~あらすじ~
昼休みに学校を抜け出してラーメンを食べ、泊りがけで部誌を作り、消しゴムポーカーに熱中し、不可解な言葉を推理する。
下らないけれども輝かしい青春の日々の裏に潜む数々の謎は、午後のチャイムが鳴るまでに解き明かされる?
~感想~
全作読んでいないので断言できないが、これまでガチガチの本格ミステリを書いてきた作者が初めて挑んだ学園青春物。
阿津川辰海といえばデビュー作から7作続けて5年連続で本ミスベスト10入りしてきた本格ミステリの鬼であり、今回もガワだけ青春物でいつものように全ページに伏線が張り巡らされたようなガチガチの内容かと思いきや、いわゆる「肩の力を抜いて描いた」と冠されてもおかしくないゆるさ。
もちろん(既刊と比べればゆるめだが)豊富な伏線や連作短編集らしい仕掛けも用意され、好人物ばかりのキャラ造形で楽しい学園ミステリに仕上がってはいるものの、全体を貫くトリックは作者ほどの実力者がいまさら披露するまでもない代物で、伏線もほとんどが仕掛けられた瞬間に丸わかりのゆるさで、期待を上回りはしなかった。
特に3話目の消しゴムポーカーのコンゲームが繰り広げられる「賭博師は恋に舞う」は漫画ならまだしもやはり文字だけで読むと厳しく、盛り上がっているのは登場人物ばかりだった。(余談だが今月刊行の青崎有吾「地雷グリコ」も同様の理由で厳しそう)
とはいえそこは本格ミステリの鬼で及第点は優に超えており、阿津川辰海の初の学園青春物!?と期待し過ぎたこちらが全面的に悪いだけで普通に楽しいミステリではある。
しかし流石に本ミスベスト10入りは難しそうか。
23.11.16
評価:★★★☆ 7
昼休みに学校を抜け出してラーメンを食べ、泊りがけで部誌を作り、消しゴムポーカーに熱中し、不可解な言葉を推理する。
下らないけれども輝かしい青春の日々の裏に潜む数々の謎は、午後のチャイムが鳴るまでに解き明かされる?
~感想~
全作読んでいないので断言できないが、これまでガチガチの本格ミステリを書いてきた作者が初めて挑んだ学園青春物。
阿津川辰海といえばデビュー作から7作続けて5年連続で本ミスベスト10入りしてきた本格ミステリの鬼であり、今回もガワだけ青春物でいつものように全ページに伏線が張り巡らされたようなガチガチの内容かと思いきや、いわゆる「肩の力を抜いて描いた」と冠されてもおかしくないゆるさ。
もちろん(既刊と比べればゆるめだが)豊富な伏線や連作短編集らしい仕掛けも用意され、好人物ばかりのキャラ造形で楽しい学園ミステリに仕上がってはいるものの、全体を貫くトリックは作者ほどの実力者がいまさら披露するまでもない代物で、伏線もほとんどが仕掛けられた瞬間に丸わかりのゆるさで、期待を上回りはしなかった。
特に3話目の消しゴムポーカーのコンゲームが繰り広げられる「賭博師は恋に舞う」は漫画ならまだしもやはり文字だけで読むと厳しく、盛り上がっているのは登場人物ばかりだった。(余談だが今月刊行の青崎有吾「地雷グリコ」も同様の理由で厳しそう)
とはいえそこは本格ミステリの鬼で及第点は優に超えており、阿津川辰海の初の学園青春物!?と期待し過ぎたこちらが全面的に悪いだけで普通に楽しいミステリではある。
しかし流石に本ミスベスト10入りは難しそうか。
23.11.16
評価:★★★☆ 7