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小金沢ライブラリー

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DVD感想―『プレステージ』

2009年01月16日 | 映画感想

~あらすじ~
19世紀末のロンドン。2人の天才マジシャン、ロバート・アンジャーとアルフレッド・ボーデンは、イリュージョンの腕を競い合っていた。
しかしある日、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を落とす。彼女の縄を縛ったのがボーデンだったことから、アンジャーはボーデンへの復讐を誓う。
やがて、驚異的な瞬間移動のイリュージョンを編み出したボーデンに対し、アンジャーはその秘密を盗み出そうと助手のオリヴィアをボーデンのもとへ差し向けるのだが……。


~感想~
中盤までは二人の天才マジシャンがくり広げる虚々実々の駆け引きがメインだが、とある装置が登場するや一気に、「世界幻想小説大賞」を受賞した作品らしいSFでファンタジーな物語へ様変わりする。
純粋なトリック映画を期待していた向きは憤慨するかもしれないが、そういう装置を利用したトリック映画であると了解すれば、非常に楽しめる仕掛けである。
特に冒頭のシーンの意味が明かされると、思わず膝を打つことうけあい。
最後には(ミステリ好きには自明だろうが)もうひとつのトリックも炸裂し、しっかりと物語を締めてくれる。
SF的なトリックさえ許せれば、万人に勧められる佳作と言えるだろう。


評価:★★★★ 8
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DVD感想―『300(スリーハンドレッド)』

2008年12月15日 | 映画感想

~あらすじ~
100万のペルシア大軍をわずか300人のスパルタ軍が迎え撃つという史実“テルモピュライの戦い”を基にフランク・ミラーが著わしたグラフィック・ノベルを映画化した作品。


~感想~
設定だけでどういう映画かわかる部類。ご想像通りです。
300人のスパルタンが魔界の住人としか思えないペルシア兵や、魔物としか思えない魔物たちを斬って斬って斬りまくる、ただそれだけの作品。だがそれがいい。
元がアメコミだけに、ペルシア王がどう見ても魔王だったり、両手が鎌のクレイトスな魔人がいたり、畸形のスパルタンを「お前はファランクス隊形を乱すからつれていけない」と一蹴しておきながら、言った本人のスパルタ王が単身で突撃してファランクス隊形乱しまくりなことにつっこむのは筋違い。
「三国無双」のチャージ攻撃さながらに、スロー演出の溜めから解放される激しい乱舞を楽しむのが正しい鑑賞法。
っていうかこれ「ゴッド・オブ・ウォー」なんじゃね?
それにしても、こういう映画や「三国無双」なんかに「史実と違う」と噛みつく連中は頭おかしいんじゃないだろうか。


評価:★★★☆ 7
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DVD感想―『ディパーテッド』

2008年12月09日 | 映画感想

~あらすじ~
香港映画「インファナル・アフェア」のリメイク作品。
警察学校を優秀な成績で卒業したビリーとコリン。やがてビリーは、マフィアへの潜入捜査を命じられる。一方のコリンは、マフィア撲滅の特別捜査班に抜擢されるが、その正体はマフィアのボスに育てられたスパイだった。


~感想~
僕はハリウッド映画が大好物なのだが、どうしてハリウッドが手をかけるとこんなにも過剰かつ下品になってしまうのだろうか。
下ネタの応酬とわかりやすすぎる悪。誰もが口を開けば3分刻みで「F●CK」がらみの罵声が飛び出し、ビリーの上官にいたってはお前はハートマン軍曹かと言いたくなるような、豊富なボキャブラリーで口汚く罵りまくる。
記憶にある「インファナルアフェア」はもっと硬質な雰囲気だったような……。
また初見ならともかくリメイク作品が3時間は長丁場すぎて、途中で投げ出してしまった。
大衆的に、簡潔に、俗悪にのハリウッド手法が珍しく口に合わなかった。


(評価:★★ 4)
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DVD感想―『ジャンパー』

2008年12月08日 | 映画感想

~あらすじ~
ごく普通の高校生デヴィッドはある日、自分にテレポート能力があると知る。
そして独りニューヨークへ発ち、その力を悪用し銀行の金庫から大金をせしめ、自由を満喫するのだった。
しかし一方で、デヴィッドと同じ能力を持つ“ジャンパー”たちの抹殺を使命とする組織“パラディン”の影が迫り……。


~感想~
この映画のなにが弱点って、誰も知的じゃないのが最大の弱みである。
能力を活かした罠や奇想天外な作戦などなく、敵は敵でオーバーテクノロジーな兵器をなんの説明もなくじゃかすか使ってくる。
キャラも弱い。能力を人助けに用いる気はさらさらなく、銀行強盗をなりわいに自らの快楽だけを求めるチャラい主人公に共感できないのはもちろん、それに天誅を加える悪役も「ジャンパーにかかわった人間は皆殺し」というよくわからない教義を抱えているわかりやすい極悪ぶりなので、犯罪者 vs 犯罪者の図式になってしまっているのだ。
しかもヒロインは「さっさと助けなさいよ」を連呼するきわめて自己中心的な性格(単に常人なのかもしれないが)、相棒は主人公に輪をかけてチャラい、母親は立ち位置が不明、と脇を固める面々もしょうもない。
とても原作があるとは思えない「面白い設定考えたからとりあえず映画撮ろうぜ」的な結構のくせに、続編作る気満々なストーリー展開も頭が痛い。
もっとちゃんとした脚本さえあれば……。


評価:★★ 4
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DVD感想―『宇宙戦争』

2008年11月24日 | 映画感想

~あらすじ~
ニュージャージーに暮らすごく平凡な男レイ。別れた妻との間には息子のロビーと娘レイチェルがいた。
子供たちとの面会の日、異変は前触れもなく訪れた。晴天だった空が不気味な黒い雲に覆われると、嵐が吹き荒れ稲光が地上に達し、地面に巨大な穴を空けた。
すると大地が震え、地中で何者かが激しくうごめき始めたのだった……。


~感想~
さんざんな評価を受けているが、SFではなくモンスターパニック映画として見れば満点じゃね?
肝となるモンスターにトライポッドという稀有の存在を迎えた時点ですでに勝利。
うねうね動く脚で威圧的に直立し、原理はわからんがとにかく圧倒的な科学力のビームで、次々と人類を抹殺するトライポッドに終始萌え。
一貫して英雄でも大統領でもない一般人の視点で描くことや、あれだけ暴虐と殺戮の限りを尽くしたトライポッドが、廃屋を意味もなく壊さず慎重に調査したり、無駄に宇宙人が姿を現したりすることからも、本作はSF大作ではなくモンスターパニック物だと言えよう。
一般人の主人公ならではのミクロな反撃、追い詰められた群衆の暴走、トライポッドを3機沈める大阪人(理由は「大阪人はゴモラとかと戦い慣れてるから」だそうだ)、鳥にはやさしいトライポッド、むりやりすぎるハッピーエンドなどなど見所もたくさん。
原作どおりのあっけなさすぎる、あんまりな結末さえ承知の上なら楽しめることだろう。
……それにしても観終わると『地球防衛軍』がやりたくなる。


評価:★★★★☆ 9
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DVD感想―『ミュンヘン』

2008年11月23日 | 映画感想

~あらすじ~
スティーヴン・スピルバーグ監督が、1972年のミュンヘン・オリンピックで起きたパレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手殺害事件とその後のイスラエル暗殺部隊による報復の過程をドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
1972年9月、パレスチナのテロリスト集団がイスラエルの選手村を襲撃、11名が犠牲となる悲劇が起きる。
これに対しイスラエル政府はパレスチナ幹部の暗殺を決定、諜報機関"モサド"の精鋭5人による暗殺チームを秘密裏に組織する……。


~感想~
重厚というかとにかく地味。これだけ地味だと「本でいいじゃん」という気がしてくる。
しかしゲリラにも暗殺者にもそれぞれの家族があり、それぞれの生活があるという当たり前のことを丹念に描いたのは好感。
それにしても、暗殺チームはターゲットの家族や周囲の無関係な人々を巻き込まないように腐心しているというのに、昨今のテロはまさにその家族や無関係な人々をこそターゲットにしているのだから、どうしようもないと思わせる。
ラストシーン、予想通りに映し出されるアレが、アレがもはやCGでしか描けないという事実が、エンディングをさらに暗く、絶望的なものに感じさせる。
スピルバーグがいくら辣腕をふるおうとも、やはり現実はなによりも強く胸に迫るのだ。


評価:★☆ 3
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映画感想―『007 カジノロワイヤル』

2008年11月18日 | 映画感想

~あらすじ~
ダニエル・クレイグ扮する6代目ボンドが初登場するシリーズ21作目。
ジェームズ・ボンド最初の任務は、世界中のテロリストを資金面で支える男、ル・シッフルの資金を絶つこと。やがて、ル・シッフルが“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることが明らかとなり、その阻止のためモンテネグロへと向かうボンド。しかし、そんな彼のもとに、財務省から監視役として美女ヴェスパー・リンドが送り込まれる。


~感想~
007になりたてのボンド、というわけで流麗なのは外見だけで荒々しい活躍ぶりを見せてくれるのが楽しい。
冒頭の追跡劇を見ているだけで「このボンドは頭脳より勢いで動いている」と納得させるのは見事。
殺し方も強引だわ、なにかというと力技で物事を解決しようとするわ、正体は常にバレバレだわ、仲間は仲間で「死んだら動け」とむちゃくちゃな指令を出したりと初々しい(というのかなんというのか)。
黙っているとロシアの大統領のような新ボンドだが、全裸でキ●タマを責められるという体当たりシーンもこなし、徐々に違和感を覚えなくなることだろう。
シリーズとしての位置づけは「007ビギンズ」といったところなので、未経験者もぜひ。


評価:★★★ 6
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DVD感想―『ダイハード4.0』

2008年11月15日 | 映画感想

~あらすじ~
独立記念日の前夜。全米のインフラを監視するシステムに何者かがハッキングを仕掛けてきた。
FBI本部はブラックリストに載るハッカーたちの一斉捜査を開始し、マクレーン警部補は、マットというハッカーをFBI本部まで連行せよとの指令を受けてしまい……。


~感想~
ダイハードの名に恥じないアクション大作。
不死身の男マクレーンが不死身さとノリだけで後先考えずに、デジタル時代の悪を腕力とひらめきで殲滅する。アナログTUEEEEEEEEEE!!
また今回はマクレーンがつれまわすハッカー青年との友情と、彼の成長を描いたバディムービーとしての色も濃く、楽しみどころは多い。同じくブルース・ウィリスがお調子者の青年とコンビを組む『16ブロック』のパロディがあるのもご愛嬌。
公開後、アメリカのネット掲示板にブルース・ウィリス本人が降臨し、疑うファンに顔をさらして大騒ぎになったそうだが、そのことから連想して「マクレーンと●●を戦わせようぜスレ」みたいなむちゃくちゃな展開が楽しくてしかたない。これぞダイハード!


評価:★★★★☆ 9
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DVD感想―『16ブロック』

2008年11月12日 | 映画感想

~あらすじ~
NY市警のジャック・モーズリー刑事は、夜勤明けのある日、上司から証人エディを16ブロック、約1.6キロ先の裁判所まで護送してほしいと頼まれる。
15分もあれば終わる仕事と説得され渋々引き受けたジャックだったが……。


~感想~
ブルース・ウィリス主演のアクションといえば、どうしてもジョン・マクレーンの影がちらついてしまうが、今作は特殊メイクと好演で、あちこち病んでいそうで油断したらいまにも死にそうな、老境にさしかかった男という独自のキャラを形作れている。
むこうみずで勢いだけで突っ走るところはマクレーンと同じだが、こちらはいつ(負傷ではなく内臓系の原因で)吐血して倒れるのかわからない病体。不死身ぶりと強運を笑う余裕がない。
『フォーンブース』のようないわゆる箱庭映画だが、駆け引きや頭脳戦は少なく、行き当たりばったりで逃げ回りながら次善の手を打っていたら事態が好転しました系の映画なので、なにも考えずに見るべし。時系列のずらしかたが見事で、意表を突いてくれる編集もうまい。
翳のある主人公とあいまって全体的に暗く打ち沈んだ雰囲気だが、ラストは打って変わって非常に明るく救われて、実に後味がいい。
だがDVD特典のアナザーエンドはどうしようもないほど暗く、こっちを採用していたら評価は著しく変わっていただろうなと興味深い。
どうでもいいがこのパッケージはスティーブ・オースチンにしか見えないなあ。


評価:★★★☆ 7
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DVD感想―『デジャヴ』

2008年11月11日 | 映画感想

~あらすじ~
500人以上もの犠牲者を出したフェリー爆破事件。
捜査を開始したATFのダグ・カーリンは、FBIの特別捜査班に招かれ、政府の極秘装置“タイム・ウィンドウ”と呼ばれる監視システムを使った事件解明に協力することになるのだったが……。


~感想~
事前に「どんでん返し映画」と聞いていたが、これどんでん返しと言わない。
サスペンスかと思ったらSFかと思ったらアクション映画だったのはたしかに「どんでん返し」だが、伏線がはまりだしたあたりから、アクション映画に比重を移してしまい、せっかくの伏線がもったいないことに。
むしろはじめからSFアクションだと承知していたほうが楽しめただろう。


評価:★★☆ 5
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