まばゆきまでも憂きわが身 2016-01-06 09:26:27 | 詩歌逍遥 澄める池の底まで照らすかがり火のまばゆきまでも憂きわが身かな 『紫式部集』中の一首。 辺りを煌々と照らす篝火の光は、澄んだ池の底までも照らし、邸内をあたかも昼のごとくに明るくきらびやかな空間にしている。その中で屈託なく振舞っている人を見れば、なおのこと憂愁に沈む我が身がその眩いばかりの光の中に照らし出される。 紫式部の内省的眼差しの透徹と奥行をよく示している秀歌。 « 今現在の精神の気象状態 | トップ | アンソロジーの精華 »
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