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小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『残虐記』桐野夏生

2022年07月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
作家の小海鳴海は10歳の時、男に1年にわたり監禁された。
その経験を糧に作家となったが、忌まわしい記憶は封印していたものの、仮釈放となった犯人の男から手紙が届く。男は言う。「先生、ほんとにすいませんでした。でも、私のことはゆるしてくれなくてもいいです。私も先生をゆるさないと思います」
彼女は手記を残して失踪し……。

2004年柴田錬三郎賞、文春6位

~感想~
あらすじで記したように、冒頭12ページで「なぜ彼女は失踪し今どこにいるのか」「なぜ生涯未婚を誓いながら結婚したか」「なぜ墓場まで持って行くと決めた秘密を明かす手記を残したか」「彼女をかつて監禁した男の謎の言葉の意味は」と列挙された謎が、全て「不明」のまま終わる話の何をどう楽しめばいいのか?
男の謎めいた「先生、ほんとに~」に至っては作者自身が「なぜかわからないけど思わず書いてしまったもので、自分でも意味がよくわからなかった」とのたもうているらしい。
え? 物語の真相・結末のほぼ全てが読者に丸投げされ、一切の解決が描かれない話が文春6位や柴田錬三郎賞に?(出来らあっ!)

多重解決といえば聞こえはいいが、読者に想像を委ねられるのはあくまで一定の結論が出ているか作者の中で確固たる結論がある場合にのみ認められる話で、投げっぱなしジャーマンはただ真相と結論をぶん投げただけの無責任に過ぎない。
素朴な疑問なのだが純文学ファンはこの話のどこをどう楽しんでいるのか不思議でならない。「想像力を働かせるのが楽しい」以外の理由で教えて欲しいし、そんなに想像だけで楽しめるなら本能寺の変の黒幕とか邪馬台国の場所の考察のほうが絶対楽しいだろ…。


22.7.7
評価:なし 0
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