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ミステリ感想-『魔夢十夜』小森健太朗

2006年07月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
恵はルームメイトに頼まれ、自殺した女子生徒の足跡を調べるうち、学内にカルトめいた集団があり、自殺した少女がそれに関わっていたらしいことを知る。
そのうちに学校近くのホテルで生徒が変死体で発見され、さらに2人の女子生徒が何者かに突き落とされる。
しかも死体は二重に折り重なっていた。校内に漂う暗闇の正体とは?


~感想~
ミステリの王道ミッションスクールを舞台にした、暗号あり作中作ありオカルトありの王道ミステリ! ……になってもおかしくないのだが、どうにも様子がおかしい。
舞台からして実は「かつてミッションスクールだった」というだけで、そのころの名残りの礼拝堂などは登場するものの、規則はゆるやかになり、普通に寮を出ることは当たり前、(実質1人だけど)男子の受け入れもするし、おなじみの教師ならぬシスターも現れず、生徒は化粧はするわタバコは吸うわのやりたい放題。
べつにミッションスクールじゃなくてもいいのでは? と疑問に思っているとおなじみのアレ(いちおうネタバレ→)黒魔術儀式 が出てきて安心(?)させてくれる。
ミステリとしてみれば、読者の7割が読み飛ばすだろう再三の暗号解読はともかくとして、2つの墜死体をめぐる謎解きはなかなかに見せてくれるのだが、なんといっても物語が痛いのが最大の難点。
どのくらい痛いかというと、「テニスの王子様」の作者がかつて連載していたマンガで、主人公のクールが「COOL! COOL!」と叫びながらバイクを飛ばしているのを見た仲間が
「COOLがHOTになったぜ!!」
と言うシーンくらい痛い。

一例を挙げれば、なまりを隠すために四字熟語だけで話す少女とか、右目に包帯を巻き関わると不幸になると噂される少女とか、「これは破魔の護符よ」なんてペンダントを渡してくれる少女とか、上記のアレに心酔して電波な発言をくり返す少女とか、お嬢様生徒会長と四天王とか、イタイ少女のオンパレードである。
それに加えて、ちょっと言及するのにも困ってしまうような、正直これって必要なのかな? と思う、作者おなじみ(らしい)トンデモインチキオカルトな設定までからんでしまい、とにかく読む人を選ぶ作品に仕上がってしまっている。
なにはともあれ痛い少女フェチな方には強くオススメしたい。


06.7.13
評価:★☆ 3

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