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小金沢ライブラリー

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映画感想―『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』

2010年01月05日 | 映画感想

~あらすじ~
紀元前1290年、国王の愛人と禁断の恋に落ちた高僧イムホテップは、死者の都ハムナプトラで生きたままミイラ化されるという究極の刑"ホムダイ"に処される。彼の怨念は再びその棺が開けられる時まで、神殿の地中深く眠ることになったのだ……。それから3000年の月日が流れた今、伝説と化したハムナプトラを目指す人々の姿があった。ある者は古代エジプトの秘宝のため、ある者は学術的調査のために、この失われた砂漠の都に向かっていたのだ。だが彼らは知らない。そこに悪鬼と化したイムホテップが眠る事を。そして3000年の呪いが解き放たれた時、エジプトは10の災いと共に魔都と化すのであった……。


~感想~
なにげに初見。『インディ・ジョーンズ』の影響がそこかしこに見受けられる、砂漠+秘宝+呪いから想像されるとおりの冒険アクション。
もう本当にそれ以上なにも付け足すことのない、感想の書きづらい作品である。
こんなの面白くないわけがないので、興味があるなら迷わず観るべきだが、わざわざレンタルするくらいならケーブルテレビなどで放送されるのを待ってもいいくらいだろう。


評価:★★★★ 8
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映画感想―『ハイキック・ガール!』

2010年01月03日 | 映画感想

~あらすじ~
必要なし。


~感想~
タイトルから想像されるとおり、制服姿のミニスカ女子高生がハイキックで次々と悪漢を蹴散らす――それだけ書くと悪夢のような映画を思い浮かべがちだが、今作はたったひとつの要素によりある種のマニアを満足させる作品へと変えてしまっている。
その要素とは「出演者が全員格闘技経験者」である。
たとえば主役の武田梨奈は現役女子高生ながら琉球空手で全国大会を制している。彼女と対戦する小林由佳は世界大会銅メダリスト、渡辺久江は格闘技団体DEEPのライト級王者――他にも合気道や空手の有段者は枚挙に暇がなく、本物による本物のアクションシーンがくり広げられる。
なんせ監督の西冬彦自ら半裸で(それなりに)鍛え抜かれた肉体を披露し、ヒロインにハイキックを浴びせるわ、顔面蹴りをやり返されるわという始末で、もちろん言うまでもなくストーリーなんてものは全くないに等しい。立ちふさがる敵をひたすら倒していくだけの、あえて説明するならファミコンの『スパルタンX』みたいなものである。
しかしそのアクションの激しさたるやかの『マッハ!!!!!!!』も真っ青で、遠慮なしに顔面や頭部に蹴りをめり込ませ、ぐらんぐらんと脳が揺れているさまを何度となく見せつけてくれるのだ。
後半にいたっては、もうハイキックでもガールでもなくなり日本空手協会師範の中達也が、群がる悪漢を次々と武骨にして実戦的な空手の型で一撃必殺していく勇姿を、長回しの一発撮りで存分に堪能させてくれる。……あれ? 主役はこっちだっけ?
というわけで、この作品は外見と反して、格闘技マニアによる格闘技マニアのための映画なので、くれぐれもパッケージに惑わされないようご注意を。
なお豪華版DVDには監督と格闘家による技解説や、負傷者続出の壮絶な撮影風景、そして中達也師範による実技指導と、普通の映画では考えられないラインナップになっているそうなので、格闘技マニアはそちらもぜひ。


評価:★★★ 6
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映画感想―『オーシャンズ11』

2009年12月27日 | 映画感想

~あらすじ~
保釈中のカリスマ窃盗犯ダニー・オーシャンは刑務所暮らしの4年間にとてつもない犯罪計画を練り上げていた。それは、ラスベガスの3大カジノの現金がすべて集まる巨大金庫から、厳重な警戒とセキュリティシステムを破って現金を盗み出すというもの。オーシャンはこの計画の遂行に不可欠な各分野のスペシャリスト11人を選りすぐり、犯罪ドリーム・チームを結成した。


~感想~
井筒カントクがけなした作品はたいてい普通に面白いという法則があるが、ご多聞にもれずこれもなかなかの良作だった。
僕のような俳優の知識に乏しく、人の顔を覚えるのが苦手な人間にはもったいないくらいの豪華キャストで、並の映画ならば主役を張る面々が一堂に会しているだけでも、絵面が映え、銀行強盗という題材として充分な意外性を備えた、安定感あふれる作品であろう。
というか、いったいどこをけなせばいいのかわからんのだが……。これを駄作と一顧だにしない人種は、どんな作品ならケッサクケッサクともてはやすんだろうか。そしてこれを楽しめない人間がどの面下げて映画評論やら映画監督やらができるのか、不思議な限りである。


評価:★★★☆ 7
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映画感想―『アルティメット』

2009年12月13日 | 映画感想

~あらすじ~
2010年のパリ。無法地帯と化していた郊外の"バンリュー13"地区。この地区で育ったレイトは街からドラッグを一掃しようとギャングのボス、タハにたった一人で立ち向かうが…。


~感想~
ビルからビルへと身軽に飛び移り、人間離れした軽業で華麗なアクションを披露する――要するにリュック・ベッソン版『ヤマカシ』、あるいはフランス版『マッハ!!!!!』である。
しかしそのどちらと比較しても、アクション描写よりも映画としての整合性のほうを求めてしまったせいか、目の覚めるようなアクションが少なく(さすがに要所要所にここぞとばかりに取り入れたシーンには目をみはるが)後半に進むにつれ、いたってフツーのアクション映画になってしまい物足りない。お前らストーリー展開を説明しなくていいから走れ、飛べ、と。
こちらとしては映画としてどうのこうのよりも、単に超人アクションが目当てだったんですけども……。


評価:★★☆ 5
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映画感想―『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』

2009年12月08日 | 映画感想

~あらすじ~
超常現象捜査防衛局(BPRD)の凄腕エージェントとして魔物退治にあたる地獄生まれのヘルボーイ。目下、同僚であり恋人でもあるリズとの関係に頭を悩ませる日々。そんなある夜、マンハッタンのオークション会場が何者かに襲撃される事件が発生、すぐさまヘルボーイたちBPRDチームが駆けつけ事態は収拾したかに思われたが…。


~感想~
前作は力自慢のわりに拳銃が武器という強いんだか弱いんだかわからない主人公が、見飽きるくらい大量の同じ敵とワンパターンに戦うだけの退屈な映画だったが、反省を踏まえてさまざまな解決策(ちゃんとパワータイプな面を見せる主人公、多彩な敵キャラ、工夫をこらしたバトル)を取り入れ、ファンタジィ味あふれる痛快なアクションに仕上がった。
しかしながら制作費は前作よりも少ないそうで、節約とやりくりで数倍のボリュームを演出したというのだから、製作陣にはGJと言うしかない。
低予算を感じさせない、気軽にスカッと観られるそれなりの作品なので、前作は無視してこちらを先に観ることをおすすめする。


評価:★★☆ 5
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映画感想―『ビューティフル・マインド』

2009年12月07日 | 映画感想

~あらすじ~
94年ノーベル経済学賞を受賞した実在の人物、ジョン・ナッシュの半生を描く。
47年、ジョンは「非協力ゲーム理論」を発表。その才能に国防省が目をつけ、彼の周囲には怪しげな人物が出没し始める。


~感想~
まずはこれが実話だということに驚かされる。もちろん多少の脚色はされているものの、ノーベル賞を獲った天才学者にこんな波乱万丈の人生があったとは、まさに事実は小説よりも奇なりといったところ。
多少のベタな展開や予定調和な流れも、実話という重みの前ではかすんでしまい、むしろベタで予定調和であるほど、悲劇性をいやましているのだ。
また実話であるにもかかわらず、どんでん返し映画としても非常に優秀で、序盤からあからさまに張られた伏線の妙と、まさかの急展開により何重にも驚かされる、サスペンスとしても良質の佳作でした。

ちなみに映画では固い絆で結ばれたこの夫婦だがwikiなどによると、美談としてふさわしくなかったため削られた、映画の何倍も数奇な変遷をたどっているので、鑑賞後にはぜひ調べてみることをおすすめする。


評価:★★★☆ 7
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映画感想―『ワルキューレ』

2009年11月17日 | 映画感想

~あらすじ~
ナチス・ドイツの敗色が濃くなった第二次世界大戦末期。ドイツ将校シュタウフェンベルクは、ヒトラーの思想や政策に強い疑念を抱き、ドイツの未来を憂うが故に反逆者となることを決意する。
運命の1944年7月20日。大本営<狼の巣>爆破計画。爆弾の作動から脱出まで、与えられた時間はわずか10分。戦乙女ワルキューレは果たして誰に微笑むのか。


~感想~
実話のヒトラー暗殺計画を元にした映画、ということですでにバッドエンド確定・悲劇まっしぐらなことは21世紀の我々には自明のことなのだが、だからといって盛り上がらないということは全くない。
さすがに緊張感こそ薄いものの、史実をほぼそのままなぞる展開と、実際に事件の起こった場所で撮影し、装備や兵器も当時のものを再現したというこだわりの舞台設定で、みんな英語で話し英文で通信しているという不自然さもあまり感じることなく、臨場感ある物語に仕上がっている。
謀略戦だけに戦闘シーンすらほとんどない、いたって地味な映画なのだが、個人的に興味の深いナチス・ドイツということもあり、最後までだれることなく鑑賞。
観終わった後にはwikiで実際のワルキューレ作戦を調べるのもまた楽しい。


評価:★★★ 6
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映画感想―『トゥモロー・ワールド』

2009年10月30日 | 映画感想

~あらすじ~
2027年、人類には子供が誕生しなくなってしまっていた。人類最後の子供も亡くなり、未来を失った世界は荒廃していく。
そんななか、再生の希望の光となる、妊娠をした女性が現れ――。


~感想~
120億円もの巨費を投じた斬新なカット割の技術により、十数分もの長回しに見える映像を生み出した意欲作――なのだが、正直なところ見どころはそれしかないような。
世界観、設定は面白いのだが、それを生かしきることはできず、作品全体に立ち込めた、暗く重い色調とあいまって地味で平板な雰囲気が終始ただよってしまい、受ける印象もまた地味~なものでしかない。
技術と表現にとらわれ、映画としての盛り上がりを失った、策士策におぼれたような作品である。


評価:★★ 4
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映画感想―『ブラインドネス』

2009年10月23日 | 映画感想

~あらすじ~
ある日、車を運転していた日本人の男が突然視力を失う事態に見舞われる。しかし、彼を診た医者によれば、眼球に異常はなく原因は不明だった。その後、同様の患者が各地で続出、混乱が広がっていく。感染症の疑いが濃厚となり、政府は緊急隔離政策を発動し、発症者を片っ端から隔離病棟へと強制収容していくが……。


~感想~
設定自体は悪くないのに脚本が台無しにしている印象。人間のエゴ・欲望・醜さを克明に描くのもいいが、ただ淡々とそれが描かれるだけではなにも訴えかけるものがない。
徐々に汚れていく屋内の様子とか、歪んでいく人間関係の描写、すべての人物が「最初に発症した男」「医師の妻」など固有名詞が与えられず記号化されている、などの設定は細かいのに、肝心のところで「もともと盲目の鑑定士(??)でした」という強引すぎるキャラや、この極限状況の中で貴重品を集めてどうするの? いくら銃を持っていても盲目だったらいくらでも対処法なくね? という根源的な疑問、なげやりすぎるラストと、あちこちで破綻が起きてしまっている。
ただ後味が悪いだけの、得るものの少ない作品である。


評価:★ 2
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映画感想―『レッドクリフ Part II』

2009年10月21日 | 映画感想

~あらすじ~
ジョン・ウー監督による三国志の映画化「レッドクリフ」の後編。
孔明、周瑜の活躍で、80万の曹操軍をわずか5万で撃退することに成功した劉備・孫権連合軍。しかし、依然として圧倒的な勢力を誇る曹操は、2000隻の戦艦を率いて赤壁へと進軍する。そんな中、曹操軍には疫病が蔓延してしまうが、非情な曹操は死体を船に積み、連合軍のいる対岸へと流す。これにより連合軍にも疫病がひろがり、ついに劉備は自軍の兵と民のため撤退を決断する。孔明はただひとり戦地に残り、周瑜とともに戦う道を選ぶのだったが…。


~感想~
前作ではタイトルに偽りあって赤壁の戦いまでいたらなかったが、今回はきっちりと最後まで描ききり、満足のいくものとなっている。
前作では首をかしげたくなるような、端的に言って「いらなくね?」と思うものばかりだったオリジナル展開が、今作では要所要所でぴたりとはまっていき、三国志マニアにも納得のいく展開で、ようやく製作者サイドの三国志愛が感じられるようになった。
まあ、裏に思惑があるとはいえ、義を否定し参戦を拒絶し孔明を置き去りにする劉備とか、苦肉の計を一瞬で却下される黄蓋とか、奇襲作戦のはずが最終的には力攻めで城落としてね? とかおかしい描写は多々あるものの、ハリウッドの手にかかっても変に毒されることなく、赤壁の戦いを独自のアレンジで描いたことは、認めるべきだろう。

まったくの余談だが、ハリウッドのお偉いさんは撮影中に「キャラが多すぎるから何人か一人にまとめちゃえよ。劉備と関羽と曹操は同一人物にするとか」などと恐ろしすぎる三身悪魔合体を提案してきたとか。そんなの絶対合体事故起こして外道スライムしか生まれないよ……。


評価:★★★ 6
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