今、リュクサンブール公園のリセ・モンテーニュ寄りの樹々に取り囲まれた芝生の広場に面して並べられた鉄製の椅子の一つに腰掛けながら、この記事を書いている。
今回の土曜日からのパリ滞在は天気に恵まれた。土日は年一回の文化遺産公開日だったこともあり、カルティエ・ラタンも何かやたらに人が多くて騒々しく落ち着かなかったが、今日月曜日は打って変わって静かだ。もちろんノートルダム寺院付近は観光客が絶えることはないが、リュクサンブール公園内は、ゆっくりと散策する人や椅子に腰掛け日光浴する人たちがまばらに見える程度。
こうして日当たりの良い場所に座っていると、陽射しで体が暖められていく。蒼々と茂る樹々を先程まで揺らせていた少し冷たい風は収まり、花壇のアネモネの桃色の花咲く細い茎だけが僅かに揺れている。
ここかしこの梢からの鳥達の囀り、公園内のテニスコートからの球音がよく晴れた秋空に響いている。公園の周りの道路を走る車の音もその背景音以上には公園内に侵入して来ない。どの教会からかわからないが、違った方角から異なった鐘の音が輪唱のように響いて来る。
こんな穏やかな秋の陽射しを浴びながら、しかし、また何かが自分の中で終りを告げたのを感じないわけにはいかない。束の間の喜びが通り過ぎる度に、自分の貧しい魂が裸形に近づいていく。
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