goo blog サービス終了のお知らせ 

小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

映画感想―『シャッターアイランド』

2010年09月29日 | 映画感想

~あらすじ~
精神を病んだ犯罪者だけを収容し、四方を海に囲まれた島から一人の女が姿を消した。
島全体に漂う不穏な空気、なにかを隠した怪しげな職員たち、解けば解くほど深まる謎……。
事件の捜査に訪れた連邦保安官テディがたどり着く驚愕の事実とは。


~感想~
設定からしてオチがモロバレのノーガード戦法。伏線や仕掛けが次々と目に止まり、「これで正解だろうか」という微かな不安はすぐに消し飛ぶ。
しかしオチが見抜けたからつまらないということはなく、無数の伏線を見つけ、追いかけていくのがなかなか楽しい。
こういった(いちおうネタバレ→叙述トリック)映画は、ごく一般的な映画ファン(笑)にはえてして評判が悪く(例:シックスセンスを除く初期シャマラン作品)、今作もさんざんに叩かれているが、こういった映画好きならば、雑音に惑わされることなく、観て損はしないだろう。


評価:★★☆ 5
コメント

映画感想―『第9地区』

2010年09月24日 | 映画感想

~あらすじ~
ヨハネスブルグ上空に現れた巨大UFO。派遣された偵察隊が見たのは、船内で弱り果てたエイリアンの難民の群れだった。
それから28年後、エイリアンと人間が暮らす共同居住区“第9地区”はスラムと化していた。
超国家機関MNUはエイリアンの強制移住を決定し、ヴィカスという男を現場責任者に指名する。
彼は立ち退きの通達をして回るうち、知らずに人類とエイリアンの歴史を変える大事件の引き金を引いてしまう。


~感想~
宣伝では「社会派SF」や「ハートフルコメディ」に偽装されていたが、フタを開けてみればゲロと内臓と死体が乱舞するお下劣アクションであった。
前半はエイリアンたちにアメリカンなノリで立退きを迫る職員の足跡を追った、フェイクドキュメンタリーの体裁で描かれるが、いつの間にやらそんな手法は忘れられ、ゴッドハンド洋一とグロいけど愛嬌のあるエイリアン二人の織り成すバディ・アクションへと変貌。
そのアクションの激しさたるや、未知の科学兵器と現代兵器の壮絶なぶつかり合いで、ドキュメンタリー要素は微塵もなくなってしまうが、手に汗握らせるもの。
非人道的な扱いを受けたとはいえ、よく考えると相当に鬼畜な主人公も人間性はともかく、作品にはぴったり合う。
グロ耐性、バカ耐性のあるアクション好きなら楽しめるだろう。


評価:★★☆ 5
コメント

映画感想―『スペル』

2010年09月23日 | 映画感想

~あらすじ~
きっかけは老婆へのほんの小さな不親切。逆怨みで言い渡されたある「呪文(スペル)」が銀行員の平穏な日常を跡形もなく変えていく。
理不尽な脅威に怯えながら、タイムリミットの72時間で、呪いを解き生き残ることができるか?


~感想~
突然わっと出てきて驚かすお化け屋敷タイプなのに、やはり心拍数が1つも上がらないのがハリウッドホラー。
「13日の金曜日」の頃からそうなのだが、怖いとグロいをはき違えているらしく、虫やらゲロやらで力押ししてくるのも困ったところ。
それにしても主人公の防御力ときたら尋常ではなく、すごい勢いでタンスや壁に叩きつけられても全くのノーダメージなのは当然として、世界のクロサワに捧げるようなリッター単位の鼻血を噴き出しても、貧血すら起こさず平然としているのだから恐ろしい。どっちがホラーだ。
終盤はアメリカ人が怖いと思うもの一位のアレが大暴れして、日本人の感性からは大きく外れていくが、オチは意外と綺麗にまとめてみせた。
「パラノーマル・アクティビティ」よりはよっぽどマシではなかろうか。


評価:★ 2
コメント

映画感想―『ファイナルデッドサーキット』

2010年09月22日 | 映画感想

~あらすじ~
カーレースのサーキット場で、観客を巻き込む壮絶な大クラッシュが発生。スタンド席にいた若者ニックが見た予知夢のおかげで9人の男女が奇跡的に難を逃れるが、死の運命は彼らを見逃してはくれなかった……。


~感想~
ファイナルデスティネーションシリーズ第四弾。
いやーグロいグロい。もともと死に様のグロさに定評のあるシリーズだが、今回は特に拍車がかかっている。
しかも流行りの3D映画のため、劇場ではちぎれた四肢やあふれた臓器がゲドババァ!と襲いかかってきたそうだからたまらない。
臓器や四肢以外にも、やたらと物が画面のこちら側に飛んでくる演出が多いので、3Dならいっそう楽しめたことだろう。
内容的にはいつものシリーズ通りで、期待は外さない。この調子で末永く続いて欲しいものだ。


評価:★★★ 6
コメント

映画感想―『ノウイング』

2010年09月04日 | 映画感想

~あらすじ~
小学校の創立60周年記念に開かれたタイプカプセルに収められていた1枚の紙。
そこに羅列された数字に興味を持ったジョンは、やがて奇妙な事実に行き当たる。


~感想~
前半のサスペンスあふれる物語、各所をめぐっては電光石火で謎を解き「これってナショナル・トレジャーだっけ」と思わせるニコラス・ケイジの活躍、SF、ホラー、ディザスター、家族愛と多様なテーマを取り込んだ盛りだくさんな構成……を一息で台無しにする、あんまり過ぎる結末にげんなり。
あれだけ盛り込んだアイデアと比べてこの落差はなんだろうと頭を抱えるしかない、どうしようもない真相とオチ、工夫も糞もないありきたりなラストシーンと、後半はもう見る影もないのだが、上映時間の3/4は楽しめたのだから、B級映画としてもまだマシな部類かもしれない。
あの質を保ったまま最後まで行ければ傑作だったのに……。


評価:★★ 4
コメント

映画感想―『シャーロック・ホームズ』

2010年08月31日 | 映画感想

~あらすじ~
1891年、ロンドン。
進歩する世界の中心地であり、あらゆる悪がはびこるこの街で、若い女性を狙う連続殺人が起きる。
ホームズとワトソンが正体を暴いた犯人の名は、ブラックウッド卿。
逮捕され死刑を宣告されても、彼は一向に動じない。巨大な闇の力により、死んでも甦れると言うのだ。
邪悪な神秘主義組織の頂点に立つブラックウッド卿は、予言通りに生き返り、全世界を悪で塗りつぶし、支配しようと企てる……。


~感想~
鳥打帽でコートを着込み貴公子然とした紳士……という凝り固まったホームズ像から脱却し、原作でのホームズを正しく再現してみせたがゆえに、かえって誰も見たことのない異色のホームズ像を打ち出した作品。
日本古来の謎の武術バリツをマスターしたホームズなのだから、洞察力を駆使して半裸で地下ボクシングをやるのも原作に照らし合わせればすこしも不思議ではないのだ。
一方、原作の5割増で頼もしい戦う助手ワトソンの造型も新しく、ホームズ&ワトソンでWサブミッション! なんて一歩間違えればギャグになることをやってのけた製作陣は本当にすごい。
アクションに比重を置きながらも、謎やトリックは残らず解いてみせる推理パートもきちんと用意され、ホームズ譚としても見事な結実。
このシリーズはもっともっと観てみたいものだ。


評価:★★★★ 8
コメント

映画感想―『レスラー』

2010年08月29日 | 映画感想

~あらすじ~
栄華を極めた全盛期を過ぎ去り、家族も、金も、名声をも失った元人気プロレスラー"ザ・ラム"ことランディ。
今はどさ回りの興行とスーパーのアルバイトでしのぐ生活だ。ある日心臓発作を起こして医師から引退を勧告された彼は、今の自分には行く場所もなければ頼る人もいないことに気づく。


~感想~
ただのプロレス好きではなく、控え室でのやりとりやネットに流れる無責任な噂の類を楽しむプロレスマニア向けの作品。
なんせ序盤からネクロ・ブッチャー vs ミッキー・ロークのハードコア・マッチという高熱の時に見る悪夢のようなカードが展開されるので、まず日本プロレスだけのファンはここでふるい落とされる。
その後もスーパーマーケットで試合で使う凶器を物色するロークとその対戦相手。控え室での試合内容の打ち合わせでは、脚責めしようとしたら別のカードで脚を責めるから、かぶってしまうので変更するという生々しさ。試合中に仕込んでいたカミソリで額を切るところなど、コアなファン以外を次々と置き去りにしていく。

またかつて頂点をきわめたが、現在は精肉売り場のバイトで生計を立てる主人公と、演じるミッキー・ロークの人生が重なりあい、ロークの自伝的な内容になっているのも見どころ。
イケメン俳優でブイブイ言わせたロークが、50の坂を越え、整形に失敗し容姿は崩れ、表舞台からも外れうらぶれて見る影もなかったのが、この「レスラー」でアカデミー賞候補に上がり、再起を果たしたのだから、事実は小説よりもなんとやらである。
投げっぱなしジャーマンのような結末は、未来を見据えずただ現在の輝きだけを追い求める、自業自得で全てに見捨てられたものの、生き甲斐と死に場所だけは見つけてしまった男の物語の着地としては正解だろう。

WWEバカとしてついでに付記しておくと、劇中でロークと最後に戦うのがアーネスト・ザ・キャット・ミラーだったことに吹いた。
突如スマックダウンの解説に就任し、数ヶ月後「あのザ・キャットがついにリングデビューする」と大プッシュの末にリングに上がったら素人同然のしょっぱさで光の速さで解雇され「じゃあなんであいつが偉そうに解説やってたんだよ」とファンの度肝を抜いたザ・キャットが、よりにもよってアラブ人レスラー役でなぜ出てくるのか。
プロレスは面白いなあ。


評価:★★★ 6
コメント

映画感想―『パラノーマル・アクティビティ』

2010年08月28日 | 映画感想

~あらすじ~
平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。しかし毎晩寝付いた後に家の様子がいつもと変わっていることに気づく。
幼い頃から不可思議なことが起こり続けているケイティは、その原因が自分にあるのではないかと感じていた。
彼女の恋人ミカは自分たちの家に起こっている"何か"を突き止めるため、寝静まったあとの寝室をビデオカメラで撮影することに……。


~感想~
キャスト・スタッフあわせて5人、撮影期間はたったの7日、ロケ地は監督の自宅、制作費135万円で興行収入90億円という驚異の省エネホラー作品。
ちなみに制作費のうち4万円はピザ代だそうで、アメリカ人のピザにかける愛情をまざまざと思い知らせてくれる。
というかアメリカのピザはLサイズにドリンクとサラダをつけても1500円くらいと聞いたが、一人頭8000円って7日間で何回ピザ食ってんだお前ら。

ピザの話題はこれくらいとして内容はと言えば、当然ながらアメリカンホラーのため心拍数が上がる場面は一つもない。
しかし日本人とは決定的に異なる、アメリカ人のホラー観を感じさせるモチーフや、低予算なりに工夫を凝らした様々な怪奇現象、もちろん馬鹿な主人公と、見どころはそれなりに多い。
「怖いか怖くないか」で言えば全く怖くないのでホラーとしては失敗かもしれないが、「低予算でいかにホラーを作ったか」というひねくれた目線で見ればすこしは楽しめるだろう。


評価:☆ 1
コメント

映画感想―『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』

2010年07月30日 | 映画感想

~あらすじ~
ミュータントとして生まれたローガンは、人としての幸せを捨て、幾多の戦争に身を投じて生きてきた。そんな彼が初めてつかんだささやかな幸福。
だが深い絆で結ばれていたはずの兄ビクターの手によって運命は大きく変わる。
兄を倒すため謎の巨大組織と取引したローガンは、最強の戦士となるべく、超金属アダマンチウムを全身の骨に移植する改造手術をうけ、ウルヴァリン>という名の人間兵器に生まれ変わる。


~感想~
完結した『X-MEN』シリーズのスピンオフ作品。X-MEN結成前の物語。
本編では多くのキャラを出すために描写が窮屈になってしまって(完結編では逆にそれがスピード感とボリューム増につながっていた)いたが、今作ではウルヴァリンを主役に据え、登場人物を絞ったため引き締まった印象を受ける。
しかしアクションの激しさは本編をも上回り、ウルヴァリンの爪を活かした戦いぶりが楽しい。
またついに初登場となるガンビットがとにかく素敵で、チート同然の能力のため(?)大筋には絡まないものの、空気を全く読まないキャラと相まって存在感抜群。あの能力欲しい。
映画も原作もシリーズファンは必見の一作と言えるだろう。


評価:★★★☆ 7
コメント

映画感想―『イングロリアス・バスターズ』

2010年07月26日 | 映画感想

~あらすじ~
ナチス占領下のフランス。劇場の支配人として身分を隠しながら、ナチスを根絶やしにする復讐計画を進めるユダヤ人の女。
時を同じくして、アルド・レイン中尉率いるユダヤ系アメリカ人兵士の特殊部隊が、ナチス殲滅の極秘ミッションに参加する。
それぞれの作戦は、彼女の経営する劇場で開催される、ヒトラー総統を招いたナチのプロパガンダ映画のプレミア上映会で交錯する。


~感想~
冒頭からおっさん二人が延々と会話するだけという逆ホットスタートで、ユダヤ・ハンターの異名を取るナチ将校役のクリストフ・ヴァルツの好演が光るのだが、いかんせん地味な印象が拭えない。その後も全編にわたってほぼ会話だけで話が進み、合間合間にタランティーノらしい演出が挟まる構成で、心理的駆け引きはそこそこ楽しめるものの、こんなに文字(会話)ばっかりなら本でいいじゃんという冷めた感想を覚えるのも確か。
映画マニアには怒られるだろうが、なんせ倍速で観ていても全く支障を来さない有様で、この映画を楽しむ素質のない僕が150分超の長尺を乗り切るには、早送りはむしろ必須のものであった。
主演のブラッド・ピットも、見せ場は初登場シーンの長広舌くらいで、主演はブラピではなくヴァルツの方じゃないかと思える扱いで、生粋のタランティーノファン以外にこの映画はおすすめできないだろう。


評価:☆ 1
コメント