会社にケンカを売った社員たち~リーガル・リテラシー~

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No.380 今週の事件【渋谷労働基準監督署長事件】の概要(2015年2月18日号)

2015年02月18日 07時55分00秒 | 会社にケンカを売った社員たち

今回の事件は、X(Yらの子)が雇用主である甲社の業務として行った出張中にアルコールを大量摂取した後に嘔吐し、吐しゃ物を気管に詰まらせて窒息死したことについて、労働者災害補償保険法(労災保険法)7条1項に規定する労働者の業務上の死亡に当たると主張して、S労基署長(本件処分行政庁)に対し、Yら2名が遺族補償一時金、葬祭料をそれぞれ請求したところ、本件処分行政庁がいずれも支給しない旨の処分をしたため、Yらにおいて両処分の各取消しを求めたもの。

Xは映像制作を業とする甲社に雇用され、照明、音声などの担当者として業務に従事していたところ、NHKのディレクターや従業員とともにロケのため約10日間の予定で中国へ赴いた。21年4月8日午後7時前頃から1時間ないし1時間半程度、ロケに同行していた中国共産党委員のFを招いて、日本人スタッフの主催による本件ロケ中締めの会が開催された(本件第1会合)。

本件第1会合の後、同日午後8時30分頃から、別の飲食店でFの主催する返礼の宴会(本件第2会合)が行われ、白酒(パイチュウ)と呼ばれるアルコール度数の高い酒が出され、Xを含む日本人スタッフはいずれも白酒を複数杯飲んだ。

Xは同日午後10時頃、宿泊先のホテルに戻ったが、翌9日午前2時頃、自室において、吐しゃ物を気管に逆流させて窒息死した。



皆様からのご意見ご感想等をお待ちしております。

※ この判例の本文は、『会社にケンカを売った社員たち』公式note に掲載しています。

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【淀川海運事件】東京高裁判決の要旨(平成25年4月5日)

2015年02月04日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決

▼ 整理解雇の有効性については、具体的には(1)整理解雇(人員整理)が経営不振など企業経営上の十分な必要性に基づくものか否か、またはやむを得ない措置と認められるか否か(整理解雇の必要性)、(2)使用者が人員整理の目的を達成するための整理解雇を行う以前に労働者の不利益性が小さく、客観的に期待可能な措置をとっているか否か(解雇回避努力義務の履行)、(3)被解雇者の選定方法が相当かつ合理的なものであるか否か(被解雇者選定の合理性)、(4)整理解雇の必要性とその時期、規模、方法等について使用者が説明をして、労働者と十分に協議しているか否か(手続の妥当性)などを総合的に勘案した上で整理解雇についてのやむを得ない客観的かつ合理的な理由の有無という観点からその効力を判断するのが相当である。

▼ Y社は平成20年9月に発生したいわゆるリーマン・ショックによる景気減速の影響を受けて、1ヵ月当たりの売上げが急減し、燃料費の高騰等も加わり、その採算性が悪化していたこと、同年12月には顧客のA社から代金の繰上げ支払を受け、消費税や社会保険料の支払いを留保して、ようやく従業員の給与等の支払原資を確保できるほどの厳しい経営状態であったこと、Y社は平成13年頃以降、金融機関からの新規融資が受けられず、上記のようなA社等からの支援を得ることができたものの、A社等からは事業規模に合わせた設備や人員の削減を求められ、そのような経緯を踏まえて、本件会社再生計画を作成し、希望退職者を募集した結果、22年4月には技能職員が40名になり、保有車両も38台にまで減少したものの、排ガス規制により、保有するトラクター2台を廃車にせざるをえなくなり、4名の余剰人員を抱えることになり、同年5月に希望退職4名を追加募集したものの、応募者が予定数に達しなかったことから、本件解雇に踏み切ったのであり、本件解雇時において人員削減の必要性があったものと認めるのが相当である。

▼ 22年4月頃の段階において、技能職員4名を削減する必要性があったところ、Xは5月7日に所定の退職金に一律100万円を加算することとして、希望退職者4名を募集したが、結局応募者は3名に止まったため、同月28日に所定の退職金に250万円を加算するとして退職勧奨を行ったものの、Xは応じなかった等本件解雇に至る経緯を考慮すると、Y社はXを解雇するに先立って、これを回避するための方策を講じていたものと評価するのが相当である。

▼ XのY社に対する時間外手当支払を求める訴訟提起は、同社との関係においてはまさに正当な権利行使として、何ら非難されるべきものではないが、そのことと企業の存続と従業員の雇用の継続を優先して権利主張を自ら抑制した他の従業員がXの行動をどのように受け止めていたかということについては、自ずから別の問題である。

▼ 労働契約関係が労使間の信頼関係に基礎を置くものである以上、企業の存続と雇用の継続を第一に考えるY社の他の従業員らが嫌悪感を抱き、反発し多くの従業員が職場復帰を拒絶する意思を表明しているという関係にあったXを業務の円滑な遂行に支障を及ぼしかねないとして被解雇者に選定したY社の判断は企業経営という観点からも一定の合理性が認められ、不合理、不公正な選定ということはできない。

▼ Y社は本件解雇に際して、「会社ならびに従業員間の協調性に欠けるという点を重視して選定した」などと解雇理由等についてXに説明しているから、なお解雇の違法性を基礎付けるほどの手続上の事由があったとは認めることはできない。

▼ 本件解雇が有効な整理解雇とされるための要件を具備している上、不当労働行為に当たるとも解されないから、解雇権濫用には当たらず、有効というべきであり、Xの本訴請求(判決確定後の賃金等の支払を求める部分を除く)はいずれも理由がない。

1)原判決分第2項および第3項を取り消す。
2)Xの請求をいずれも棄却する。
3)訴訟費用は、第1、2審ともすべてXの負担とする。

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No.379 今週の事件【淀川海運事件】の概要(2015年2月4日号)

2015年02月04日 07時55分00秒 | 会社にケンカを売った社員たち

今回の事件は、Y社の従業員であるXが同社からされた整理解雇は、いわゆる整理解雇の4要件を欠く、あるいはXの所属する労働組合の弱体化を企図したもので不当労働行為に当たり、無効であるなどとして、Y社との間で雇用契約上の地位確認を求めるとともに同社に対し、解雇後の賃金の支払いを求めたもの。



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