色々な男達

『真面目に本業だけ遣っていれば、利益が出ていたのに、変な遊びを覚えるから、本業以外でお金を使っちゃて、こんな事になってしまった』と、役員の同級生。

角刈りとスキンヘッドに会ったらしく、
『あの2人に会わされた時、目の前が真っ暗になり昼間なのに目が見えなくなった』と続く。

スキンヘッドの男を見れば誰だって真っ暗になります。
甚平に雪駄、それに殺気を持っていました。
怒る自分に興奮し、
さらに怒ると云うタイプっていますよね？
彼はそのタイプでした。

役員の彼は新興宗教の信者だと言い、
何かの修行のような事をしているようでした。
だから余計に相手の波動のようなモノが分かるのだと思います。

負債の総額は受け取った手形だけでは、まかない切れない額でした。

それと、
この手形に『1枚で良いから、俺に回してくれ』と、
電話で言ってきた人がいました。
ナルの親戚でしたが、自分は被害が無く、
他の親戚の人に頼まれたと言いました。
親戚は、これ1度だけで良いからと言い、
そして、会って欲しいと付け加えました。

彼の事務所に出掛け、通された部屋には、
1度会った事のあるオジサンと、
ガッシリした体格の男が待っていました。

三島駅近くのビルの持ち主で、
田舎のお金持ちらしく横柄な感じでした。


トイザラスの満開の桜
自然って凄いですね、決まり事を忘れません。

怪しい手形

ナルの会社の社員の給料、家賃、
光熱費などの現金は又も僕が立替払いでした。
手形期日が来るまでの辛抱です。

送られて来た手形の中には、
見た瞬間、怪しいと思われる手形が２枚程含まれていました。

今は分かりませんが、
当時は白紙の手形や小切手が売買されていました。

会社を設立して銀行当座を開設し、
大量の手形、小切手を貰い、白紙で販売するのです。
会社名だけゴム印で押されています。
支払い金額、
期日は買った人が自由に記入します、1枚、1～2万円でした。

他の同級生からもお金を借りていました。
電気屋さんなどは、
白紙の小切手を貸したと言ってきました、信じられます？！

『お前、何故白紙の小切手を貸したんだよ？！』と、怒る僕。
『幾らか言えといったんだけど、どうしても白紙で貸してくれ、迷惑は掛けないと言われたんだ』と、しょげ返る電気屋さん。

白紙の小切手は100万円でした、少し安心しました。

もう１人の同級生は数百万円でした、
彼はナルの会社の監査役になっていました。


長泉町のトイザラスの庭に桜が４本満開です。
今日は午後から雨だそうですから、
散ってしまうでしょうね～・・・

上野駅の待ち人

ナルの弟、親戚のオジサンたち数人とで、
新幹線に乗り込み、上野駅まで出掛けました。

相手は駅で待っていて、見た瞬間スジ者だと分かりました。

スキンヘッドとは違い、角刈りの様に紳士的ですが、
痩せ型でオールバックの髪型、
紺にペンシルストライプのスーツにネクタイと、
服装にもスキが無く、眼つきが鋭く一種異様な感じの持ち主で、
いかにも今風の都会のヤクザでした。

タクシーに乗り込み、話し合いの場所に行きました。
彼の事務所に行くのかと思っていましたが、
上野駅から数分の古い旅館の2階に連れていかれました。

『少しまけて欲しい』と言いましたら、
男は部屋から出て行き数分後に帰って来ました。
近くに事務所が在り、上の者に相談に行ったのだと思います。

相手は曲げる事は無く、
提示された金額を全額払い、書類と交換しました。
旅館に着いてから30分位で終わりましたが、
他の人達に取っては長く感じられる時間だったと思います。

打ち合わせの旅館の費用まで、
請求されるとは思ってもいませんでしたので笑えました。

司法書士に頼んだ、売掛金回収の封書が功を奏し、
ナルの取引先からは、手形が送られて来ました。


甥のSR311は2人乗りでしたが、
甥と甥の友達、僕の3人で走り回りました。
1人は、座席と座席の間に足を入れ、
トランクの上に座りました。
よく捕まらなかったものです。

荒れ放題のお稲荷さん

『あのね～、お稲荷さんを祭るのは良い事だと思うけど、こんな状態にしてしまうのなら御返しした方が良いと思います。昔から「さわらぬ神に祟りなし」と云うでしょ？これが原因だとは思わないけれど、荒れ放題にしてはいけないよ』と家族に怒りました。

ナルの親戚の不動産屋さんで、
この事件に係わっている女性が新興宗教の信者で、
僕の意見に同意してくれました。

この女性とは、ナルの事でチームを組みお世話になりますが、
世話もしなければならない事が待っているとは、
この時は知るよしも有りませんでした。

『何所のお稲荷さんなの？』と質問しましたら、
『伏見稲荷です』との答え。
『だったら、伏見稲荷に電話を掛けて、もう祭る事が出来ないので御返ししたいと連絡をした方が良い』と僕。

家族は早速、伏見稲荷に電話をかけました。
伏見稲荷からの返事は、
近くの格式の有る神社に御返しすれば良いとの事でしたと、連絡が有りました。
『だったら、三島大社が最適でしょ！出来るだけ早くお返しをして下さい』と僕。

2日後、関係している親戚の方達と、
上野に行く話し合いをするために、ナルの家に行きましたら、
お稲荷さんは三島大社にお帰りになった後でした。



フェアレディー2000・SR311ーハードトップ付き
1600のSP311も在りまして、
後部に横向きに座る椅子が付いていました。

新たな問題

今度は『浅草の金融会社から連絡が有った』と、
ナルの家族から連絡が来たのです！

早速家族に浅草の金融会社に連絡させ、どのような事かと訊ねさせました。
当然借金をしている事は分かっていますが、
額と期日、どうすれば良いのかを家族に認識させるためです。

家族に確認を取らせた後で、今度は僕が連絡をし、
期日、金額の再確認をし、行く日にちを決めなければなりません。

相手からの返事は、事務的で紳士的でした。
金額と支払い場所を指定するから、
こちらの都合が出来次第連絡後、支払って欲しいとの返事でした。
浅草まで行かなければ、ならないのか～、と思いました。

ナルの家族にはお金が有りません。
ナルは親戚からもお金を借りていて、親戚の人達も持っていませんでした。
仕方有りません、僕が立て替えて支払う事にしました。

この時、初めて昼間ナルの家に行ったのですが、
お稲荷さんを駐車場の前に祭っていました。
榊は枯れ、お供えの水は藻が出ている状態でした。


昨日、岐阜にいる同級生から電話が有りました。
中学の同窓会で今年ナルと会ったそうですが、
羽振りが良さそうに見えたそうです。


フェアレディー2000
好きな人達の間では「SR311」と呼びます。
この頃、甥が免許を取り、最初に買った車です。

持ち主が大阪で2人で新幹線に乗り、出掛けました。
帰りは、この車を僕が運転したのですが、
関が原で雪が舞いだし、怖かった思い出があります。
我が家で鶴田君とペンキ屋さんが心配してくれ、
遅くまで待っていてくれました。

又もや、問題

『ナルの元気そうな顔を見て安心しました、家族に話して上げます』と2人のスジ者に言う僕。
『お前ら、こそこそしやがって、何か変な真似、してね～だろうな』と、意気込むスキンヘッド。
『ま～、ま～、何か出来る訳が無いだろう、俺達2人が傍に居るんだから』と、なだめてくれる角刈り。

僕が帰ろうとドアを閉めようとしますと、
角刈りが近寄ってきて、
『あんたには、何もしないし、あいつにもさせないよ』と言ってくれました。
どうやら彼は、僕の事をナルから何か聴いていたようです。

この一瞬の出来事の間、スキンヘッドはナルに何か怒鳴っていました。

数日後、ナルの会社は倒産し、
ナルの会社から電話連絡が有り、出掛けました。
『出来るだけ早く請求書をまとめて欲しい、他の債権者に知られないように』とナルの社員達に伝える僕。
うなずくナルの社員達。

この請求書を持って司法書士の所に出掛け、売掛金の回収に掛かりました。

この間にも、また新たな問題が発生しました！


ホンダS800
妻は免許を取ったら、
S8か、ベレットが欲しいと言いました。

練馬の姉の家の近くで、
ブルーのS8が35万円で売られていましたので買うつもりでした。
車を見て、姉の家に戻りましたら、
沼津のホンダから連絡が有り、
30万円で良いS8が有るから見に来いと言われ、
見に行きましたが、酷い腐り掛けのS8でした。

直ぐに姉に電話をかけ、
ブルーのS8に手付金を打って来てと頼みましたが、
事既に遅しでした・・・

車も縁ですね～！

危険な2人の目を盗み

角刈りが見方をしてくれたお陰で、
少しだけ2人で話す時間を貰う事が出来ました。
スキンヘッドが2人だと、
どう云う事になったのでしょうか・・・

危険なので鶴田君を車に戻し、ナルと2人きりになりました。
『お前、どうしてたんだよ？たまには連絡寄越せよ。俺もだけど、家族全員で心配しているぞ』と少し大きな声で話す僕。
『連れまわされていたから連絡出来なかった、ご免』と謝るナル。

『ナル、お前個人の実印と会社の実印がここに有る？』と、小声で会話を挟む僕。
ナルも理解したようで、指で合図します。
机の中から目的の印鑑を取り出し、ポケットにねじり込みました。

気付かれていないようで一安心ですが、後は変に疑いを掛けられず、
ここからマトモに帰れるか、どうかです。

『2人に頼んで、たまには家に電話をして安心させないと駄目だよ、子供が小さいから奥さんも不安だろうし、両親の事も考えて上げないと、な！』と、少し大きめの声の僕。
『分かった、そうするよ』と、うなずくナル。

『俺のこと信じろ。社員に俺の言われるままに行動しろと、伝えてくれ』と小声で話す僕。
うなずくナル。

『元気で居ろよ！』と大きめの声の僕。


いすゞベレットGT-R
鶴田君は世田谷の家に泊まり込んだ、
ペンキ屋の同級生から緑のベレットを買い、
ベレット好きの同級生は、このGT-Rを買いました。
15年位前まで所有していましたが、乗らないで埃を被っていました。
僕が譲り受け、整備し乗っていましたが、三重の方に里子に出しました。

あぶない2人

『この男、怒ると怖いんだ、周りが見えなくなって、誰の言う事も聴かないし、誰も止める事が出来ない、気が付くと半殺しにしているんだ。それでも飽き足らないと首だけ出して身体を千本浜に埋めるんだよ』と、脅す角刈り。
『この野郎、グズグズしね～で、とっとと動け、本当にグズな野郎だ。千本に埋めるぞ。潮が満ちてきて顔も埋まるんだ、それを見ていると面白い、な～！』とナルを脅し、怒鳴るスキンヘッド。

角刈りの顔を見て、同意を求めますが、
角刈りは眉をひそめ顔が嫌がっていました。
どうやら同格の兄弟分のようでした。

恐怖を通り越し、顔が笑っているように見えるナル。

この男と会えば、
この言葉が嘘だとは誰も思うはずは有りません。
その位、危険な顔付きでした。

『本当にすいませんが、ナルの家族も心配していますので、ナルと5分で良いですから話をさせて下さい』と僕。
『話をさせろだと～！』といきり立つスキンヘッド。
『ま～、ま～、ま～、少しだけなら良いじゃないか、この人の顔を立ててやれよ』と角刈り。
『変な真似をしたら唯じゃ～おかね～ぞ！』とスキンヘッド。


トヨタ・カリーナ1600SR
免許取立ての妻が、
最初に乗った車。
色は茶色で、
横浜の友達も同じ色の1600GTでした。

ナルと一緒の2人

丁度その日は休みの前日で、
家に鶴田君が来ていました。
鶴田君は、僕が店を止めた後も、
度々泊りがけで遊びに来ていました。

『久し振りに黄金虫に行ってみる？』と云う事で2人で出掛けました。
新宿から来た女性が、
日大の顔見知りの女学生をアルバイトで使い営業していました。

同じ店でも、
僕達が営業していた時とは雰囲気が全く違う感じがしました。
アルバイトの女学生に、
サンドイッチの作り方を教えたり、
他の簡単な物の作り方を教えたりと時間を過しました。

帰りがけにナルの事務所の前を通りましたら、
深夜なのに電気がコウコウと灯っています。
鶴田君と2人で事務所のドアを開け入っていきました。
ナルが2人の男と一緒に居るではありませんか！

一緒にいる2人は、普通の堅気には見えません。
2人の内、
1人は角刈りでまだ普通の話が出来そうな感じでしたが、
もう1人は如何見ても話し合いなど出来そうもない、
知性のカケラも無い感じのスキンヘッドでした。


ホンダＳ600
レストア後、
請求書の金額が、85万円できました。
『約束が違う！』と当然怒りました。

結局65万円を払いましたが、
こんなに掛かるなら最初からしません！

連絡が取れない、ナル

連絡が取れず困っていましたら、
ナルが夜突然、家に訪ねて来ました。

『お前、連絡が取れなかったけど、どうしたの？』と僕。
『店のお金払えなくて悪いな～、今他の人に売ろうと思って探しているから、少しの間、待っていて貰える？』とナル。
『そうだよな～、井上から聞いたけど妹の旦那は遊んでいるらしいね、仕入れも出来ないらしいじゃない。店を売る相手はいるの？』と僕。
『東京の新宿の女性で自分で店を出したいと言う人がいるから、当たってみるよ』とナル。
『売る人が決まったら紹介して貰うよ』と僕。
『うん、そうする、悪いけど金額を決めるからその人から集金してもらえる？』とナル。
『俺が集金するの～？ま～・・・そうするか』と僕。

新宿の女性が店を遣る事になり、会いました。
いかにも崩れた水商売風の女性で、
『えっ、新宿？』と言いたい、場末も場末と云う感じでした。
彼女から集金しましたが、ナルは300万円で売ったので、
僕がナルに売った金額とでは100万円差が出ました。

差額の金額をナルから貰おうと連絡しますが、
又連絡が取れない状態になりました。

ナルは遊びでお金を使い過ぎ、
最悪の所からお金を借りてしまいました。


ホンダＳ600
黄金虫を遣っていた頃、17万円で買いました。

中学の同級生で車屋さんがいましたので、
レストア金額を聴きましたら、
35万円位だと言うので頼みました。
それがトンでもない事になりました・・・