DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

学びは一つだけではない

2017-07-29 04:49:25 | 【DV加害者更生教育プログラム】
30代参加男性Kさんから

 リエゾンで学んだことは暴言や暴力のDVをしない、ということだけではありません。
リエゾンに通い、自分が会話でのコミュニケーションが苦手だということに改めて気付かされました。
今は別居している妻子と同居している時には、そのことをあまり自覚していませんでした。
もしかしたら、自分の弱みだからこそ、あえて気付かないふりをしていたのかもしれません。


そんな私がリエゾンで学んだことに、他者に自分の意見をしっかり伝える、ということがあります。
妻子と同居していたときに私がしてしまったように、大声や怒りを伴った、誤った伝え方ではなく、
落ち着いて、聞く相手を大切にしつつ、自分の伝えたいことはしっかり言葉で相手に伝える、ということです。


特に家の外で自分の意見を言うことが苦手だった私は、遠慮してしまい言いたいときに自分の意見を言えず、
家の外で知らず知らずのうちに、ストレスを抱えてしまっていました。
リエゾンで習う、小石を貯めてしまっていました。
家の外でストレスを抱えたことを自覚もせず、家の中では自分勝手に、ストレスを受け止めてくれる妻にぶつけてしまいました。
とてもひどいことをしてしまいました。


もし、私が自分の意見を言ってもいいんだとわかっていれば、
自分の意見を伝えることが大切だとわかっていれば、
自分の意見を冷静に伝えようと努力していれば、
妻を傷つけることにならなかったかもしれません。
妻と落ち着いてゆっくり会話をできていただろうと思います。


他者に自分の意見、考えを伝えること、伝わることで自分に自信が生まれてきます。
そして、自分の意見を言うだけでなく、今度は他者の意見を聞こうとします。
自分の大切さ、自分の意見の大切さに気付いた人は、他者と他者の意見にも自分と同じだけの重みがあることを理解できるからです。
それが相手を理解しようとすることにつながります。
円滑なコミュニケーションができることで、自分も相手も満足できます。
コミュニケーションの結果、ストレスや不満、怒りではなく、満足感、充足感を得られます。
その時には互いに信頼が生まれ、さらに深い関係になれるでしょう。


もちろん、これは一方だけが意識していてもできないことです。お互いが意識してできることだと思います。
結婚して特に学ばなくても、こういったことを自然にできている夫婦もたくさんいると思います。
本来なら、こういった他者とのコミュニケーションの基本中の基本は、育った家庭の中で身につけるべきものだと思います。
残念ながら、私は育った家庭の中では身につけることができませんでした。
そして妻と結婚し、別居に至るまで気付くことができませんでした。
妻子と同居していた頃の私は、自分が本気であることを表現するために、大声を出し怒ることしかできませんでした。
本当はそんなことは全く必要なく、言葉でしっかり妻に伝えることができることでした。


リエゾンではグループでの事例研究とエンカウンターで、自分の意見を言うことと他者の意見を聞くことの大切さを学びます。
そして夫婦間の改善はもちろん、同じ過ちを次の世代に引き継がないこともリエゾンの大きな目的だと私は思っています。
当たり前のことですが、子供は親を選べません。
どんな親も我が子に愛情を持って接していることでしょうが、もしかしたら、愛情のかけ方、方法が実は間違っているかもしれません。
子供への接し方が、子供の20年後、30年後に大きく影響するかもしれません。
そうならないために、親である私ができることはまだまだあるはずだと思っています。
これからも、妻との関係改善のため、子供のため、自分のために、週1回リエゾンちょうふで学び続けることを大切にしたいです。




リエゾンからのコメント

リエゾンではアサーショントレーニングもします。アサーションとは自分も相手も大切にする自己主張を言います。
男性たちは往々にして自己表現が苦手な人が多いためこの練習は必須になります。
これも男は黙って仕事に、とか、男は弱音を吐くな、とか、いろいろな刷り込みがあったことも、自己表現が苦手な理由に
関係していると思われます。
自分の気持ちを言わない→感情の抑圧→小石を貯める→小石が溢れる→不適切な表現になる→周りとのズレ
という風に負のスパイラルに落ちていくのです。小石とは感情の抑圧の意味ですが、リエゾンでは小石を貯めないように
伝えていきます。ズレを起こす相手は妻であることが多いです。なぜかというと日本には「あ・うん」の呼吸と
言われている不思議な行動・価値観が存在しているからです。妻は夫の気持ちを言葉がなくても察してあげることが
良き妻の条件なのです。
本当に言葉が無くても相手を察することはできるものでしょうか?

確かにメラビアンの法則という感情の伝わり方を%で表したものがあります。
それによると、言葉(7%)声のトーン(38%)雰囲気・オーラ(55%)というもので
感情は言葉より雰囲気で伝わることが55%となっていますから、見た目で半分強、相手の状況を読めることになります。

ではなぜ、察することができるはずなのに、夫婦が分かりあえていないのでしょうか。

それは察するにも大まかな察し方しかできないからだと私は考えています。

この人なんだか怒っているみたいだな。と妻が夫に対して感じたとしても
怒っている感情には、中味が見えるわけではないので、妻側の漠然とした思い込みによってきます。

実際、怒りには中身がいろいろあって、悲しみを感じている時の怒りだったり、
怖くて怒っていたり、人権を踏みにじられて起こる本当の怒りだったりするわけで
その中身は一つではありません。

例えば、帰ってくるなり夕飯ができていないと怒り出す夫がいました。妻はいつも不思議に思っていました。普段は優しい彼が
夕飯ができていないと怒るのです。実際彼の帰りはまちまちで、子育て中の妻が夫の帰りに合わせることは
無理だと何度も説明して、話すと分るけれど、やはり同じことになります。
彼はひょんなことからカウンセリングの機会に恵まれ、その怒りについてわかったことがありました。
彼は子どもの頃に母親が自分の話を聞いてくれず悲しい思いをしていたのです。その象徴が夕飯時だったのです。
彼の怒りの裏側には悲しみが存在していました。

夕飯を妻が毎回用意できるようになった頃には、かなり夫婦の気持ちのズレは生じるようになるでしょう。
怒りを察して顔色を見てビクビクするようになっていったら、ますますズレてしまい、大きなわだかまりになっているかもしれません。
「夫のことを大きな子どもだと思って、先を読んで動いてあげる。手の上で転がしておけばいいのよ。」よく年配の女性から受けるアドバイスの一つです。本当にこれで解決になるのでしょうか。女性が先を読むとか、霊能者でもありませんし、夫が大きな子どもとか思うなんて嫌ですよね。育ってください、って思いますし、かえって失礼な言い方だと感じます。

もし男性が女性の顔色をみて察することを強いられたら、その家庭をどう感じるでしょうか。
居心地の悪い家庭であることは間違いないようです。
でも女性には察することを望むのです。不思議ですよね。
理由は男性は気持ちを言うことができない人たちだから、周りが慮ってあげるのです。おもんぱかるって最近話題になりましたが、
あまり良い結果になっていませんでした。

言えないと決めつけないで、伝えましょう。
自分の感じていることを妻には話しましょう。
弱音だっていいじゃないですか。
そんなに頑張っていなくていいんですよ。

先の男性が妻に、夕飯のできていないときに感じる怒りを「母さんが夕飯時に話を聞いてくれなくて、それを思い出してしまう。」
と言えたなら、妻は「だから怒っていたのね。その気持ちはわかるわ。」と別な会話が始まっていたでしょう。ずれも生じなかったでしょう。感情を感じて伝える、リエゾンはこのことをとても大切にしています。
多くの男性が伝えられるようになりました。

記事を書いてくれたKさんが、妻との間で気持ちの伝えあいをできる日が来ることを願ってやみません。









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