内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

心が渇いたときに読む藤沢周平 ―「山桜」

2021-01-14 23:59:59 | 読游摘録

 喉が渇きを覚えたときに水分を欲するように、心が渇きを覚えたときに読みたくなる文学作品が皆さんにもあるのではないでしょうか。それは、詩歌あるいは散文作品、古典あるいは近現代の作品、日本語あるいは外国語など、さまざまでしょう。
 それらの作品に関して、私にとって屈指の作家の一人が藤沢周平です。特に短編を好みます。どれか一作に絞ることはできませんし、またその必要もないわけですが、昨日、本棚からふと手にとったのが『時雨みち』(新潮文庫)でした。その中に収録されている「山桜」を私は偏愛しています。わずか二十四頁の小品ですが、何度読んでも胸に迫るものがあります。特に最後の二頁が素晴らしい。
 この作品を原作とした篠原哲雄監督の『山桜』もとてもいい映画ですね。主役野江を演じた田中麗奈は実に役柄によくあっていたし、東山紀之はじめその他の役者さんたちの演技も見事でした。現在、DVDでしか観られないようですが、アマゾンの prime video か Netflix で視聴できるようになることを期待しています。画質をあまり気にしなければ、Dailymotion で視聴できるのですが、やはり高画質で鑑賞したいですから。


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1 コメント

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Unknown (mituki)
2021-01-16 13:09:54
藤沢周平さんの「花のあと」も、心に染みます。この作品は原作より映画のほうが良いかもしれません。藤沢映画は、時間の経過を風景でつないでいくので、絵巻物のように感じます・・・
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