歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

光州金型産業振興会東京事務所を訪問しました

2010-04-04 23:36:11 | 海外ものづくり事情


 この3月末に東京・虎ノ門の光州金型産業振興会東京事務所を訪問しました。
 光州の金型メーカーは219社と全国(4995社)の4.2%に過ぎないのですが、試験生産を行うための大型のプレス機、射出成形機が備えたトライアウトセンターを設立したほか、産学官連携による人材育成、技術開発、企業経営に対する支援など、韓国政府は光州市の金型産業の育成に相当に力を入れています。長年にわたって光州市を含む韓国南西部は産業の発展が遅れた地域でしたが、同地域を地盤とする金大中氏が大統領に就任して以来、風向きが大きく変わったようです。

 しかし驚いたのは、光州市という韓国の一地方都市の業界団体が、海外にビジネスチャンスを求めて拠点を設けているということです。光州金型産業振興会は2007年に東京事務所を開設し、2008年にはフランクフルト、マレーシア、トルコに駐在員を置いています。彼らは現地で金型メーカーの営業窓口機能を果たしているのですが、この海外ネットワークがお互い連携することで金型ユーザーの海外事業展開も支援できる仕組みになっています。例えば、日本の某大手自動車部品メーカーは金型を光州で起こして全世界に供給しており、欧州の某国での生産ラインを立ち上げる際には、光州の金型メーカーの技術者に加えて光州金型産業振興会の東京事務所の職員とフランクフルトの駐在員が立会い、彼らが日本語と現地語の通訳を行うことで円滑な生産の立ち上げを実現したとのことでした。
 私はこれまで韓国のものづくりについてあまり注目していなかったのですが、韓国政府の産業振興策、そして金型業界の海外戦略に対する力の入れ方の本気度を知り、いろいろと考えさせられました。