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爛漫日記

インターネット古書店 独楽知の、春爛漫ではなくて、秋爛漫?の日記です。

深沢七郎『東京のプリンスたち』

2005-09-27 22:36:05 | 私の本
私は深沢七郎さんと同郷なんです。
「笛吹川」の流れる石和町の、すぐ近くで育ちました。
現在、笛吹川周辺の町村が統合されて、名前も「山梨県笛吹市」になっています。

昨日、『深沢七郎論』の注文があって、ふと深沢七郎の本を読みたくなって、大好きな『東京のプリンスたち』を読みかえしてしまった。
この本は、久里洋二の装幀がすばらしい、昭和34年発行の本です。

この小説は、まだ自宅でレコードをかける装置を持てず、喫茶店でプレスリーのレコードをかけてもらっていた時代の高校生たちの話。
以下、本文から抜粋。


表に愚連隊らしい奴が二人立っていて、こっちを睨んでいた。常雄はそっと女のヒトの蔭に隠れるように歩いた。田中も常雄の横に、避けるように歩いた。(この女のヒト、しっかりしてくれればいい)と思いながら常雄はそっと歩いた。(あんな奴等は、ロックンロールの唄を聞かない下等動物だ)と思った。俺達のように、ロックをききながら全身をリズミカルにゆすれば、あんな怖っかない眼つきや、暴力など何処かへ消えてしまうのにと思った。


その日のデイトは映画へ入ってしまった。映画などテンポがのろくて嫌いだが、テンコが「見たい」と言うので入ったのだった。洋館で、中年男と若い女の情事のツマラナイ映画だった。女を恋するとか、男を恋するとか、面倒臭いことは嫌だった。30分も見ているとアクビが出てきた。自分のことではないので興味がなかった。それに、(愛するなんて、あんな神経衰弱の様な、熱病の様なことは)と思った。重い、深刻なことは気分が悪くなるので嫌だった。音楽がいいというけどムード・ミュージックで、ナマヌルイ風呂に入ってる様な嫌なミュージックだった。
「つまんねえなァ、出ようか?」
と言うと、テンコも退屈していたらしい、すぐに立ち上がった。

魚座

2005-08-12 22:14:28 | 私の本
私は魚座です。

『鏡リュウジの星座占い 魚座』を読んだら、すごく楽になった。

わりとコロコロ変わる自分の性格を、困ったものだと思っていたら、この本を読んでわかったんだけど、魚座の性質なんだって! 
それなら仕方がないか、って納得してしまった。
この本を時々読み返すと、「まっ、いいか」と気持ちを切り替えられる。


 魚座の変わり身の早さ、あるいはあざやかさは、魚座の持つ外の世界に対する親和力、同化の力に秘密があるといえるでしょう。とくに重要なのはあなたが好きだと感じる人の趣味や話し方や考え方。こうしたものに、すぐにあなたは「感染して」しまいます。
 いいかげんにも思えるかもしれませんが、魚座の本当の魚座らしさは、まさに、いろいろなものにさっと染まっていけるところにあるといえるでしょう。
 魚座のあなたは「かたち」にこだわってはいけません。そうではなくて、絶えず流れているような、変化するプロセスのなかにこそ、あなたらしさ、魚座らしさが現れるのだ、というふうに考えましょう。

『依存症』 信田さよ子著(文春新書108)

2005-08-04 23:08:18 | 私の本
何気なく立ち読みして買った本だけど、結構よかった。
ストンと腑に落ちた感じ。

「第2章 依存症と嗜癖」の最後から抜粋。

 周囲の人間は、傷つけられないよう離れ、本人が現実に直面することの妨害をしないことが何より必要なのかもしれない。離れていくことも愛であり、手助けすることが時としては有害な愛になるとすればいったい「愛情」とは何なのだろうか。
 依存症とは、このように我々に人間関係の重さと同時に、疑いをはさむことなく使われてきた「愛情」について問い掛ける。