YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

セルモーターの話(分解確認編)

2013年11月07日 | YBR電装系

YBR125に限らず電気モーター式で始動するバイクにはセルモーターが
搭載されてるけど、中身を整備したり修理する個人はめったに居ないだろう。
「電気はわからん」「そんな事ができるのか?」「なんで必要なの?」
「交換の方が早い」と色々な答えが浮かぶ。
ネタも尽きかけてる当ブログなので、隠して持ってたセルモーターの話を
2回に分けて公開してみようかと思う。

過去の経験や事例を揚げてみる。

【セロー225】
俺が昔乗ってた車種で走行距離約3万8千キロ時にセルが突然動かなくなった時の話。

・バッテリーは元気でセルモーター端子まで電圧が来ている。
・分解してみたら細かい埃(ブラシのカス)でいっぱいで、ブラシが限界まで
 摩耗してた。
・コミュテーター(整流子)が黒く汚れていた。
・ブラシ交換と各部清掃、コミュテーターを磨いて組み立てたら元気に復活した。

【XV750】
北海道ツーリング途中で泊まったライダーハウスで一緒に呑んだ方のXVが
朝になってセルが動かなくなった。
社会人で旅行期間に限度もあり、自走も搬送も大変でかなり弱ってたから、
試しに分解確認・清掃と細工をしてみたら直った。

・前日までは動いていたけど最近セルが弱々しく動く事があった。
・セルモーター端子までは電圧が来てる(ポケットテスターで確認)
・分解したらオイルで汚れてた。(モーターシャフトのオイルシール劣化)
・ブラシがかなり減ってた。
・清掃、オイルシールリップにグリス塗り、コミュテーターを磨く、
 ブラシスプリングを伸ばして ブラシの押し付けを増強する細工
 したら嘘のように元気に回った。
・劣化部品をメモして帰宅後に修理するように伝えたら後日、旅は無事に
 終了して修理も完了したとの知らせが来る。よかったよかった^^

【ジェベル125】
掲示板での相談相手の話。
セルの回り方が弱くなって朝の始動が困難になったのでバッテリーを交換したが
改善せず。

・分解組み立てのコツを伝えて実行してもらう。
・清掃、コミュテーター磨き、ブラシは摩耗限界に達してなかったのでそのまま
 組み立て。
 嘘のように毎朝元気に始動。前のバッテリーでも元気なので交換が無駄に
 なった。
・コミュテーターの汚れがバカに出来ない事例。
・分解よりもブラシ関係の組付けで一番苦労したとの事。

と、たった3例ではあるがまた聞きではないので実例として紹介してみた。
どの例でも一番先に疑われるバッテリーの劣化では無かったのに注目してい
ただきたい。
スタータースイッチ、スターターリレー、バッテリーが正常でセルモーターの
端子まで電圧が来てるなら、次に疑うべきはセルモーター自体だろう。
また、バッテリー交換前に内部確認しておくと無駄な出費を抑えられる。
セルモーター内の不具合は気付きにくい、隠れた故障なのだ。

さて、我がYBR号が納車されて約二年経った頃興味本位でセルモーターの
端子を覆ってるゴムキャップをめくってみたら、ごらんのようにビスが錆びていた。

このままじゃダメだよね~w
セローの経験もあったから、ついでに中を見て掃除でもしてみようと思い立った。

とりあえずダウンロードしてたパーツカタログで部品構成を確認する。

パーツカタログは分解・組図として一番わかり易い。

部品には全て方向や裏表、組み立て順番があるのでわかりやすいように
マーカーで印を付ける。

セルモーターはこれをやっておくと後で悩まずに済む。
真ん中の筒の前後方向もわかるようにマーキングし、組み立て時には方向を
再現する必要がある。
これをやらないと回転が逆になって役立たずになるw
(逆組みが発覚したら戻せばいい)

セルブラシがあるリアブラケットを抜く。

密閉はOリングで行ってるようだ。

開けてみたらブラシホルダー周辺に黒いカスが散乱してた。

ブラシはまだまだ余裕があるのでこのままにしておこう。

コミュテーターには少し汚れが目立ってる。

ここの銅接点が汚れたり、接点間の溝にブラシカス(導体であるカーボン)が
溜まるとセルの回り方が悪くなる。

もちろん、他にもシャフトベアリングの破損、ボディ内のマグネット脱落なども
回らない要素にはなるが。

シャフト部分を観察してみる。

そおっと外したおかげで脱落せずに二枚の部品の表裏と順番が把握できて
ほっとした。
ポロっと落としてたら困った事になってただろうw

どんな状態で組み込まれてたのか確認。

羽が付いた部品(ロックワッシャー)をフロントブラケットの溝にはめる
構造なんだね。 (重要)

ところが最近のYBRのパーツカタログを確認すると、このロックワッシャーが
書面上には無い。

仕様変更したのか、下記の5番サークリップも記載なし。

ところがサービスマニュアルには記載されてるので仕様変更でもしたのか
記載漏れだろう。

まあ、目の前の実機の組み順や部品構成にしたがえば間違いない。

シャフトのベアリングはニードルタイプだ。

普通に動いてるモーターなので破損は無く、ここはエンジンオイルで濡れるので
グリスアップの必要が無い。

幸いブラシはまだまだ使えるけれど、もしも将来、交換が必要になった場合は
一箇所ハンダ付けの
技術が必要となる。

表にある端子とブラシ端子の部分だ。
ここは熱量の少し大きな40~60W程度のハンダゴテで作業しないと上手に
外したり付けたりできない。
ハンダ吸い取りポンプ(電動・手動問わず)を併用したり、ハンダを溶かしながら
ブラシ端子を上へ引き抜く手順で外し、組み順は逆に行う。
このハンダ処理作業が苦手なメカニックや個人は、モーター自体を交換する方法で
簡単で早く修理する選択を選ぶかもしれない。
金で時間と技を解決できる場合はそれでいいけど、ものすごく古い旧車の場合は
モーター自体の入手が困難なので、この手の修理を得意とするお店やレストア屋さんに
頼むのも解決方法の一部だ。

ブラシを入手したければYBR独自の部番か、日本国産ならセロー225等の
ブラシが使える。

左はタオバオで見かけた部品で、右は俺が探しだしたセロー225用のブラシで
ビスまで付属してる。
当然、セロー用はメイド イン ジャパン
分解して構造と汚れの程度が分かったので、いよいよ掃除と消耗確認と組み立だ。

次回へつづく・・・