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映画感想-『電人ザボーガー』

2018年08月02日 | 映画感想
~あらすじ~
世界征服を企む悪の秘密結社シグマに父を殺された大門豊は、父の遺した電人ザボーガーとともに正義を守るため戦う。
だが敵の女幹部ミスボーグとの戦いのさなかに恋心が生じ、そして悲劇は起こった。
25年後、仕事をクビになり糖尿病と腰痛に苦しむ大門豊の前に、シグマの新たな幹部・秋月が現れる。


~感想~
70年代の特撮ドラマ「電人ザボーガー」がなぜか2011年に映画化。
熱心なファンである社長と監督が手を組み、原作愛に溢れた、いや原作愛しか無い怪作が生まれた。

青年編と中年編の二部構成で、青年編ではストーリーこそオリジナルながら、ビジュアルや話の展開は原作のテイストを十二分に残した、チープさ漂う独特の空気感が映える。
原作を一切知らなくても本編終了後のスタッフロールで多くの原作シーンが流されるので安心だし、その忠実過ぎる再現っぷりに度肝を抜かれることだろう。あれもこれもそれも原作通りってどんだけ尖ってんだよ原作。
青年編は全編に渡ってツッコミどころが山のようにひしめくが、手に汗握るバトルと70年代特撮アクションらしい物語とギミックに圧倒され、あっという間に消化される。

続く中年編はすっかり落ちぶれやさぐれた主人公が描かれるオリジナルストーリーだが、むしろ(なぜか)ツッコミの山は後方に下がり、かつてのヒーローの再生を丹念に描いていく普通に熱い物語がもちろん原作をあれこれ忠実にオマージュしつつ展開され、リアルタイムで視聴していた同年代のファンはもちろんのこと、予備知識のない者も燃え上がらせる。

あえて残したチープさや、大半は破天荒な原作のせいだが独特過ぎる世界観で、観る人をある程度は選ぶだろうが、特撮ものに少しでも理解があれば、確実に楽しめるだろう怪作にして快作である。


評価:★★★★ 8
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