たびびとの写真帳

*小さな旅の思い出写真集*

旅先・散歩中の心に残る写真が中心です。
旅の思い出・滝・風景・花の写真など。

大雪の後のお地蔵さん

2014年03月05日 | 写真



 日光市内を流れる大谷川(だいやがわ)がいちばんの激流となっている辺りの両岸には、「日光東大植物園」と「慈雲寺」がある。このお地蔵さんたちは「並び地蔵」(別名「化け地蔵」)と呼ばれている。徳川家康、秀忠、家光三代に仕えた高僧慈眼大師ゆかりの慈雲寺は、今では小さな門とこじんまりとしたお堂しか残っていないが、そのお堂脇から川沿いの散歩道には約70体といわれる古びたお地蔵さんが並んでいる。行きと帰りにお地蔵さんの数を数えてもなかなか一致しないことから「化け地蔵」と呼ばれるようになったという。これらは慈眼大師の没後に100人の弟子たちが一体ずつ献納したものと伝えられているが、400年以上の長い年月を経て洪水などで流されたり壊れたりしてその数も少なくなったのであろう。
 先月の二週続きの「記録的な大雪」でこのお地蔵さんたちはすっかり雪に埋もれていたはずだが、先週あたり何日か気温もゆるんでお地蔵さんたちの頭が現れてきたものだ。胸から膝にかけてまだたくさん雪が残っているが、これは頭上の木々の枝から落ちた雪が固まって残っているのではないかと思われる。お地蔵さんたちは北を向いて並んでいる。従って日中の日差しは後方からで体の前の雪が日陰になりなかなか解けずに残っているのではないかと想像してみた。まちがっても散歩道の雪かきでお地蔵さんたちに向かって雪をかけることはぜったいにありえないことだろうから、この不思議な形の残雪はまったく自然にこのようになっているのではないかと思う。
 そのようなことをあれこれ思い巡らしたりしながらのカメラ散歩も実に楽しいものだ。


4 コメント

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雪に埋もれたお地蔵さん。 (69歳のラブレタ-)
2014-03-06 08:47:31
たびびとさん。

ブログを開けるなり、民話の「かさこじぞう」のお話を直ぐに思い浮かべました。
絵本では、赤羽末吉という方が描いておられるのが好きなんですが、とても可愛いお地蔵さんなのです。
たびびとさんの書かれたのを読んでみますと、行きと帰りとではお地蔵さんの数が違う・・・とてもミステリアスな御地蔵さんですね。
しんとした雪深い山間で、なかなかリアルなお地蔵さんの姿は、迫力があって後ずさりしそうですね。
初めて知る事ばかりで、ほんとに勉強になります。
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ありがとうございます。 (たびびと)
2014-03-06 10:20:03
hiezimachieさん、コメントありがとうございます。
栃木県へ出かけるときはなぜか引き寄せられるようにこの場所へ必ず立ち寄るんですよ。もう何度この激流沿いの散歩道を歩いたことか・・・。
春には門前の桜並木がはるか昔の栄華を思い起こさせてくれます。
たしかにいつもお地蔵さんの正確な数がなかなかつかめません。並んでいる距離が長いし壊れたものも混じっていますから。
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雪の白と赤い帽子がマッチして (70歳ー旅の途中)
2014-03-06 19:50:16
長い歴史を今に伝えるお地蔵さんですね。寒い冬に耐えて、でも、赤い帽子がふっとのぞいたとき春の足音が聞こえてきますね。

見る人にいろんなことを思い起こさせていることでしょう。

でも100体もあったなんて、昔の人はそのようなことに時間をかけて後世に伝えてくれたのですね。

長い間にたくさんの物語も語り継がれているのではないかと、そんな気がしました。

又珍しい光景をありがとうございました。
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こんばんは。 (たびびと)
2014-03-06 20:39:14
setoti1940さん、いつもありがとうございます。
このお地蔵さんたちはおよそ400年もの長い間ここにずっとこうしていたんですね。
江戸ー明治ー大正ー昭和ー平成と、実に長い長い年月です。これまで数年来何度もこの渓流沿いの散歩道を歩いていますが、いつもなんともいえない敬虔な気持ちになっています。すぐそばの激流の迫力も加わり、この空間は歴史の重みを強く感じさせてくれるような気がします。
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