らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

ヴィオラ Vol.8(G.F.ヘンデル ヴィオラ協奏曲 ロ短調)

2008年03月15日 23時44分40秒 | ヴィオラ
 J.C.(クリスティアン)Bachのヴィオラ協奏曲とG.F.ヘンデルのヴィオラ協奏曲は音楽大学に行く前に勉強して、発表会や入試などで弾く機会があるような曲で、実演に出会う事はまず無い。しかしヴィオラを学んだ者にとっては、アカデミックな側面はあるものの、とても愛すべき曲達である。ヴィオラ弾きにとっては大変有名な曲なのだ。往年のヴィオリスト達の中にも録音を残してる人もいて、W.プリムローズ、BachはW.クリストなど2回も録音している。

 モーツァルトに多大な影響を与えたバッハの第11子のクリスティアンやヘンデルなどの大作曲家がヴィオラの協奏曲を作曲しているのにびっくりしている人もいるだろう。実はカペー四重奏団のヴィオラ奏者としても知られているアンリ・カザドゥシュ(1879-1947)による偽作なのだ。私達が学生の頃はバロック時代にこんなロマンティックなヴィオラ協奏曲が存在していたんだなんて作曲家に感謝していたくらいだ。

 クライスラーという往年の大ヴァイオリニストが、自作を「既存曲を自分でヴァイオリン用に編曲した」と世間を欺いて、コンサートピースとして認めさせたが、評判が良くなり「実は全部自分が作曲したもの」と後に暴露したのと同じである。

 このカザドゥシュは、ヴィオラのレパートリーを増やすために「大作曲家の作品を捜しあてて再構築した。」なんて嘘を世間についたのだ。もっともすぐに、作風の違いからばれてしまったが、そのままJ.C.バッハの~、G.F.ヘンデルの~という事が一般的になってしまったのだ。

 だから本当はこの2曲はカザドゥシュの作品という事になる。世間を欺いたことによるものなのか?わからないが実演に接する機会が少ないのには、そういう事も関係しているのだろう。私は作曲者が誰であれ、良い曲だと思うのだが。どこぞの定期演奏会でヴィオリストのレパートリーとして定着しても良いとさえ思う。しかし、アカデミックなイメージが強いのとオケの伴奏譜などの関係でやられないのであろう。残念だ。
 

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