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小金沢ライブラリー

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映画感想―『アイアンマン2』

2010年11月11日 | 映画感想

~あらすじ~
自らアイアンマンであることを告白した大企業スターク・インダストリーのCEO、トニー・スターク。
そんな彼に新たな危機が迫っていた。米国政府はパワードスーツの没収を命令。彼に恨みを抱く謎の男"ウィップラッシュ"が現れ、ライバルの武器商人ハマーも独自のパワードスーツを開発する。
そんな中、胸に埋め込んだエネルギー源"リアクター"の影響でトニーの体は蝕まれていき……。


~感想~
前作でのパワースーツ手作りや、体を張った人体実験、正体を隠すための悪戦苦闘など、愉快な描写が鳴りを潜め、トニー・スタークがあまり暴れないこと。
バトルシーンがクライマックス一本に絞られて少ない(しかも圧勝)こと。
アメコミヒーローたちが一堂に会する『アベンジャーズ』に向けての伏線を張ることに忙しく、本編の内容が薄くなっていること、などなど不満が多く、ほうぼうで酷評されるのもむべなるかな、というところ。
とはいえスタークのキャラとしゃべりの面白さ、もう40近いのに下手すりゃ24のスカーレット・ヨハンソンよりかわいいグウィネス・パルトロウ演じる秘書との仲の進展などなど、ストーリー的な部分に見どころは多い。
もうすこしアクション面に力を注いでいれば……。


評価:★★★ 6
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映画感想―『ハイド・アンド・シーク』

2010年11月08日 | 映画感想

~あらすじ~
母の自殺で心を閉ざしてしまったエミリーの心の傷を癒そうと、心理学者である父・デイビッドは湖のほとりにある静かな町へと移り住む。
しかしエミリーは周囲と打ち解けようとせず、地下室で"見えない友達"チャーリーと遊ぶようになっていく。
だが、チャーリーはエミリーのただの遊び友達ではなかった。チャーリーの存在が、デイビッド親子の生活を脅かし始めていく。


~感想~
主要登場人物が二人だけで、この題材では「どんでん返しがすごい!」といくら言い張ってもオチはモロバレ状態。
しかしこの瀕死の脚本を補って余りある、ロバート・デ・ニーロとダコタ・ファニングの、壮絶なまでの顔芸合戦はすごい。
なんというか、どうしようもない脚本を天才二人が演じることでどこまでカバーできるか、ということに挑戦した実験映画のような様相で、妙な方向で一見の価値はあると言えよう。
っていうか、この二人はどうしてこんな映画に出ることを引き受けたんだろか……。


評価:★ 2
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映画感想―『パリより愛をこめて』

2010年11月05日 | 映画感想

~あらすじ~
若き駐仏アメリカ大使館員リースは、エージェントとしての華やかな活躍を夢見ながら地道な諜報活動に従事していた。
しかしそんな彼の生活は、麻薬捜査のためにパリに乗り込んできたCIAの超凄腕諜報員ワックスとタッグを組まされたことで一変する。


~感想~
チート性能を誇る主人公属性のヒーローに振り回される生真面目な男――という図式は珍しくないが、そのヒーローが覚醒剤を吸いながら出会った 敵は皆殺しの、とりあえず暴れて結果オーライで突き進む、カオスヒーローを通り越した単なる無法者というのは、さすがに珍しい。
バディ・アクションでありながら、生真面目が無法者の実力を認めるのはまだしも、無法者の方が生真面目を認める契機となる、生真面目が活躍す るシーンがほぼないので、バディ・ムービーとしてあまり成立していないのも厳しいところ。
若い頃はブイブイ言わせてた(死語)ジョン・トラボルタが、恐ろしく強面のスキンヘッドで乱暴狼藉を働くのはなかなか痛快なのだが。


評価:★★☆ 5
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映画感想―『プリンス・オブ・ペルシャ』

2010年11月04日 | 映画感想

~あらすじ~
ペルシャのライオンと呼ばれるほどの勇者に成長した第3王子ダスタンは、兄や叔父のニザムと共に聖なる都アラムートを征服する。
ダスタンは戦利品として父のペルシャ王に法衣を贈るが、そこに仕込まれた毒により王は絶命してしまう。
身に覚えのない父殺しの疑いをかけられたダスタンは、捕虜となっていたアラムートの王女タミーナの先導で、城から逃走し……。


~感想~
原作のゲームは未プレイなので、どの程度ゲームの世界を再現しているのかはわからないが、ペルシャの雰囲気をなかなかうまく表現した、痛快なアクション・ファンタジーに仕上がっている。
時間の砂という面白いアイテムを、主にアクションよりもストーリーを転がすために使うのはちょっともったいないが、使いすぎるとニコラス・ケイジの残念映画『NEXT』になってしまうので、しかたのないところか。
大きな見どころとして『マッハ!』さながらに、どんな地形もものともせず駆けまわる超人アクションが楽しく、この質を保てるなら(物語はきれいに着地してしまったが)続編にも期待したい。


評価:★★★ 6
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映画感想―『サブウェイ123激突』

2010年11月02日 | 映画感想

~あらすじ~
ニューヨークで地下鉄ジャック事件が発生。
犯人グループのリーダーは、1時間以内に身代金1,000万ドルを用意するよう要求する。
交渉役となった地下鉄職員は、地下鉄のプロとしての知識と経験を駆使して、言葉だけを武器に、頭の切れる犯人に立ち向かう。


~感想~
予告編やCMではアクション映画っぽかったが、大半は名優二人が話しあうだけのネゴシエート映画で、駆け引きは楽しめるが爽快感は薄い。
というかCMで流しただけの量しかアクションシーンはなかったような。
しかしそこはジョン・トラボルタとデンゼル・ワシントン、おっさん二人がしゃべるだけの内容ながら、最後まで引っ張る力は十分。
特にトラボルタのやさぐれインテリとでも呼ぶべき怪演ぶりは見事なもので、それだけでも見る価値はあるだろう。


評価:★★☆ 5
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映画感想―『96時間』

2010年10月31日 | 映画感想

~あらすじ~
18歳の少女キムが、初めての海外旅行で訪れたパリで何者かに誘拐された。偶然にもその事件のさなかにキムと携帯電話で話していた、元特殊工作員の父ブライアンは、命よりも大切な娘を助けるため、単身パリに飛ぶ。
お前が何者なのかは知らない。何が目的かもわからない。身代金を望んでいるなら、言っておくが、金はない。だが、俺は闇のキャリアで身につけた特殊な能力がある。お前らが恐れる能力だ。娘を返すなら、見逃してやる。だが返さないならお前を捜し、お前を追い詰め、そしてお前を殺す」


~感想~
ハリウッド映画の主人公の離婚率は異常。
それはともかく、拉致された娘を助けるため、元工作員の父親が制限時間内に悪の集団を壊滅させる――という要するに「コマンドー」な映画である。
「コマンドー」との大きな違いを挙げると、コメディ要素は全くなく、主人公は娘の救出のためなら手段を選ばない非情な男である。
どのくらい非情かネタバレすると、敵のアジトの情報を知る元同僚の口を割らせるため、元同僚の妻(もちろん一般人)を銃撃してしまうほどだ。い くら切羽詰まっているとはいえ、ジャック・バウアーだってこんなことしないよ。
空手チョップと手近な物への叩きつけを主体とした秒殺バトルや、追跡、カーチェイス、格闘と詰め込みながらも90分超におさえた内容のおかげで 、スピード感は充分なので、アクションだけは楽しめる。難のある脚本を演出でカバーした映画である。


評価:★★★ 6
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映画感想―『タイタンの戦い』

2010年10月20日 | 映画感想

~あらすじ~
古代ギリシャ。人間の王が横暴な神に反乱を企てるが、彼らの宣戦布告に激怒した天上の創造主・ゼウスは、冥界の王・ハデスと魔物たちを地上に解き放つ。
ハデスによって家族を殺された、ゼウスの落とし子・ペルセウスはあくまで人間として復讐を誓った。


~感想~
「古代ギリシャで神の子が神の力を借りて魔物と神と戦う」という言ってしまえば「それなんてゴッド・オブ・ウォー?」なのだが、大きな違いを挙げるなら、主人公はイケメンである。違いはそこだけなのか。
ペルセウス神話が題材だから当然なものの、メデューサの魔力や雷の力を使ったり、巨大な魔物と戦ったりとどうしてもクレイトスの影がちらついてしまう。
またポスターを車田正美が描いていることからもわかるとおり、監督は熱烈な聖闘士星矢ファンで、オリンポスの神々はすげー見覚えのある鎧をまとっているし、いちおうリメイク作品なのに、前作の監督ではなく星矢にオマージュを捧げるなどやりたい放題である。
そういえば映画の感想を書いていないが、あらすじから誰もが想像する通りの内容であるため、特筆すべき点はない。
なお3D映画として公開されたが、撮影終了後に「3Dに変換できるソフトがあるの? すけえ! それ使おうぜ!」と後から加工したものなので、「いちおう飛び出るけどあちこち不自然」「むしろ3Dじゃない方が良かった」な立体化らしいので、安心して通常版を観ていただきたい。


評価:★★★ 6
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映画感想―『キサラギ』

2010年10月19日 | 映画感想

~あらすじ~
C級アイドル如月ミキの一周忌に、彼女の思い出を語り合おうと集まった5人のファン。
「彼女は自殺じゃない。殺されたんだ」一人の発言をきっかけに、彼らの思い出話は思いもよらない方向へと転がっていく……。


~感想~
これは傑作。
一室の中で5人が話しあうだけという舞台劇のような構成だが、考えぬかれた脚本によるどんでん返しが冴えに冴え渡り、観るものを離さない。
伏線の豊富さ・的確さや、二転三転するストーリーは本格ミステリとしても優秀で、5人の演技派に支えられ(小栗旬ってこんなに上手いんだ!)瑕疵が見当たらない。
裏に隠されていた真相は、実のところ予想の範疇に留まるのだが、その見せ方、隠し方が巧みで、「この5人がこの場に集まらなければ解けなかった謎」というひねった趣向が光る。
スタッフロール後の展開は、お約束とはいえ全くの蛇足ながら、110分間にだれる隙もなく、ちりばめられたユーモアも絶妙である。
映画ファンのみならずミステリファンも必見の逸品だろう。


評価:★★★★★ 10
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映画感想―『ゴールデンスランバー』

2010年10月09日 | 映画感想

~あらすじ~
野党初の首相となった金田が、仙台市内で凱旋パレードを行うその日、数年ぶりに大学時代の友人・森田に呼び出された青柳は、森田から「お前、オズワルドにされるぞ」「逃げろ。とにかく逃げて、生きろ」という忠告を受ける。
そして背後で爆発音がとどろき……。


~感想~
非常に良くできた映画だが、それは原作が非常に良くできているからであって、実写化にあたっての演出が作品自体に寄与したことはただの一つもない。
21世紀にもなって「胸ポケットに入れた思い出の品が銃弾から守ってくれた」などというベタにベタを重ねたベッタベタな糞オリジナル演出を臆面もなく放りこむ駄監督に、そんなことを望むことが間違っているのだ。
原作を忠実になぞるために2時間半もの長尺になったことや、それでもなお足りない伏線が次々と目に留まるのもいただけないが、俳優陣の好演や(さわやかなのにどこかうさん臭い堺雅人を主役に選んだのは慧眼だ)原作の素材の良さをそのままに扱おうとした姿勢は正しいと思える。それだけに胸ポケット云々が糞ほど蛇足なのだが……。

付記:調べたところ監督の中村義洋は「チーム・バチスタの栄光」でも糞ほど余分なオリジナル演出に力を注いでいたことに気づいた。余計なことに情熱を傾けたがる人なのだろう。……って「ほんとにあった!呪いのビデオ」のナレーションってこいつなんだ!


評価:★★☆ 5(原作未読なら★★★★ 8)
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映画感想―『2012』

2010年09月30日 | 映画感想

~あらすじ~
2009年、科学者たちは地球が間もなく滅亡に向かっているという事実をつかんだ。
2012年、売れない作家のジャクソン・カーティスは子供たちとイエローストーンに旅行中、干し上がった湖底に建てられた巨大な施設を発見する。
世界滅亡が迫っている事実を知ったジャクソンは、家族を守るために必死で生き残る術を模索しはじめるが……。


~感想~
圧倒的なCGで世界崩壊を描いてみせた、ただそれだけの作品。
しかしこれは褒め言葉で、同監督の「デイアフタートゥモロー」のような、「多くの仲間を犠牲にして息子に会ってだからどうなの?」という適当すぎる家族愛に費やす描写をめいっぱい削り、名所旧跡を木っ端微塵にすることと、人をゴミのように殺すことだけに注力したおかげで、かつてなくスケールの大きなディザスタームービーに仕上がっている。
終末を描いた映画にありがちな、神の啓示や科学への警鐘なんてものもなく(なんせローマ法王と信徒が祈りを捧げる大聖堂が崩壊してみんな下敷きになる始末だ)ただ単にひたすら世界が滅亡するだけのストーリーにはもはや潔さと風格すらただよう。
「世界は滅んでもアメリカは不滅」な空気はもちろんあるが、どっかの駄作のように宇宙人が助けに来たりといった半端な救済もなく、人類が独力で大災害に立ち向かう展開も良好。
CGがすごいとかもはやそんなレベルではない驚異の映像で物が壊れまくる2時間半、そういう映画が好きな向きには強くおすすめ。


評価:★★★ 6
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