日本舞踊 西川鯉男 お稽古場

伝統芸能の日舞を楽しく学ぶお稽古場の雰囲気をお伝えしたいと思います。鯉絵の「独り言」も織り交ぜて、、、

今月の歌舞伎座劇評

2007-02-10 19:47:27 | 日本舞踊
なあんちゃって、偉そうですね、まあ私の感想です。
まず、大序ですが形式どおりと期待してなかったのですが、魁春の顔世が良かった!以前は控えめな芸風からもっと前に出ればいいのに、と思っていたら、慎み深く思慮深いといった風情の顔世がぴったりでいやいや一寸歌舞伎座にご無沙汰の間、してやられました。道行では亡き大先輩、鹿島さんが我が鯉男会でおかるを踊ったのが最後と思い出し、賑やかな舞台なのに、うるっと来てしまいました。

さて、夜の部、菊五郎の勘平は久しぶりに気持ちの良い舞台でした。って私は何様って物言いでごめんなさい。かねてより、この七代目の江戸前の芸風は好きで「三千歳」の直次郎は大ファンでしたが、今までの勘平はどうもサクサク行っちゃってもっとと思いましたが、今月はこなれて自分の勘平になったよう。運んで欲しいところはささっと、(納屋に雷が落ちたの雨漏りがしたのと)たっぷりしてと言うところ(武士の情けじゃ、色にふけっばっかりに)はたっぷりとしていて実に自在でした。写実になり過ぎず、かといって古風でもない微妙な按配が何とも良い。何でもぎりぎりがいいんじゃないでしょうか。やりすぎちゃ受け狙いでいやらしいし、くさくて小芝居で下品、上品にと一人悦にいっても駄目、この加減がぴたっときました。そして菊五郎は何よりいい男!ここんとこ大事!だって勘平なんだもの。
さてお待ちかね七段目、まず玉三郎のおかる、綺麗で平右衛門に見せてくれと言われ「こうでござんすか」と立ったところなど女の私でさえ、むしゃぶりつきたくなるほどの美しさ。階段を降りる裾裁きの綺麗さ、また綺麗だけでなく、兄弟の情愛の表現、夫亡き後の潔さなど前見た運びとは違ってました。吉右衛門の口跡の良さは天下一品、九太夫への最後のセリフはこっちもスカッ!吉右衛門の由良之助は周りを始終気にして遊んだ振りを印象づけ、仁左衛門の平右衛門は小物の悲哀を出すという役の性根をしっかりと3人がバランスよく芝居を作り、現代の観客にしっくりと馴染む運びでした。ほんと楽しみました、ありがとうございました。
コメント
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