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会社にケンカを売った社員たち~リーガル・リテラシー~

人気メルマガ『会社にケンカを売った社員たち』の公式ブログ。会社と社員のWin-Winな関係作りの答えが満載。

【アイシン機工事件】名古屋高裁判決の要旨(平成27年11月13日)

2017年11月29日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ A社においては、派遣社員の受入れ時にポルトガル語を併記したテキストを用いて安全教育を実施し、異常が生じた際には機械を止め、上司を呼び、上司を待つことを指導するほか、動いているものや動こうとしているものには手を出してはならないことなどを「安全三訓」として強調し、毎日の作業開始時に「安全三訓」を唱和させて、これを徹底していたこと、平成22年6月にXを受け入れた際、派遣会社が通訳を同伴させて安全教育に臨んでいたことが認められることなどから、A社が機械操作時に機械内部に手を入れないよう指示指導する義務やチョコ停が生じた場合に上司を呼ぶように指示指導する義務を怠ったとはいえない。

▼ A社において、作業員が本件旋盤機の内部に手を入れた状態でボタンを操作し、さらにその操作を誤って、当該作業員の身体に危害が生じることを予見することは困難であった。

▼ A社は本件事故後、本件旋盤機に補助ボタンを設置し、両手で操作しなければ作業しないよう改良を加えたことが認められるものの、これは本件事故を受けて、徹底した事故防止を講じたものであって、当初の本件旋盤機に安全上の不備があったことを基礎付けるものではない。

▼ 本件旋盤機に補助ボタンを設置して両手操作でなければ作動しないよう設定した上でXに作業をさせる義務やワークと治具との間に覆いを設置するなどして、Xの右手が挟まれないようにするまでの義務がA社にあったとはいえない。

▼ A社にはXの主張する安全配慮義務違反があるとは認められないから、その余の点を判断するまでもなくXの請求には理由がない。

1)Xの控訴を棄却する。
2)A社の控訴により、原判決中、同社敗訴部分を取り消す。
3)上記の部分につき、Xの請求を棄却する。
4)訴訟費用は、第1、2審ともXの負担とする。

※ なお、本件は最高裁第3小法廷において上告が棄却されています(平成28年7月5日判決)。
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【T大学事件】東京高裁判決の要旨(平成27年10月28日)

2017年11月01日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ 法人化に際して制定された本件退職手当規程には調整率に関する規定がないところ、労使交渉において従前の勤務条件を法人化後の労働条件とすることが合意されていただけではなく、法人化後に退職手当を算出した際には法人化前と同様に調整率として100分の104を用いていたこと等の事情を総合すれば、調整率については法人化前と同じ100分の104を用いるという限度で労使慣行が成立しており、労働契約当事者はこれによる意思を有していたと認めるのが相当である。

▼ 本件退職手当規程1条2項は同規程に定めのない事項について包括的にT市の条例等を準用するものであり、かかる規定を設けることは調整率のみならず、種々の事項に関して団体交渉の機会を制約するものといえるから、同条項を加えることは就業規則の不利益変更に当たるというべきである。

▼ 法人化後の職員は公務員ではないのであるから、当然に条例を準用することにより団体交渉の機会が制約される不利益は決して小さいものとはいえず、また、改正規程を制定する手続は行われておらず、本件退職手当規程について1条2項を加える旨の改正手続が適正になされたと認めることはできず、同条項は無効である。

▼ T大学の一連の対応が不法行為を構成するとまでは認められない。

▼ Aらの請求は労働契約に基づく退職手当差額およびこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余の請求は棄却すべきものであって、本件各控訴の一部は理由があるからこの限度で原判決を変更する。

1)原判決を次のとおり変更する。
2)T大学はAらに対し、それぞれに対応する退職手当差額の各金員(A184万6458円、B170万9647円、C63万6934円、D18万2988円、E8万6054円、F6万9696円)およびこれらに対する遅延損害金を支払え。
3)Aらのその余の請求をいずれも棄却する。
4)訴訟費用は、第1、2審を通じて、別表(略)のとおりの負担とする。
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【日本郵便事件】東京高裁判決の要旨(平成27年11月5日)

2017年10月04日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ Xの本件請求はいずれも理由があり、その理由は原判決の記載のとおりである。

▼ 平成22年度との比較において23年度の方がXの勤労態度が明らかに低下していて仕事の処理(能率)の低下があるとまでは評価することはできず、Xの業務遂行状況は両年度を通じて特段の変更はなかったという原判決の認定は相当である。

▼ N社は22年度のXに関する評価は誤りであり、23年度の評価が適正であって、Xに関する人事評価に裁量権の範囲の逸脱はない旨主張するが、同社は原審において、各年度の人事評価が適正であることを前提に、23年度の業務遂行状況が悪化している旨主張していたにもかかわらず、控訴審において、22年度の評価自体が誤りであったと主張するのは不合理である。

▼ Xが苦情申告不服申立制度を利用しなかったからといって、22年度よりも下がった23年度の人事評価を認容していたとまでいうことはできない。

1)本件控訴を棄却する。
2)控訴費用はN社の負担とする。
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【甲学園事件】札幌高裁判決の要旨(平成27年10月2日)

2017年08月23日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ Xには本件ミスに関して、本件就業規則56条4号事由に該当する各職務懈怠が認められ、その内容は(1)入試委員会の総括責任者の立場にあり、文科省通知で留意事項として示されていた入学試験開始後における試験問題の点検を本件ガイドラインなどに定めてこれを実施することが容易であったのにこれを怠ったことと、(2)数学出題者が作成したチェック表を確認し、チェックがなかった項目について、数学出題者と第三者点検者に確認して注意喚起するなどの初歩的かつ重要であり、容易に実施できることを怠ったことであり、また、Xがこれらの職務を怠らなければ、本件ミスを防止し、またはこれを早期に発見することができ、追加合格者を出すことにはならなかった可能性が高いといえるから、Xの地位や職務懈怠の内容に照らせば、その責任は問題作成担当者らよりも軽いとはいえない。

▼ 懲戒事由事由(2)(3)は認められず、本件就業規則56条5号の事由に該当するとは認められないことを考慮しても、本件処分は甲学園の裁量を逸脱したものとは認められず、また、X以外に懲戒処分を受けた者が戒告であることとの均衡に照らしても、Xに対する処分が重すぎるとはいえない。

1)原判決を取り消す。
2)Xの請求をいずれも棄却する。
3)訴訟費用は、第1、2審ともXの負担とする。
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【日本レストランエンタプライズ事件】東京高裁判決の要旨(平成27年6月24日)

2017年07月05日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決

▼ 本件雇止めの時点で、Xには従前の職務に復帰することによって一定の割合で左肩腱板再断裂のリスクがあったと認められ、本件配送業務に復帰可能な状態にあったとのXの主張は採用できない。また、N社には当直業務への配置可能性を検討すべき業務があったとのXの主張も採用できない。

▼ Xを雇止めにした真の目的は、組合委員長であるXを嫌忌し、これを排除するという不当な目的であったとするXの主張は採用できない。よって、Xの請求はいずれも原判決のとおり理由がない。

1)本件控訴を棄却する。
2)控訴費用はXの負担とする。

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