内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

〈声〉を取り戻すために ― 竹内敏晴『ことばが劈かれるとき』再読

2021-01-09 23:59:59 | 読游摘録

 一昨日の記事で話題にした五冊の本が早く読みたい一心で試験答案の採点に集中して取り組んだら、存外に作業が捗って、あと十四枚を残すばかりとなりました。こういうところにも昨日の記事で話題にした単純な心性が効果を発揮しております。
 竹内敏晴の『ことばが劈かれるとき』は思い出深い本です。最初に読んだのがいつだったかもう正確には思い出せませんが、四十年近く前のことだったと思います。思想の科学社から一九七五年に刊行された初版で読んだはずです。私塾をやっていた頃です。この本に深い感銘を受け、その中に叙述されている治癒としてのレッスンの一部を塾で実践してみたこともありました。自己流でしたから、うまくは行きませんでしたけれど。
 今回届いたのは一九八八年に刊行されたちくま文庫版で、この版は今回初めて手にしているわけですが、それでもやはり懐かしさを感じます。この名著が息長く読まれていることを嬉しく思う一方、自分は結局この内容豊かな本から何も学ぶことなしに教師稼業を続けてきてしまったのだなあと苦い後悔の念も噛みしめざるを得ません。
 遅まきながら、今一度、心を込めて精読したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿