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小金沢ライブラリー

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映画(DVD)感想―『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』

2009年03月28日 | 映画感想

~あらすじ~
あまりにも優秀すぎるがゆえに同僚たちの反感を買い、のどかな田舎町サンドフォードに左遷されたニコラス・エンジェル。
殺人事件は20年間も起こらず、毎年のように表彰される平和な町で正義感をもてあまし、相棒のダニーは警察映画オタクのダメ警官で、すっかり途方に暮れるニコラス。
だが、悲劇的な事件が起きたとき、彼はふと疑念を抱く。この町は、実は少しものどかでも牧歌的でもないのではと……。


~感想~
どこから褒めればいいんだこの映画は。

全編にわたって張りめぐらされた伏線と、それを残らず回収する神がかり的な手腕。
空回りする堅物デカでコメディ映画としてきっちり笑わせ、まさに「静から動」と言うべき展開でアクション映画として満足させる物語。
並の映画なら解決編に持ってくるだろう過不足ないサスペンスと、「邑ホラー」としての不穏な空気。
それらが驚異的な完成度でまとめられ、120分間まったく飽きさせないのだから恐ろしい。
なんといっても伏線大好き人間にはたまらない、伏線じゃないものまで伏線として次々と回収していく様にはほぼイキかけた。
アクション、コメディ、パロディ、サスペンス、そしてバディ・ムービーとありとあらゆるジャンルを内包した、まさに完璧な映画である。
水野晴郎が生涯最期に見た映画が「ホットファズ」だったことは、映画の神様からの贈り物だったのかもしれない。

それにしてもこれだけの大傑作が署名活動でやっとこさ劇場公開にこぎつけ、DVD化にあたっては足を引っ張るとしか思えない副題を付けられるのだから日本はどうかしている。


評価:★★★★★ 10
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映画(DVD)感想―『スピードレーサー』

2009年03月27日 | 映画感想

~あらすじ~
往年の日本アニメ「マッハGoGoGo」を「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟が実写映画化。
父の設計した"マッハ5"を愛車に天性のハンドルさばきでライバルたちを圧倒するスピード・レーサー。彼は、レース中に命を落とした兄、レックスの遺志を継ぐべくレーストラックを疾走していた。そんなある日、大手メーカーから好条件のオファーが舞い込む。


~感想~
アニメ「マッハGoGoGo」の実写化ではなく、実写のアニメ化といったほうが正しい、極彩色に埋め尽くされた画面やディフォルメされた描写は、もう特撮とかCGとかそんな次元ではない。
さすがは「マトリックス」以来の監督作品だけあり、アイデアと技術の詰め込みっぷりはこれを本当に「マッハGoGoGo」に使ってもったいなくないのかと言いたくなるほど。ハリウッドによるアニメ原作映画としては史上屈指と言える娯楽大作である。
ウォシャウスキー兄弟には「ドラゴンボール・レヴォリューション」のスタッフに説教してもらわなくては。


評価:★★★★ 8
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映画(DVD)感想―『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

2009年03月26日 | 映画感想

~あらすじ~
ハリー・ポッターシリーズ第5弾。
ホグワーツ魔法学校の5年生に進級したハリーは、ヴォルデモート卿の復活に深い懸念を示していた。そんな中、魔法省は直属の女教師を学校全体の監視役として送り込んでくる。一方、ヴォルデモートは仲間を集め、ハリーたちを陥れようと暗躍し……。


~感想~
シリーズ最駄作。
メインストーリーの収拾にかかったようで、これまでの魅力だった魔法学園のわくわくする日常ドラマが皆無。
ファンタジーあふれる行事や授業もろくに描かれず、前半1時間にいたってはひたすら「はぶられるハリー」と「イヤキャラなピンクハウス婆あが大暴れ」という胸がむかつくだけの展開。
ヴォルデモートとの戦いは着実に進むが脇を固めるストーリーが甘く、いてもいなくても変わらないアジアンヒロイン、反省しないピンク婆あ、タイトルにしか登場しない不死鳥の騎士団、半人半獣になぶり殺しにされるピンク婆あ、肉体改造で得たマッチョさを感じさせるハリーの肩幅、前作で道がついてしまったように続く人死にと、まったく子供向けではない有様。
2011年までにあと3作出すそうだが、さすがに無茶じゃないかなあ……。


評価:★☆ 3
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DVD感想―『ミスト』

2009年03月24日 | 映画感想

~あらすじ~
田舎町を襲った激しい嵐の翌日、デヴィッドは湖の向こう岸に発生した異様に深い霧に懸念を抱きながらも息子とともにスーパーマーケットへ買い出しに出かけた。
その濃い霧はやがてマーケットに迫り、ついには町全体を飲み込むように覆っていく。


~感想~
こ れ は 酷 い。
といっても映画として酷いのではなく、結末が容赦なく酷すぎる。
「酷い」と書いて「むごい」と読むのが正しく、それまではいたってシンプルな、未知のモンスターに襲われるパニック・ムービーとして展開してきたストーリーが、ラスト5分で映画史に残るような最凶に後味の悪い結末を迎え、ダウナーな気分に陥ること請け合い。
なんでも原作とは全く違う結末だが、原作者のキングは「俺もこのラストにすればよかったぜ!」と残念がっていたそうな。
本当に恐ろしく、歴史上で無数の悲劇を生んできたのは、未知の暴力や暴走した宗教ではなく、判断力のないヒーローなのだなあ。


評価:★★★ 6
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DVD感想―『ベオウルフ 呪われし勇者』

2009年03月23日 | 映画感想

~あらすじ~
古代デンマーク。戦士ベオウルフは、王命によって、人々を襲い続ける呪われし巨人グレンデルの討伐に立ち上がる。
激戦の末、グレンデルを見事に打ち負すが、その冷酷で妖艶な母の魅惑に引き込まれ……。


~感想~
全編CGで描かれた大作。なのだが「CGもここまで来たか!」と驚くよりも「これがCGの限界だよなあ」と眉をひそめたくなる場面のほうが多い。
見どころは前半、なぜか全裸で戦うベオウルフの股間を巧みに隠す「オースチン・パワーズ」なカメラワークが無駄に力が入っていて、スタッフはどこまで真剣なのかと頭を抱えて悩みながらもバカ楽しい。
そこを除けば極めてまっとうなヒロイック・ファンタジーなので、「アニメか実写でもよかったのでは?」という疑念は最後までつきまとうものの、普通に観られる映画ではある。


評価:★★☆ 5
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DVD感想―『クローバーフィールド』

2009年03月17日 | 映画感想

~あらすじ~
日本に転勤するロブのために開かれたサプライズ・パーティーのさなか、突如としてニューヨークを何者かが襲う。
友人のハッドが偶然手にしていたカメラだけが、未曾有の事態を克明に映し出していた……。


~感想~
ハンディカメラ撮影によるドキュメンタリー形式といえば「ブレアウィッチプロジェクト」を思い出すが、魔女を怪獣に置き換え数百倍の予算をつぎ込んだのが今作である。
事前情報をほとんど流さず、首を切断された自由の女神の映像だけがシンボルのように公開され、いったいどういう映画なのか興味をひきつけ、まずは企画の勝利。
ハンディカメラの持ち味を活かし、見えそで見えない迫り来る脅威、しかし必要な描写は的確に映し出す腕もお見事。
ハリウッドの常識をかなぐり捨てたラストに、伏線も解決も真相も投げっぱなしの趣向は、鑑賞後にいろいろ語りたくなり、なんとか真相を探ろうとするサイトを渡り歩くのが楽しくてしかたない。
監督は日本の怪獣人気に驚き「アメリカにも怪獣文化を!」と考えたそうだが、ゴジラやガメラのような愛嬌のかけらもないHAKAISYA(でいいのか名前は)は確実に流行らないと思うが、新たな怪獣映画として一石を投じたのは間違いない。
冒頭20分ほどの退屈なホームパーティと、字幕を読んでるだけで酔いそうなカメラ回しにめげることなくお試しあれ。


評価:★★★★ 8
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DVD感想―『X‐MEN:ファイナル ディシジョン』

2009年02月20日 | 映画感想

~あらすじ~
シリーズ第3弾にして最終章。
プロフェッサーXの右腕だったジーンの死により、いまだ動揺から立ち直れずにいるX-MEN。そんな中、「ミュータントは病だ」と主張する天才科学者によって、ミュータントの能力を消去し普通の人間にすることのできる新薬が開発される。
ミュータントのまま生きるか、それとも人間になるかという究極の選択に、ミュータント社会は大きく揺れる。


~感想~
つめこみ過ぎの大作。
2時間に押し込むのが無理な物語を強引に100分に押し込んだものだから、ものすごく窮屈な作品に仕上がっている。
敵味方を問わず重要人物たちがばたばたと死んでいく様はまさに最終回。なんにもしていないサイクロップス、もののついでに殺される新キャラたち、やけにブサイクになったなあと思ったらろくにストーリーに絡まないローグ、あっさりやられるマグニートー、ジャガーノートあんまりだよジャガーノート。
2作分はありそうな内容を2時間足らずに縮めたやりすぎ感が、長所であり短所でもあるが、無駄に長い大作映画と比べると、強引にでもまとめたその力はやはり褒めるべきだろう。
シリーズを観てきたファンはもちろん必見。


評価:★★★☆ 7
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DVD感想―『ボーン・アイデンティティー』

2009年02月19日 | 映画感想

~あらすじ~
嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の男を発見する。
彼の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれていた。
息を吹き返した男は記憶を失っており、唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。


~感想~
記憶喪失だが体に刻み込まれたスパイの才能だけは失っていない男という、中二テイスト全開な設定だけでもううれしくなってくる。
迫り来る敵を反射的に叩き伏せ、どんな窮地に陥ってもとっさの判断で頭脳的に切り抜けるボーンがとにかくかっこいい。
その性能がチート気味で、ほとんどの敵を苦もなく倒してしまうのはご愛嬌だが、失われた記憶を追うストーリーはこれ以上ない大団円にたどりつき、娯楽作品として満点の出来である。


評価:★★★☆ 7
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DVD感想―『トランスフォーマー』

2009年02月18日 | 映画感想

~あらすじと感想~
バカアクション映画の巨匠マイケル・ベイが、あのトランスフォーマーを映画化。
変形! 爆発! 戦争! ダメ男! 爆発! 激突! 変形! 爆発!
それ以外になにを言えばいいのかわからないが、スピルバーグと組もうがマイケル・ベイのスタイルはなにも変わらない。
魅力ゼロのダメ主人公を軸に描く前半こそだれるが、トランスフォーマーたちが40分近く戦いまくるだけの後半が、そういう映画を観たい層にはたまらない。
マイケル・ベイ+トランスフォーマーから想像する映画が観たい向きにはうってつけの作品である。爆発!


評価:★★★ 6
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DVD感想―『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』

2009年02月17日 | 映画感想

~あらすじ~
1957年、アメリカ国内で米兵に扮した女諜報員スパルコ率いるソ連兵が米軍基地を襲撃。彼らは宇宙の神秘を解き明かす力を秘めたクリスタル・スカルを探し求め、その手掛かりをたどっていた。
捕らえられたインディは、クリスタル・スカルの捜索を強要されていて……。


~感想~
復活しただけはある良作。
アクションシーンの見せ方の上手さは言わずもがな。スピード感ある描写にユーモアを織り交ぜ、おなじみの音楽が流れ出したらもうインディ・ジョーンズ以外のなにものでもない。
インディはもちろん、かつてのヒロインをそのままヒロインとして持ってきた粋な計らいもよく、いきいきと躍動する彼らは往年の姿と一切変わらない。
スケールのでかすぎる展開や、わかりやすい物語はファンならずとも引きつけるだろう。アクション映画好きなら迷わず見るべき。


評価:★★★★ 8
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