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小金沢ライブラリー

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映画感想―『シャッター』

2009年10月17日 | 映画感想

~あらすじ~
「THE JUON/呪怨」の製作陣がタイ映画「心霊写真」をハリウッドでリメイクしたホラー。
ニューヨーク在住のカメラマン、ベンは新妻ジェーンとともに仕事とハネムーンを兼ねて日本を訪れる。しかし、彼らは夜の山道で車を走らせていた時に突然目の前に現われたひとりの女性を轢いてしまう。


~感想~
そこは肩車じゃなくておんぶだろ常識的に考えて……

いきなりネタバレしてしまったが、とてもハリウッド作品とは思えないほどきちんとしたホラーである。
好物の韓国ホラーを想起させる、起承転結の整った展開で、まとまりのある作品なのだが、日本人がメガホンをとったわりに(だから?)肝心の幽霊の描写が弱く、かの爆笑ホラー『LOFT』の安達祐実のように、奥菜恵がぼーっと立っているだけなので、怖くもなんともないのが難点。
しかし幽霊が出ることに理由のないことの多い(あっても『リング』の版型とそっくり)和製ホラーとは異なり、理不尽さのないしっかりとした脚本には好感を抱いた。
ところでタイ映画と言えば死体描写の残酷さとリアルさに定評があるのだが、原作はどのくらい不必要にグロかったのかは気になるところだ。


評価:★★☆ 5
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映画感想―『モーテル』

2009年10月16日 | 映画感想

~あらすじ~
車の故障によって、やむなく人里離れたモーテルに泊まることになった離婚寸前のデビッドとエイミー。
テレビの横でほこりを被ったビデオテープをなにげなく再生すると、映し出されたのはまさにいま泊まっているこの部屋で殺人が行われている光景。
二人は今も回り続けるカメラを発見し、そこから逃げなければ自分たちが次の被害者になると知る。


~感想~
↑のあらすじから予想される物語から、一歩たりとも想像の外に出ない、ある意味堅実な映画で、ありがちな主人公がありがちな事件に巻き込まれ、ありがちな逃避行の末にありがちな結末を迎える、予定調和にあふれた作品である。
そのありがちっぷりが実に歯がゆく、当然のごとく主人公の夫婦はそろってバカで、犯人グループはもっとバカなのだが、そのバカっぷりもネタにできるほどのレベルではないため、「普通のホラーでした」という感想以外に書くべきことのない、いたって後腐れのない内容なのだ。
このように作品自体にはなんら驚くべきものはないのだが、ただひとつだけ脚本を仕上げるのに8年かかったという事実だけが異常事態である。
再三くり返すが、こんな平凡な映画に8年もかけるところがあるのだろうか。かけた形跡も見当たらないし、かけるべきところもさっぱりわからない。「なんで?」と首をかしげるしかない。小器用な作家ならたぶん8日で書ける台本だと思うけどな……。
もしかしたら、ほっしゃんがネタにしている「ぼくは芸歴17年ですけど、R-1勝つ前はギュッと圧縮したら4ヶ月くらいになりますよ」と同じことだろうか。


評価:★★☆ 5
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映画感想―『デス・レース』

2009年10月15日 | 映画感想

~あらすじ~
近未来のアメリカで熱狂的な人気を誇るテレビ番組「デス・レース」。サーキットは、四方を海に囲まれたターミナル・アイランドと呼ばれる脱獄不可能な離島刑務所。レーサーは服役中の凶悪犯。車は特殊武装が施された走る兵器。負けたら最期、3つのステージを勝ち抜き自由を手にするのは、いったい誰なのか!?


~感想~
タイトルとあらすじから想像する内容と寸分たがわぬ映画であることは説明するまでもないだろう。
本作はカルト的人気を誇る『デスレース2000』のリメイクという体裁をとっているが、原作は公道でレースを行い、ひき殺した一般人の性別・職業・人種などに応じてボーナスポイントが加算される、という小学生かアメリカ人しか発想しない映画なのだが、それと比較すると民営刑務所による囚人同士の殺人レースという設定は、ずいぶんおとなしいものになっている。
しかし原作での舞台は25年後の近未来だったが、今作はわずか4年後の近すぎる未来という設定で、たった4年で(別に核戦争も起こっていない)ここまで世界が荒廃するだろうかとか、4年やそこらじゃ人権団体もPTAもなくならなくね? という疑問は尽きないが、そんな些細なことを気にしていたらこんな映画は観られないだろう。
内容的にはあらすじに付け足すほどのものはないので、多くは語らないが、終盤になるにつれ「いやいやいやいや」と首を振りたくなる展開がめじろおしなので、多少の注意は必要である。
……まあ、こんなタイトルの映画を観る人間が文句を言うとは思えないけども。


評価:★★★ 6
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映画感想―『アイアンマン』

2009年10月12日 | 映画感想

~あらすじ~
巨大軍事企業の社長で、発明家としての顔も持つトニー・スターク。彼はある日、アフガニスタンで自社新型兵器のデモ実験を成功させるが、テロリスト集団の襲撃に遭い、囚われの身となってしまう。しかし、彼は一味の目を盗んで飛行可能なパワードスーツを開発、それを装着して脱出し、生還を果たす。彼は発明した兵器がテロリストの手に渡っていた現実を嘆き、自らの手ですべての兵器を葬ることを決意するが……。


~感想~
ダサかっこいいヒーローが素敵な良作。
まず主人公に起用されたロバート・ダウニー・Jrが大正解。うらぶれた中年親父を好演している。
ストーリーはアメコミ原作だけはある強引さで、テロリストに拉致された主人公が、洞窟の中で最新鋭ミサイルを造らされるのだが、ミサイルに見せかけてパワードスーツを作製して脱出という荒唐無稽さがいっそすがすがしい。
しかもこの主人公、人目を盗んでパワードスーツの改良にいそしみ、自らを実験台に試験も行い、単身で戦いにもおもむくというはちゃめちゃぶりで、その試行錯誤の過程もまた面白い。
まさに現実味よりも夢と楽しさを追い求めた映画なので、細かいことは気にせず、ダサかっこいいアイアンマンの勇姿を堪能すべし。


評価:★★★☆ 7
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映画感想―『ハプニング』

2009年10月11日 | 映画感想

~あらすじ~
ある日、ニューヨークのセントラルパークで人々が突然時が止まったかのように立ちつくし、唐突に自らの命を絶つという事態が発生。この異常現象はアメリカ全土へ拡がりをみせ、多数の犠牲者を生んでいくが……。


~感想~
『シックス・センス』で斯界の度肝を抜き、『アンブレイカブル』『サイン』『ヴィレッジ』と新作を出すたびに評価を落とし『レディインザウォーター』で興行成績もどん底に沈んだが、僕の中では映画で叙述トリックを仕掛ける異才として、毎回楽しみにしてきたM・ナイト・シャマラン監督の新作がこの『ハプニング』である。
さすがのシャマランも自身の監督生命を危ぶんだのか、それとも前作の大コケでふところがさみしくなったのか、手堅くいたって普通のホラー映画に仕上がっていて、これまでのような一種キワモノと呼べる要素(霊、宇宙人、怪物など)を封印し、アインシュタインの言葉とされる「ミツバチがいなくなれば人類は四年で滅びる」を軸にした、起承転結の整った、非常にまとまりのある映画になっている。
シャマラン作品に否定的だった向きも、この『ハプニング』に限っては評価しているようなのだが……。ファンから言わせてもらえば、こんなのゴミみたいな映画である。
なぜなら『ハプニング』にはどんでん返しが一切ない。僕はシャマラン作品に整合性や完成度なんて求めてはいない。キワモノでも強引でもこじつけでもバカ映画でも、あっと驚くどんでん返しがなければそれはシャマラン映画ではない。
展開になんら裏切りがなく、ホラーらしく因果を置き去りにしたまま物語が終わるや、僕は呆然とした。
どんでん返しがないシャマラン映画なんて、牛肉の乗ってない牛丼のようなものではないか。米丼ではないか。最高級の米に極上のタレがかかっていてもせいぜいタレ丼だ。
僕にとって『ハプニング』は救いようのないクソ映画である。小さくまとまりやがって……。


評価:なし 0
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映画感想―『[●REC] レック』

2009年10月08日 | 映画感想

~あらすじ~
ローカル局のレポーター・アンヘラはカメラマンと共に消防隊の密着取材をしていた。
深夜、老婆の叫び声を聞いたという通報を受けて現場アパートに急行すると、そこにはこの世の者とは思えぬ老婆の姿があった。
その後、突如として封鎖されるアパート。その中で拡がり出すある病原菌。閉ざされた空間で、次第にあらわになる謎、明らかになるほど増していく恐怖の出来事を克明にカメラはとらえ続ける。


~感想~
『クローバーフィールド』で再燃した(?)手持ちカメラによる記録映像を模した作品で、その趣向のおかげか、スペイン産ホラー映画というイメージから危惧されるものはうまいこと隠され、それなりに緊張感のあるホラーに仕上がってはいる。
とはいえ心拍数が上がらないのは『ワン・ミス・コール』と同じで、『28日後…』の設定をそのまま持ってきたような物語はありきたり。だんだんサイコホラーというよりも巨大おばけ屋敷の『戦慄迷宮・ザ・ムービー』かなにかを観ているような気分になってきてしまうのも困りどころ。
ラストでいきなりストーリーに背景と説明を付けてしまうのも駄目なホラーにありがちな蛇足っぷりで、(意図していないだろうし、余計なお世話だろうが)どこまでもB級なホラーだったことだけは、ある種の評価に値するだろうか。
ちなみにこの映画、「最高に怖い映画を教えろ」スレで多くの人が名を挙げていたので借りてみたのだが。
最近の人はこーゆーのが怖いんだ~。ふーん。


評価:★★ 4
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映画感想―『デビル』

2009年10月07日 | 映画感想

~あらすじ~
ニューヨークの実直な警官トムの家に下宿人としてやってきた、快活なアイルランド青年ローリー。
しかし、その天使の笑顔の裏側には、国際手配されたIRAのテロリスト、“エンジェル”という悪魔の顔が隠されていた。


~感想~
調子の悪い=イマイチなときのブラピは品川に見えてしかたない傾向があるが、この映画では終始、品川に見えてしまっていた。
つまるところ、わざわざ映画にするまでもないような平板な話で、ストーリー的には見るべきところはない。
アイルランド紛争を描く序盤こそ引きつけるものの、以降は哀しい背景を持つ男の演技を品川にできるはずもなく、盛り上がるようで盛り上がらない中途半端な物語をゆったりとしたペースで流され、熱狂的なファンならば「翳のあるブラピかっこいい!」となるだろうが、興味のない僕としては「翳のある品川△(さんかっけー)ッス」と半笑いで済ませるしかなかった。
総じてきわめて退屈な映画であり、こういった映画の楽しみかたがわからない僕は、本当のところ映画好きではないのかもしれないという思いを強くした。


評価:★ 2
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映画感想―『1303号室』

2009年10月06日 | 映画感想

~あらすじ~
真利子が訪れたのは、海の見える高級マンションの1303号室。ここに引っ越したばかりの妹が謎の投身自殺を遂げたため、その遺品整理にやってきたのだ。
だが、マンションにやってきた刑事の話から、この部屋を借りた若い女性がみな投身自殺をしていることが判明する。


~感想~
あらすじを見てもらえばわかるとおり要するに『呪怨』なので、片手間に観ていても全くストーリーを見失うことのない、ユーザーフレンドリー(?)な作品である。
というか、こんなB級ホラーのくせに描写に変に凝っていて、亡き妹の遺品整理をしているときは泣かなかったのに、お笑い番組を見ているときに、ふと気づくと笑いながら号泣している、といった無駄にリアリティを求めているのが実にかったるい。亡き妹をしのぶパートはどっちかひとつで良かったはずだ。
こんな難癖みたいなケチをつけたくなるのも、終盤にB級どころかC級ホラーに転落するからで、それまでつちかってきた雰囲気を台無しにする、山岸由花子でラブ・デラックス!!な妖怪バトルが展開されてしまうのだ。
どうせバカ映画なんだから、余計なところでちゃんとした映画ぶるなと言いたくなる。そりゃあ『呪怨』のカヤコさんもたいがい化け物だったけど、こっちはスタンド能力を持ってるなんて化け物にも程があるだろ。


評価:☆ 1
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映画感想―『ミラーズ』

2009年10月03日 | 映画感想

~あらすじ~
大火災で廃屋と化したデパートの夜警を勤めることになった元刑事のベンは、警備中にその建物の中にある不気味な鏡に触れてしまう。
突如として鏡に映る奇怪なイメージやメッセージ。続発する原因不明の死亡事件。焼けただれたデパートの呪われた過去。最愛の家族まで危険にさらしてしまうベンは、鏡をめぐる忌まわしい秘密を解き明かさねばならなくなる。


~感想~
要するにテレビが鏡に変わっただけの『リング』なのだが、アメリカが製作しキーファ・サザーランドが主演するだけでグロホラー映画がB級アクションになってしまうのが困ったところ。
後半になるにつれキーファの陰からジャック・バウアーが顔をのぞかせ、
「クソぉっ!!」
「俺は暴力に訴えたくない!!」
「撃たれたくなければ言うとおりにしろ!!」

と完全に『24』の世界に突入。こうなってしまっては当然のごとく、最後はラスボス VS バウアーの壮絶な一騎打ちに。
拳銃一丁でラスボス(ちなみに正体はアメリカらしく悪魔だ)と渡り合い、爆風に吹き飛ばされながらも勝利を収める我らがバウアーの勇姿に涙が止まらない。すごいね、銃社会。
さすがは『リング2』で貞子を井戸の中に閉じ込めて退治したハリウッドホラー、前半あれだけがんばってホラーっぽい雰囲気を出したのはなんだったんだろうか。
そんなわけで『24』ファンでグロ耐性のあるホラー好きなら楽しめるのかもしれないバカ映画である。


評価:★☆ 3
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映画(DVD)感想―『SAW』

2009年09月03日 | 映画感想

~あらすじ~
薄汚れた広いバスルームで目を覚ました2人の男。彼らはそれぞれ対角線上の壁に足首を鎖でつながれた状態でそこに閉じ込められていた。
2人の間には拳銃で頭を撃ち抜かれた自殺死体が。他にはレコーダー、マイクロテープ、一発の銃弾、タバコ2本、着信専用携帯電話、そして2本のノコギリ。状況がまるで呑み込めず錯乱する2人に、「6時間以内に目の前の男を殺すか、2人とも死ぬかだ」というメッセージが告げられる。


~感想~
27歳の監督によるデビュー作で、主要キャラはたった3人、しかもうち一人は脚本家、製作期間は18日の超低予算映画――これだけ聞いてどこに傑作が生まれる余地があると思うだろうか。
だが『SAW』はまぎれもない史上最高級の傑作サスペンス映画だった。
もうこの映画に関しては「観ろ」と言うしかない。もしまだこの傑作を観ていない映画ファン、ミステリファンがいるならば、すぐにDVD屋に走るべきだ。
多少のスプラッタ耐性は必要だが、残酷描写だけが売りの映画ではないので問題ないだろう。
このシリーズは続編で普通に前作のネタバレを流すので、まずはここからどうぞ。


評価:★★★★☆ 9
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