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小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『午後のチャイムが鳴るまでは』阿津川辰海

2023年11月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昼休みに学校を抜け出してラーメンを食べ、泊りがけで部誌を作り、消しゴムポーカーに熱中し、不可解な言葉を推理する。
下らないけれども輝かしい青春の日々の裏に潜む数々の謎は、午後のチャイムが鳴るまでに解き明かされる?


~感想~
全作読んでいないので断言できないが、これまでガチガチの本格ミステリを書いてきた作者が初めて挑んだ学園青春物。
阿津川辰海といえばデビュー作から7作続けて5年連続で本ミスベスト10入りしてきた本格ミステリの鬼であり、今回もガワだけ青春物でいつものように全ページに伏線が張り巡らされたようなガチガチの内容かと思いきや、いわゆる「肩の力を抜いて描いた」と冠されてもおかしくないゆるさ。
もちろん(既刊と比べればゆるめだが)豊富な伏線や連作短編集らしい仕掛けも用意され、好人物ばかりのキャラ造形で楽しい学園ミステリに仕上がってはいるものの、全体を貫くトリックは作者ほどの実力者がいまさら披露するまでもない代物で、伏線もほとんどが仕掛けられた瞬間に丸わかりのゆるさで、期待を上回りはしなかった。
特に3話目の消しゴムポーカーのコンゲームが繰り広げられる「賭博師は恋に舞う」は漫画ならまだしもやはり文字だけで読むと厳しく、盛り上がっているのは登場人物ばかりだった。(余談だが今月刊行の青崎有吾「地雷グリコ」も同様の理由で厳しそう)
とはいえそこは本格ミステリの鬼で及第点は優に超えており、阿津川辰海の初の学園青春物!?と期待し過ぎたこちらが全面的に悪いだけで普通に楽しいミステリではある。
しかし流石に本ミスベスト10入りは難しそうか。


23.11.16
評価:★★★☆ 7
コメント

お題の作り方

2023年11月16日 | お笑い
先日、某サイトさんからお題についての記事を依頼されたのだが、僕の作り方があまりに異端すぎて「考えさせてください」と半ば断りを入れてしまった。
それに昔はまだしも現在はなんとなくで感覚的にお題を作っており、言語化するのが非常に難しいし、その方法が異常すぎるのだ。
しかしせっかくの機会なのでありのままにお題の作り方を書いてみたい。

まずは自慢話から。
おそらく僕は世界一多くの大喜利のお題を作っている。

諸事情により改名したがネット大喜利は2003年から始めており、当時参加していたサイトでは毎日のようにチャット大喜利が開催され、1位の人が次のお題を出題するルールだった。これにより毎日数問は出題する機会があった。
翌2004年に大喜利サイトを作るとレギュラー企画はもちろんのこと、自分でもチャット大喜利を毎週のように開催し、さらに2005年からは1日1問出題のデイリー大喜利を始めた。
休止期間が3年ほどあったようだが現在も継続しており、このデイリー大喜利だけでも2005年~2023年から3年を差し引いても足掛け15年に渡る。ここ数年はお題をもらってもいるが年間250問は間違いなく作っており平均すれば年間300問は行っているはずだ。
それに加えて17回開催している60分大喜利では最低30問、コガトナでは計1280問ほどを出題した。
今はレギュラー企画はコガリーグだけだが昔はしょっちゅう単発企画をやっていたし、生大喜利会に提供も始めたから、20年間で平均してざっくり年間100問としてみよう。
ざっと数えてみる。

デイリー大喜利 15年×300=4500
60分大喜利 17回×30=510
コガトナ 1280
毎週のレギュラー企画や過去の単発企画その他 20年×100=2000

計8290問。少なく見積もっても最低このくらいは作ってきたはずだ。
毎週3問の笑点の大喜利コーナーは67年続いているが、全て一人が出題していたとしても156×67=10452問である。
僕が世界一を名乗ってもいいのではなかろうか。


ようやくお題の作り方の話に入る。こっちはもっと異常だから覚悟して欲しい。
以前はちゃんと普通に作っていて、出来上がったら自分で考えてみてすぐに10回答くらいはできそうかチェックしていた。
今はそんなことをしていない。なんとなくだ。
作った。できた。まあ行けるだろ。これはシンプルだからデイリー大喜利だな。長考向きだからコガリーグか。じっくり取り組んで欲しいからコガトナ用に取っておこう。これは酷いからデイリー大喜利行きだ。
そんな感じだ。

そしてたくさんのお題を作った人なら経験があるだろうが、何か単語をもらい、そこから発想してお題作りをすることがある。
しかし僕のように毎年異常な数のお題を作っていると、わざわざ単語をもらうのも気が引ける。かと言って自力で単語を見つけてくるのも限界があるしマンネリ化する。(当時はランダム単語ガチャのようなものは無かった)
そこで思いついたのが、趣味と実益を兼ねたSCPの大喜利化である。(※ここからが異常です)

SCPというのはざっくり説明すると海外発祥の創作SFサイトのようなもので、異常な物品や現象を管理し世界を守るSCP財団という存在がいるという設定で、各国で数千のオリジナルストーリーが考案されている。
これにドハマリした。そして凝り性なので1から順に読んで行き、簡単な説明を付けたページを作った。

https://koganezawa.main.jp/scp/scp-top.html

そして気づいてしまった。これお題作りの単語をもらう代わりに使えるんじゃね?と。
自力では絶対に使わない単語と、思いつきもしない発想を得られ、大喜利のお題にするのにうってつけではないか!
こうして僕はSCPを1から順にお題化していくことになった。

たとえばコガトナ2023準決勝のお題「味も値段も全て普通なモブバーガーの新作CM」は

SCP-1670 - Interdimensional House of Pancakes (次元の狭間のパンケーキ屋)
あるレストランチェーン店。チェーン店として運営されていないと営業中の状態へと逆行する。その際には付近の住民が客や店員として内部に現れ、彼らは以前から通っていると主張する。外見は普通だが時折、異常な存在も現れる。財団職員が店員になり開店しておけば逆行現象は起きないため、わざと低サービスで営業し客を遠ざけている

が元ネタである。
これは個人的にマンガ化もしたお気に入りSCPで、おいしくないパンケーキ屋からモスバーガーをもじったモブバーガーを思いついた。


準々決勝のお題「お尻の大きな受刑者ばかり集められたデカシリ刑務所の日常」は、

SCP-1663 - Containment Site 1663-0 (隔離サイト1663-0)
5ドル硬貨。見る、触れる、あるいは存在を知るだけで暴露し、影響を受けた者はあらゆる財産を忌避し放棄する。やがては水や食物でさえ拒絶し餓死に至る。感染力の高さから収容したサイト自体を隔離し、情報を極端に制限することで対処している

が元ネタ。隔離サイトから刑務所を連想し、刑務所といえば網走刑務所。網走を何かダジャレで変えたい、デカシリでいいか、という発想だ。
こんな調子でSCP-001からSCP-1700まで作ってきました。ここ数年はほぼSCPからしかお題を作っていません。
こうして大量生産したお題をストックしておき、出来の良い物を大型企画や生大喜利への提供へ、そうでもない物をデイリー大喜利へと(※小金沢さんはデイリー大喜利にはどんなお題を出題してもいいと思っています)振り分けているだけで、理論立てて1つ1つのお題を作っているわけではなく、下手な鉄砲を(それも異常な方法で異常な数を)撃っているだけなのである。

こんな話を某サイトの真面目な記事に載せられるわけないだろ!!
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