事量・質の大きな変化があって、その心理的負荷に特別な配慮を要すべきであったところ、過重な長時間労働の実態を知り、または知り得るべきであったのに、かえって、従業員が実労働時間を圧縮して申告しなければならない労働環境を作出するなどして、これを軽減しなかったことに要因があるということができ、B所長らにはXの指導監督者としての安全配慮義務に違反した過失がある。

▼ そうすると、A社は使用者責任に基づき、Yらに対し、Xの死亡につき同人およびYらが被った損害を賠償すべき責任がある。

[3.損害額について]
▼ Xの基本給は月額15万円であるが、勤務期間が1年に満たないこともあり、その余の時間外労働および休日労働に対する賃金、賞与その他の支給を含めたXの年収の実額を認定可能な的確な証拠はないから、Xの逸失利益は基礎収入を平成28年高卒男子計469万3500円、生活費控除率を50%、就労期間を67歳までの46年間として算定すると、4196万0124円となる。

1)原判決を次のとおり変更する。
2)A社はYに対し、3681万3651円およびこれに対する遅延損害金を支払え。
3)A社はZに対し、3678万0062円およびこれに対する遅延損害金を支払え。
4)Yらのその余の請求をいずれも棄却する。
5)訴訟費用は、第1、2審を通じて、これを5分し、その1をYらの、その余をA社の各負担とする。
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【九州惣菜事件】福岡高裁判決の要旨(平成29年9月7日)

2020年03月04日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
[1.定年後の労働契約成立の有無]
▼ 本件では、具体的な労働条件を内容とする定年後の労働契約について、明示的な合意が成立していると認めることはできないし、就業規則等の定めや当事者の意思解釈をもって個別労働条件についての合意を見出すこともできないから、Xの主位的請求(労働契約上の権利を有する地位の確認請求および賃金請求)についてはいずれも理由がない。

[2.再雇用条件の提示における裁量権逸脱の有無]
(1)労働契約法20条違反の有無
▼ Xは再雇用契約を締結していないから、本件はそもそも労働契約法20条の適用場面ではない。また、再雇用契約について契約期間の定めの有無が原因となって構造的に賃金に相違が生ずる賃金体系とはなっておらず、定年前の賃金と本件提案における賃金の格差が、労働契約に「期間の定めがあることにより」生じたとは直ちにいえない。したがって、いずれにしても本件提案が労契法20条に違反するとは認められない。

(2)公序良俗違反等の有無
ア 規範
▼ 高年齢者雇用安定法(高年法)9条1項に基づく高年齢者雇用確保措置を講じる義務は、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件の雇用を義務付けるという私法的効力を有するものではないものの、労働契約法制に係る公序の一内容を為しているというべきであるから、同法の趣旨に反する事業主の行為、たとえば、再雇用について、極めて不合理であって、労働者である高年齢者の希望・期待に著しく反し、到底受け入れ難いような労働条件を提示する行為は、継続雇用制度の導入の趣旨に違反した違法性を有するものであり、事業主の負う高年齢者雇用確保措置を講じる義務の反射的効果として当該高年齢者が有する、上記措置の合理的運用により65歳までの安定的雇用を享受できるという法的保護に値する利益を侵害する不法行為となり得ると解するべきである。

▼ そして、高年法9条1項が定める継続雇用制度についても、同じく同項が定める定年の引上げや定年制の廃止に準じる程度に当該定年の前後における労働条件の継続性・連続性が一定程度、確保されることが前提ないし原則となると解するのが相当であり、このように解することが高年法の趣旨に合致する。

▼ したがって、例外的に定年退職前のものとの継続性・連続性に欠ける労働条件の提示が継続雇用制度の下で許容されるためには、同提示を正当化する合理的な理由が存することが必要であると解する。

イ あてはめ
▼ 本件提案は、フルタイムでの再雇用を希望していたXを短時間労働者とするものであるところ、本件提案から算出される賃金は、月給ベースで定年前の賃金の約25%にとどまるものであり、定年退職前の労働条件との継続性・連続性を一定程度確保するものとは到底いえない。

▼ したがって、本件提案が継続雇用制度の趣旨に沿うといえるためには、そのような大幅な賃金の減少を正当化する合理的な理由が必要である。

▼ この点につき、K社は店舗数の減少という事情を挙げるが、かかる店舗減少による影響は限定的であると解されたことや、法改正後相当程度の期間が経過しており、この間にXの希望に応じて本社事務職の人員配置および業務分担の変更等の措置を講じることも可能であったと考えられること等からすると、月収ベースで約75%の減少につながるような短時間労働者への転換を正当化する合理的な理由は見出せない。

▼ 以上から、K社が本件提案をしてそれに終始したことについては、継続雇用制度の導入の趣旨に反し、裁量権を逸脱または濫用したものとして違法性があるものといわざるを得ず、不法行為を構成するものと認められる。

[3.不法行為の損害]
(1)逸失利益
▼ 本件に顕れた諸事情を総合しても、本件提案がなければ、XとK社が退職前賃金の8割以上の額を再雇用の賃金とすることに合意した高度の蓋然性があると認めることはできず、合意されたであろう賃金の額を認定することは困難である。よって、K社の上記不法行為と相当因果関係のある逸失利益を認めることはできない。

(2)慰謝料
▼ (1)本件提案の内容が定年退職前の労働条件と継続性・連続性を著しく欠くものであること、(2)他方で、店舗数の減少を踏まえて本件提案をしたことにはそれなりの理由があったといえることに加え、(3)遺族厚生年金等の受給や扶養家族がいないといった事情に照らせば、本件提案の内容は直ちにXの生活に破綻を来すようなものではなかったといえること、(4)その他(Xの勤続年数等)の諸事情を総合考慮すれば、慰謝料額は100万円とするのが相当である。

1)原判決中Xの主位的請求棄却部分に対する本件控訴を棄却する。
2)原判決中Xの予備的請求を棄却した部分を次のとおり変更する。
3)K社はXに対し、金100万円およびこれに対する遅延損害金を支払え。
4)Xのその余の予備的請求を棄却する。
5)訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを20分し、その19をXの負担とし、その余をK社の負担とする。

※なお、上記判決に対し、XとK社の双方が不服として、上告提起および上告受理申立てを行いましたが、平成30年3月1日、最高裁判所第一小法廷は本件上告を棄却し、本件を上告審として受理しない旨の決定をしています。
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【紀北川上農業協同組合事件】大阪高裁判決の要旨(平成30年2月27日)

2020年01月08日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
【1.本件就業規則等の変更が不利益変更に該当するか否かについて】
▼ K組合の給与規程は賞与の支給および定期昇給の実施について、これらをすることができると規定しているにとどまっており、給与規程を根拠として、賞与や定期昇給に関する具体的な権利が発生すると解することは困難であったところ、本件就業規則等の変更により、賞与は原則として支給しないこと、定期昇給は実施しないことをそれぞれ定めた。

▼ スタッフ職制度導入の前後における労働者の処遇を一般的客観的に対比すると、その程度はともかくとして、本件就業規則等の変更は労働者の労働条件を不利益に変更するものであると解するのが相当である。

【2.本件就業規則等の変更についてAらの同意があるといえるかについて】
▼ 本件変更について、Aらが同意する旨の明示的な意思表示をしたとは認められない。また、Aらが過去にスタッフ職制度について反対の意思表示をしていない等の消極的な事情をもって、本件変更について、黙示的な同意があったと評価することもできない。

【3.本件就業規則等の変更が労契法10条の要件を満たすかについて】
▼ Aらに対する賞与の支給や定期昇給の実施をする余地が完全に失われたということもできないこと、スタッフ職制度が適用されるまでに6年以上の期間があったこと、特に賞与の支給および定期昇給の実施については、変更前の給与規程において具体的な権利として定められていないこと等に鑑みれば、本件就業規則等の変更に係る不利益は実質的なものとはいえず、その程度は小さいといえる。

▼ 経常収支において赤字が恒常化していなくても、高年齢層の人件費がK組合の事業収支を圧迫している以上、高年齢層の人件費を削減せず問題を先送りにすれば、早晩事業経営に行き詰まることが予想されたこと、同組合の事業利益の水準は和歌山県内の同規模の農協に比べて低いこと、K組合が従来25あった支店を9に削減していたこと等からすれば、労働条件を変更する高度の必要性があったものと認められる。

▼ 賞与については、臨時に支払われる賃金の性質を持っていること、定期昇給については、若年者であればともかく、Aらについては、一定の年齢に達し、過去に継続して定期昇給が実施された結果、他の職員に比して、賃金も相当程度高額になっていること、以上の点を総合的に勘案すれば、スタッフ職制度導入に伴う変更後の就業規則等の内容が相当性を欠いているとまでは認められない。

▼ スタッフ職制度については、労働組合との交渉や職員への具体的な説明を経て導入され、その後変更を経つつも、10年以上にわたって継続して適用されてきたものであり、一応の定着をみていると評価することができる。

【4.結論】
▼ 以上により、本件就業規則等の変更は労契法10条所定の合理性を有していると認めるのが相当である。

1)Aらの控訴をいずれも棄却する。
2)控訴費用はAらの負担とする。
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