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ミステリ感想-『マスカレード・ホテル』東野圭吾

2016年05月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
会社員の絞殺、主婦の扼殺、教師の撲殺……なんら関わりの無いように見える3つの殺人現場に残された3つの暗号。
それらが指し示す次の犯行現場はとある一流ホテルだった。
事件阻止のため警察はホテルマンの中に刑事を紛れ込ませ、内と外から真犯人を追う異例の計画を立てる。

11年文春4位


~感想~
一流ホテルの日常+刑事の潜入捜査+ミッシングリンク。こんなの面白いに決まってるじゃないか!
ドラマ化されていないのが不思議なくらいドラマ化も容易な設定で、どこまで儲けるつもりでどこまで伸びしろがあるんだこの作者はと、満面の笑みで罵りたくなる。

一流ホテルの通常業務という大方の読者には非日常の光景がまず珍しく、そこに次々と降りかかる大小のトラブルと、フロント係を任された刑事へのホテルマンとしての新人教育が物語を牽引する。
それに加えて全く関わりの無いはずの被害者たちをつなぐミッシングリンクを、フロント係の刑事(イケメン)と相棒の冴えない刑事が内外でタッグを組んで解きほぐし、教育係の女性フロント(美女)がそれにヒントを与えるという、ドラマ化してくれと言わんばかりの、エンタメ作品のお手本のような展開で最後まで興味を引く。
ミッシングリンクとそれを暴く推理が意外とガチで、そのあたりでドラマ化が難航しているのかもしれないが、ガチなトリックと推理から浮かび上がる犯人は完全に意表をつくもので、解決前にその正体を予想できる読者はまずいないだろう。

ミステリとしてもエンタメとしても全く死角の無い、作家生活25周年記念出版の名に恥じない、東野圭吾の実力をまざまざと感じさせる良作である。


16.5.24
評価:★★★★☆ 9

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