gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

名所江戸百景050 第110景 千束の池袈裟懸松 洗足池の灯篭流し

2013-07-13 22:05:35 | 名所江戸百景
こんにちわ、「くまドン」です。

 今回は、大田区(おおたく)にある洗足池(せんぞくいけ)の灯篭流し(とうろうながし)の話です。
 お盆(東京は7月)になりましたので、お盆関連の話題を選びました。
(絵画調)


【洗足池の灯篭流し】
 日時:  平成25年 7月16日(火) 夕方 (毎年7月16日に行われますので、今年は平日です。)
 最寄駅: 東急池上線(とうきゅういけがみせん)洗足池駅

 洗足池の東側(駅から見て右側)にある御松庵(ごしょうあん)妙福寺というお寺の「送り火」のお盆行事です。
 多くの灯篭が、ボートから池へ流され、暖かみのある色で光る灯籠が、水面を揺らめいて浮かびます。
 洗足池で見る事ができますが、事前にお寺に灯篭を奉納することも可能だそうです。
 その他に、洗足池公園でホタル(蛍)が見れる可能性があります。

 下の写真が、洗足池の南側(駅のある方)から眺めた写真です。
 右手の木がある岸辺が、灯篭流しを行う妙福寺のある所です。

 手前にボートがあります。当日の夕暮れ以降は、灯篭流しに使用するので、夕方からは貸出不可です。
 桜の季節も、湖畔に桜の花が咲くので、ボートを前景に写真になるスポットです。

 池を右回りに歩いて行くと、御松庵(ごしょうあん)妙福寺があります。

 念のため、申し上げておきますと、洗足池の灯篭流しは、お寺の仏事(行事)であり、お祭りではありません。
 その為、地元の大田区内でも、洗足池の灯篭流しは、知らない人がいる穴場スポットです。

 広重が江戸百景を描いた江戸時代末期は、妙福寺は浅草(あさくさ)にあったそうです。関東大震災(大正12年)で焼失した後、昭和2年に妙福寺と御松庵(所以は後述)が合併して、現在の寺号「妙福寺」となりました。
 その為、今でも、地元の詳しい人は御松庵と呼んでいるそうです。

 本堂に着くと、ちょうど、本堂から灯篭を池に運び出す所でした。
 堂内には、お坊さん(住職)がお経をあげており、灯篭が数基残っていました。お盆らしい風景です。


【洗足池と日蓮】
 この付近の地名は千束(せんぞく)といいます。
 この池の名前が「洗足池」になった理由は、「鎌倉時代に日蓮宗(法華宗(ほっけしゅう))を始めた日蓮(にちれん)上人が、静岡県の身延山(みのぶさん)久遠寺(くおんじ、日蓮宗の総本山)から常陸(ひたち、茨城県)へ湯治(とうじ)に向かう途中、池で休息して、足を洗った」という言い伝えからきています。
 日蓮上人は、この後、近くにある現在の本行寺(日蓮宗本山、大田区池上、池上本門寺の近く)で病状が悪化して、亡くなったそうです。
 その為、妙福寺を含めて、大田区には、日蓮宗の寺が多いようです。

 下の写真は、日蓮が袈裟(けさ、お坊さんが付ける布状の衣装)をかけたと言われる「袈裟掛けの松」です。
 「袈裟掛けの松」を護る「護松堂」が建立され、護(御)松庵といわれるようになりました。
 その時代の松はすでに無く、現在の松は、3代目だそうです。(鎌倉時代の事ですからね・・・・)

 暗くなってきましたが、本日は、仕事の帰りに寄りましたので三脚がありません。
 今回は、手振れしないようにISO感度200、または、ISO400設定と、ストロボで撮影です。
 露出(ろしゅつ)も手振れしないように暗めに撮影しておき、画像データで明るめに補正しています。

 下の絵は、広重の名所江戸百景「第110景 千束の池袈裟懸松」(冬景)です。
 中央にある池が洗足池(千束池)です。絵の構図としては、絵の中央に池を三日月状に配置して、左右を切り取って、画面の外に出すことにより、池の横方向の広がりを想像させています。
 右側中段にあるのが、袈裟懸松(けさがけのまつ)です。「名所」ですから、袈裟掛けの松を見物する人がいて、良く見ると、木の左下に石碑があります。

 さらに、分かり難いですが、池の奥の左寄りの森にある神社があります。千束八幡神社(せんぞくはちまんじんじゃ)です。
 池の手前の人馬が行き交う道が、中原街道(なかはらかいどう)です。中世以前からある古道で、徳川家康(いえやす)が江戸時代の東海道(とうかいどう)を整備する以前は、東海道の一部として利用されていました。
 広重のいた江戸時代は、東海道の本筋から離れ、のんびりした風景だったことが絵からも見る事ができます。

 絵の奥行きを持たせている遠方の山は、どこかと考えました。絵と地図を照らし合わせてみると、北方向になりますので、北関東(赤城山(あかぎやま)、日光(にっこう)方面かな?と思います。(北西の奥秩父方面でしたら、ごめんなさい)

 さて、妙福寺境内の池岸に行きますと、灯篭をボートに乗せる準備中でした。


 灯篭流しの写真と一緒に、お盆について説明します。
【お盆(おぼん)】
 お盆は、日本古来の祖先霊拝(神道)と、仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ、サンスクリット語(古代インドの言葉)の「ウランバナ」が語源)とが、習合(しゅうごう、混同)されてできた日本独特の形になった風習です。
 江戸時代においては、お盆の期間は、旧暦の7月1日~24日までとする所が多かったようです。
 (地方差が大きい為、日本全国共通はありません。)

 さて、妙福寺は、お寺の私有地ですので、お寺の北側にある洗足池公園の所で、灯篭流しが始まるのを待つことにしました。ボートが池の所定の位置に移動して、灯篭流しが始まるを待ちます。
(絵画調)

 昨年2012年の時は、梅雨の終わりに近づいていたので、風は強いのですが、夕方には晴れ間が見える良い天気でした。

【お盆の行事】
 お盆の行事は、日本全体で行われていますが、地方独特の内容や風習(ふうしゅう)があります。
 大雑把に代表的な行事を取り上げて説明します。

(1)釜蓋朔日(かまぶたついたち):1日の行事
 あまり聞いたことが無い日ですが、1日は「地獄の釜の蓋が開く日」であり、通常は1日~24日がお盆となります。
 地方によりばらつきがありますが、この日を境に墓参り(はかまいり)や、ご先祖様の霊を迎える準備を始めます。

 灯篭流しが、始まりました。


(2)七夕(たなばた):7日の行事
 仏教の行事としては、7日は棚機(たなばた)と表記し、ご先祖様の霊をお迎えするための精霊棚(しょうりょうだな)とその棚に安置する幡(ばん)を拵える日でした。
 現在の七夕については、「名所江戸百景048 第90景 猿わか町よるの景 浅草 七夕祭り」で説明しました。

 次から次へと、灯篭に火が灯され、流されていきます。かなりの数です。
 通常、灯篭は、亡くなった親族や、先祖の霊の為に流されるので、「○○家先祖代々・・・」と書くそうです。特に奉納理由は、「世界平和」でも良いそうです。
 2年前の2011年は特に多く、東日本大震災の慰霊(いれい)の為に奉納した人が多かったそうです。


(3)迎え火(むかえび):13日の行事
 ご先祖を迎える為に、13日の夕方に野火(のび)をたきます。
 13日から精霊棚のご先祖様への色々なお供え物をします。
 地方によっては、御招霊など大がかりな迎え火も行われます。
 迎え火の変形として、盆提灯(ちょうちん)がある。これも、ご先祖様の霊を迎え入れるための目印です。
 「名所江戸百景047 第21景 芝愛宕山 ほおずき市」で、盆提灯の代用として、「ほおずき」を飾る話をしました。

 池の対岸にも、多くの人が来ています。洗足池の弁財天社(べんざいてんしゃ)がある弁天島に渡る橋が見えます。

 この写真を、広重の名所江戸百景「第110景 千束の池袈裟懸松」に対応する「くまドン版」の景(秋景・確定)とさせていただきます。七夕の時も申しました様に、お盆は旧暦7月(秋)の行事ですので、秋景となります。
 (このプログは、名所江戸百景の現代版である「くまドン版」を作る事を第一目標にしています。)

(4)送り火(おくりび):16日の行事
 お盆に帰ってきたご先祖様の魂を、現世から再びあの世へと送り出す為、16日に野火をたきます。(例として、京都の五山送り火)
 地方によっては、川(ご先祖様の通り道)へ送る風習もあり、灯籠流しが行われます。
 今回の洗足池の灯篭流しもこの日に当ります。

 ここで、予想外の事態になりました。当日は風が強かったので、灯篭がどんどん写真の右に流されてしまいました。岸に灯篭が固まると、灯篭の紙に火がついて火事になりかねませんので、岸に集まった灯篭はボートで回収されていきます。

 風の弱い普通の年は、1時間以上、多くの灯篭が、池の上に揺らめいているとのことでしたが、
 暗いのでピント合わせや、手振れにも苦労しましたが、残念ながら、昨年は、これ以上の灯篭を画面に入れる事ができませんでした。

(5)地蔵盆(じぞうぼん):24日の行事
 ご先祖様を送る期間は、16日~24日であり、お迎え同様に墓参りなどをする。
 仏教では、地獄の王は閻魔王(えんまおう)ですが、その王と対(つい)になるのが地蔵菩薩(じぞうぼさつ)であり、
24日の地蔵菩薩の縁日までがお盆となるそうです。

(6)盆踊り(ぼんおどり)も、お盆の風習でしたが、別の機会とさせていただきます。

 灯篭流しが始まってから30分程度で、池に浮かぶ灯篭のほとんどは回収されてしまいました。
 風下の池岸には、数基の灯篭が残されていて、ゆっくりと揺らめいていました。


【洗足池の歴史と千束八幡神社】
 洗足池の歴史は古く、中世において、湧水地(ゆうすいち)だった所の水を堰き止め(せきとめ)て作られた池だったそうです。
 下の写真は、池の北西にある千束八幡神社の「池月」の絵馬です。
 西暦1180年に源頼朝(みなもとよりとも)が平家討伐の旗を揚げ、安房(あわ、千葉県の南)から鎌倉(かまくら)へ向かう途中に宿営した場所であり、名馬「池月」を捕らえたという伝承が残ります。池月の像もありますが、暗くて思うようには撮影できませんでした。

 この為、現在の洗足池も、近隣から流れてくる湧水を水源としています。
 自然の水の為、大田区は、ホタルの自生に取り組んでいるそうです。
 今年も、6月17日に近隣の大田区立大森第六中学校で育成されたホタルの幼虫が放流されたそうです。
 (この中学校は、環境美化教育の最優秀校に選ばれ、農林水産大臣賞を受賞したそうです。)
 昨年2012年に行った時も、放流先の池に居ないかどうかを見た所、短い時間で2匹程度光っているのを見つけました。当日は風が強かったので、ホタルは飛ぶことはできず、草むらにいましたが・・・・
 7月中ごろから羽化(うか)し始めるそうなので、運が良ければ、ホタルを見ることができるでしょう。
 【地元の方から聞いた情報、追記です】
 現在は、池の北東付近で、ホタルをカゴに入れた状態でお見せしているそうです。

 洗足池公園には、勝海舟(かつかいしゅう)夫妻の墓(写真左)と西郷隆盛留魂碑(さいごうたかもりりゅうこんひ、写真右)があります。長くなりましたので、説明は次回にさせていただきます。


 洗足池を一周して最初の所(上から2枚目の写真の所)に戻ってきた所、灯篭が岸辺近くに固まっていました。
 風上なので、一つも無いと思っていましたので、意外でした。
 状況から判断すると、この付近の洗足池の岸辺は、高さがある為、吹く風を遮断する状態となり、逆に、上を流れる風が、巻き込む形で反対方向に風上側に流れた結果、風上側の岸辺に引き寄せたようです。

 できれば、今年の灯篭流しは、池に揺らめく灯篭の風景を、ゆっくり眺めてみたいものです。

【お盆の日】
 毎年8月15日の前後に、テレビのニュースなどで「お盆休みの帰省(きせい)で交通渋滞」とのニュースをきいていますので、今回のお盆の日を7月15日で話をしているのが、不思議に思う方もいるでしょう。
 (実は、「くまドン」もお盆は8月15日と思っていましたが・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 「名所江戸百景048 第90景 猿わか町よるの景 浅草 七夕祭り」のでも説明しましたが、
 もう一度、旧暦(太陰歴)と新暦(太陽暦)との関係で説明いたします。

 江戸時代のお盆は旧暦の7月15日(現在の8月頃)で、秋(旧暦の7月~9月)の行事でした。
 明治時代になり、新暦(太陽暦)に変わった時に、各月が一ヶ月近く前にずれました。
 現在の日本では、お盆の日は3つに分かれます。

(1)明治政府の改歴に合わせて、新暦の7月15日をお盆の日とした。
 東京などの都市部・市街地は、この日が多いです。

(2)新暦の7月中は農作業の忙しい時期であり、農作業に支障があるので、旧暦の7月15日に近い、新暦の8月15日をお盆の日とした。
 北海道・東日本は、この日とする地方が多いです。帰省ラッシュの原因は、東京などから田舎の実家に帰る人の移動が原因です。

(3)旧暦の7月15日を現在でもお盆の日としている。
 沖縄・奄美諸島など。(前回は西日本も入れましたが、最近は(1)または(2)の日に変わった所が多いようです。)
 旧暦は太陰歴(月の満ち欠け約29.53日を基準)としていますので、1月が30日弱となります。(大月が30日、小月が29日)
 その結果1年12月が約354日となり、1年で約11日も早くなり、季節がずれていってしまいます。
 このズレを修正する為に、3年に一度ぐらいの間隔で、閏月(うるうづき)を挟んで調整することになります。
 この結果、旧暦の日は、年によって1月近い違いが発生することになります。
 例えば、
  今年2013年のお盆(旧暦)は8月21日ですが、
  昨年2012年は、遅い方になり、9月1日、2017年はさらに遅く、9月5日となっています。
   沖縄出身の方は、9月にお盆休みを取る事があります。
  来年2014年は、早い方になり、8月10日に当ります。

 撮影終了後に去る時は、亡くなった方々の冥福(めいふく、冥界での幸福)を祈り、合掌(がっしょう、日本では死者への哀悼の意)が礼儀とのことです。宜しくお願いします。(宗教上の問題が無ければですが・・・)


【撮影の必須道具・その他対策】
(1)三脚 (暗いので、手振れし易いです。)
(2)夏の夜の蚊(か)対策
・虫除けスプレー、虫さされの塗り薬(ぬりぐすり)など、お忘れなく準備してください。
 (ホタルもいますので、いたずらに殺虫剤や蚊取り線香は使用しないでください。)
・できる限り、長袖(ながそで)などで肌を隠すことをお勧めします。
・蚊は低い所にいて、足の臭い(におい)を好みますので、足も靴・靴下・長ズボンなどで肌を守る方が望ましいです。
・団扇(うちわ)があると、涼しい上に、蚊除けにもなります。
  蚊の飛行能力は低く、少しの風で思うように飛べなくなります。
  蚊は人体から出る二酸化炭素(CO2)・熱・においを検知します。
  つまり、団扇で仰ぐと二酸化炭素や「におい」を拡散させ、体温を下げると、蚊が目標物を補足するのが難くなります。
・激しい運動などすると、呼吸数が増え、体温が上昇するので、蚊が寄ってきます。注意しましょう。
・ビールなどを飲むと、蚊が「におい」に寄ってくるので、飲酒は帰宅時にしましょう。(未成年の飲酒はダメですよ!)

 撮影終了時間を見たら、夜の9時を過ぎていました。
 夕食を食べていなかったので、駅前のラーメン屋さんで済ませましたが、毎度のことながら写真撮影を忘れて食べていました。
 「くまドン」は、写欲より、食欲の方が強いのは治りません。(笑)


 今回は、これで終わりとさせていただきます。
 長くなりましたので、2回に分けようとしたのですが、うまく分割できませんでした。

 次回は、次の景まで間がありますので、旧中川の「逆井のわたし」の挑戦の話を続けます。
 基本的に、夏は、「祭りの風景」と「水の風景」の話が並行して進みます。


 日本プログ村に参加してみました。時間があれば、どれか一つ「ポチッ」と押してください。
にほんブログ村 歴史ブログ 江戸時代へ
にほんブログ村 写真ブログ 風景写真へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。