歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

バングラデシュの船舶解体現場

2008-01-22 01:13:27 | IT,インターネット
 ロシアの画像サイトFun-House.ruにて見つけた、バングラデシュの船舶解体現場の写真です。出所はこちら





 遠浅の干潟に打ち上げられた巨大な船舶。そこにとりつく人々。ちょっと非現実的な光景です。クレーンなどこれといった設備は見受けられず、ほとんど人力で解体されているようです。





 これは一体どういうことなのか、ネットで検索して調べてみると(たとえばwikipediaのこちら)、古い船舶の解体が大きな問題を抱えており、バングラデシュのような貧しい国がその問題を引き受けていることを知りました。
 バングラデシュの船舶解体は、まともな設備もない中、低賃金の労働者によってほとんど人力で行われ、事故によって命を落としたり重い障害を負ってしまう労働者が多いといいます。そして、古い船舶は有害なPCBやアスベストを使用しているものも多く、労働者の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、環境悪化につながっているのだそうです。

 廃船の解体、リサイクルは鉄資源の有効利用という観点からみて大変有益なビジネスでしょう。また、低賃金労働とはいえ、貧困にあえぐバングラデシュの人々に現金収入の道が少しでも開けることは悪い話ではありません。しかしながら、労働者たちの健康や生命、土壌や海に悪影響を及ぼしているとなると、これはちょっと。。。ですね。
 だからといって、まともな設備もない状況の下で労働者たちを働かせているバングラデシュの船舶解体業者を非難し、ボイコットできるかというと、それはどうでしょう。手間がかかる厄介な作業を請け負ってくれる国があることは、船主の大半を占める先進国にとっても有り難い話でしょうから。

 中国における電子機器の解体ビジネス(こちらは人力でレアメタルを取り出すことで儲ける)も同様の問題が指摘されていますが、船舶は図体がでかいだけに、解体を請け負える国、地域は非常に限られるでしょう。中国特需、資源特需で世界的な造船ブームが続いていますが、これらの船舶が老朽化した時に、誰が解体を請け負うのでしょうか。あまり知られていないようですが、かなり深刻な問題であると思います。

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18 コメント

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Unknown (デハボ1000)
2008-01-22 21:33:33
>労働者の健康に悪影響
ここに指摘されてることのほかに、燃料タンクやタンカーなどで、解体のノウハウが無いために、着火爆発事故が出てるといわれています。この原因による死傷事故は結構多いと聞きます。
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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2008-01-22 22:45:46
>解体のノウハウが無いために、着火爆発事故が出てるといわれています。
労働者の大半は文盲だといいますから、ノウハウもなにもないのでしょうね。痛ましい話ですが、こうした船の解体を誰が引き受ければよいのか。。。難しい話だと思います。
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Unknown (niwatadumi)
2008-01-23 12:44:03
電源ケーブルも見当たらないようですね。ということはデハボ1000さんのおっしゃるような事故を回避するためかもしれませんね。
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Unknown (suzuki)
2008-01-23 22:54:07
 途上国の生活は過酷ですね、危険な仕事でも、食えなくて死ぬよりましということでしょうか。
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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2008-01-24 00:36:50
niwatadumiさん、suzukiさん、コメントありがとうございます。
まともな設備も無い中で、どうやってあんな巨大な船を解体しているのか不思議です。とにかく人力なのでしょうね。大変な作業だと思います。
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Unknown (Navigator)
2009-04-02 10:37:52
外航船航海士をしている者です。

私もバングラデシュ船舶解体現場の労働安全衛生問題には関心があり、昨年現場を見てきました。
将来これらの問題を解決したいと考えています。

就職して2年目ですが、船舶関係(海運界/造船界)の安全に対する感覚は建前となっているのが実情です。

中学卒業後、商船高専に入学しましたが体育会系の体質が、そのまま海運界の体質になっているようです。船社は社会影響を無視しているため、この解体現場はまさに弱者と強者の関係が大きく現れていました。
バングラデシュを含め周辺諸国ではこの文化が当たり前となっています。

船社のCSRとして、有害物質のリストアップなど取り組んでいるようですが、それは何の解決にもなりません。

現地NPOも信用がなく、何のために存在しているかわかりません。

やはり、会社対会社の対等な関係で取引するしか、健全な方法はないと考えています。
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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-04-02 20:53:47
バングラディシュの現地をご覧になったんですか。貴重なコメントありがとうございます。
世界的な不況とはいえ、造船会社は大量の受注残を抱え今のところはまだ仕事が忙しいようです。どんどん船が作られていますが、老朽化した船はどうするのかほとんど省みられていないようですね。

>やはり、会社対会社の対等な関係で取引するしか、健全な方法はないと考えています。

私は家電や自動車のように、船のリサイクルも国内である程度できるようにすべきではないかと考えます。自ら大量に作っておいて、ゴミの処理は途上国任せというのは倫理的にどうかと思いますし。
しかしそうなると、他にこれといった産業の無い、バングラディシュの解体業者が立地する地方は困窮化してしまうかも。。。難しい問題ですね。
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解体船の実情 (okada ichiro)
2009-04-22 14:09:51
私は、バングラデシュで解体船からでる金属類を
材料にして現地で部品製造を行っております。
解体現場のチッタゴンの浜辺では、常時25隻ほどの30~40年位前のタンカーを中心とした大型船が
横一列で解体されており、20隻ほどが沖待ちして
います。先月、NYK所属の8隻の買取契約が決まったそうです。船籍はいろいろですが、世界の80%の
廃船がここで解体され、解体船から発生する金属、
部品、家具や装飾品、救命ボートや救命具、
電気製品、重油や廃油にいたるまでほとんど全て
現地で再利用されるか、輸出されています。実際に
解体作業に携わる人員から加工、販売、輸送等の
関連業務に携わる人は全国に渡り、その波及効果は
家族も含め500万人以上を食わせていると言われています。(チッタゴン500万人の人口のほとんど
は関連した仕事についています。)
確かに、はだし、はだか、素手でほとんどの作業が
行われ怪我や死亡事故は絶えませんし、補償は
ほとんどありません。又、環境にも悪影響を
及ぼしています。その為、グリーンピースなどが
ボートを浜の沖合いに浮かべ作業を妨害したり、
CNNニュースで取り上げられてからは、各国の
人権団体が政府に圧力をかけてきています。
又、船舶のリサイクル法などが国際的に協議されて
います。
確かに、いろいろな問題を抱えている作業では
ありますが、現地では家族を食わせる為に
(養うのではなく、食わす為)仕事があるだけまし
と言うとらえ方で命を張って仕事をしています。
もし、この仕事が出来なくなれば、これらのひと
たちはたちまち、食べる事が出来なくなります。
10数年まえは、このあたりも静かな漁村で
漁業で生計を立てていましたが、解体がなくなった
からと言って、その時代に戻すのは不可能です。
グリーンピースや人権団体は、この仕事を
やめさせた場合に発生する500万人の難民の
生活を補償できるようになってから反対活動を
するべきです。人権や倫理では、親、兄弟、子供の
腹を満たす事は出来ません。ここで働く人は
日給150円で命をかけて働いています。
ただ、このような貧乏暮らしでも、知り合いに
会うと家に招待して、お茶を出してもてなして
くれる様な人の良い人達です。私は機械加工など
を通して技術を習得させ、安定した収入を得る事が
出来るようにこちらに工場を建てました。
しかし、500万人に仕事を教えるまでもうすこし
かかります。それまでは、この解体の仕事を
残してあげるようお願いする次第です。

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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-04-24 01:17:41
okada ichiroさん、バングラディシュからのコメントありがとうございます。
チッタゴンの人々がこのような危険な仕事を安い賃金でやらなくても人間的な生活が送れるよう、バングラディシュの経済が発展することを期待します。

>私は機械加工などを通して技術を習得させ、安定した収入を得る事が
>出来るようにこちらに工場を建てました。
okadaさんの志の高さを感じます。いろいろとご苦労が多いかと思いますが、どうか頑張ってください。

ところでチッタゴンにはLEDメーカーの光波さん(このブログでも取り上げさせていただきました→http://blog.goo.ne.jp/kunihiko_ouchi/e/9ee8fb09c4f3689693203281861913d2)のほか、日本企業としては繊維関係の会社が進出されていると聞いていましたが、okadaさんのように金属加工関係のメーカーさんも進出されているんですね。
バングラディシュはいつか訪れてみたいと考えています。もし機会があればokadaさんの工場にも訪問させていただきたいと思います。
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解体プロペラ購入 (TOMI)
2009-08-12 17:22:02
私は船舶用のプロペラ製造メーカーに勤務しておりますが、okadaさんにお聞きしたいのですが
解体された船舶のプロペラ(銅合金)を購入するにはどうすれば良いでしょうか?
銅合金はリサイクルで再度高熱で溶かし、新作のプロペラ製造が可能です。
きちんとした購入ルートがあれば教えて頂きたく思います。okadaさんの会社ルートでも良いのですが継続的に安定供給できるシステムをご教授頂けると幸甚です。
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