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ミステリ感想-『上手なミステリの書き方教えます』浦賀和宏

2018年11月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
世界を呪う八木剛士は、松浦純菜と一緒にいるところをからかわれ、自棄酒をあおり二日酔いに苦しむ。
妹が昏睡状態から脱してから数年後、エロ小説家の松本楽太郎を名乗り、妹からも蔑まれ、隣室で男といちゃつく声に耳を澄ませる。男は去り、そして……。

松浦純菜シリーズ第三弾。


~感想~
各章ごとにタイトル通り「上手なミステリの書き方」の指南が挟まれるが、物語はそれとは真逆に、「妹のパンツの匂いを嗅いだ後にアッガイのプラモデルを作り始めるつもりだった」とかいうパワーワードから、八木の日常や萌え全般への呪い節が延々と描かれる。
事件が起こるのは中盤を過ぎてからで、誰も引っ掛からないようなトリックが明かされ、全く意味のわからない出題がなされるとともに電光石火で解決され、誰得の官能小説で締められる。
もう読者を選ぶどころか全ての読者を突き放すような内容で、今後のシリーズの展開をチラ見せしてはいたが、ミステリ要素はこの調子で希釈されていくのだろうかと危惧させた。

だが本作の主眼は最後の最後であり、あんなことをされては笑顔で本を閉じる他ないではないか。
特に河野だ。八割は純菜に好かれるためでも、残りの二割は誰のためにやったのか。
ミステリ要素はゴ…平均以下でも、青春小説としては最高の締めくくりだった。


18.11.25
評価:★★☆ 5
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