興味本位でYBRのセルモーターを分解しちまったから掃除をする。
まずはブラシカスが溜まってるリアブラケットの掃除。
樹脂なども使われてるので安易に溶剤系パーツクリーナーは使わず、掃除機ブラシで
ゴミを吸い取るのが一番簡単で綺麗になるよ。
ブラシスプリングは前もって外して置かないと、掃除機パックを漁るはめになる。
ブラシの測定をしてみた。
ブラシの摩耗限界値:3.5mmに対して9.5mmあるのでまだ余裕がある。
このまま使う事にした。
コミュテーターの汚れ具合。
赤丸で囲った部分はたぶんアーク放電の跡で、溝に中にはブラシのカスが
溜まってるはずだ。
コミュテーターも測定してみた。
コミュテーターの摩耗限界値:21.0mmに対して22.0mmだからこのまま
使う事にする。
マメに整備してて表面に凸凹の荒れが無ければ20mm程度までは延命できるだろう。
コミュテーターの接点を磨く。
サービスマニュアルでは600番程度のサンドペーパーで擦るように指示され
てるけれど、ナイロンたわしを使った方が接点を無駄に痩せさせなくて良い。
簡単で綺麗になった。
溝の中を掃除する。
爪楊枝でカスを掻き出すと結構溜まってるのが分かった。
このカスが隣り合わせの接点をレアショートさせて電気的な動作の妨げを起こし、
回転不良になる場合が多い。
この場所は意外と忘れがちな掃除箇所である。
端子の錆びたビスも交換した。
純正は鉄ビスであったが、俺は偶然電気配線用の黄銅ニッケルメッキのビスが
手元にあったので使った。
固定した後で防湿・防錆のためにグリスを塗布しておくと良い。
なお、ステンレス製ビスは電蝕及び電気伝導率の関係でお勧めできない。
掃除が終わったので組立に移ったけれど、これがまた大変だった。w
一応、サービスマニュアルにも手順が記してあるけれど、コツは載ってない。
最初にマーキングしたり、爪の位置確認したのは全てこのためである。
・爪がずれない事。
・スターターヨーク(筒)の前後方向を分解前と同じにする事。
(逆だと回転方向が逆になってスタータークラッチが動作しなくなる。)
・位置決め線に合わせる事。
・リアブラケットの穴とモーターシャフトの接触部に薄くグリスを塗布しておく。
・ブラシが脱落しないように“工夫”してコミュテーターを定位置に組み込む。
簡単に5行にまとめてみたけど、実際“工夫して”やらないと知恵の輪みたいで手が
もう2本欲しくなるはずだ。w
だれかに押さえてもらうなり、補助で手伝ってもらった方が絶対に楽だと思う。
またネット上に転がってるセローのセルモーター整備記事が作業の参考になるだろう。
2019年に同型モーターを搭載したXTZ125Eのモーター分解整備の詳しい動画が
You Tubeに登場したので観ると良いと思う。
XTZ125のセルモーター分解整備(詳細版)
https://www.youtube.com/watch?v=2PVHB1B9P6Q
製造会社では組立冶具で行ってるか、百戦錬磨のパートのおばちゃんリンさんが早業で
組み込みをしてると想像する。
実装後は特に変わり無く、いつもの様に元気に始動した。
開ける必要がない状況でメンテしちゃったからなぁ・・・変わるわけないw
セルブラシなどの摩耗限界時期は予測困難で具体的には動作時間で決まるわけだけど、
距離や年月で判断できない。
極端な例では1回始動して300㎞走り続けるのと、100㎞しか走らなかったけど休憩
含めて4回始動したのとでは、後者の方が減り方が進むってわけだ。
だから、なんとなくで構わないので2~3年経った頃に一度は確認と清掃・測定をして
おくと前出のようなセルモーター突然死を予防できると思う。
でも、例の謎の耐久性ってヤツもあって10万キロ超えでもまだ大丈夫な例があるから、
実際のところよくかわらん。
追記:読者様からのコメント情報にて走行距離約5万キロでブラシの残りにまだ余裕がある
との事でした。
回転が弱く感じるようになったら掃除メンテと残量確認だけで済ませられそう・・・
長寿の謎が少し解けた気がする。