内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

春の陽気、満開のマグノリアの芳香を胸に吸い込む ― 外出制限令下、初めての買い物

2020-03-20 17:56:39 | 雑感

 今日は朝からよく晴れた。書斎の目の前の大きな隣家の庭木では鳥たちが早朝から囀っている。午後は気温が20度近くまで上がった。花々が一斉に開き出した。散歩するのに気持ちの良い天気だ。
 外出制限令が発効した火曜日から昨日木曜日までの三日間、一歩も外に出なかった。先週末も土日は一方外出しなかった。もっとも、これはオンライン授業を月曜日から開始するための準備作業と同僚とのメールのやり取りに忙殺されたからだが。
 フランスの状況も、イタリア、スペインに次いで深刻の度を急速に増している。コロナウイルス関連のニュースは連日ネットでもテレビでもひっきりなしに報道されている。それらを全部追っていたらそれだけで一日が終わってしまう。でも、まったく気にせずに仕事に集中するのはむずかしい。今日も机に向かって仕事をしながら、一時間おきくらいにネットのニュースをチェックした。
 状況はさらに悪化するだろう。感染拡大のピークはまだいつになるのかさえわからない。15日間の期限付きで発効した外出制限令がさらに延長されるのは確定的だ。少なくとも四月末のヴァカンス開けまで覚悟しておいたほうがいいだろう。
 今日の午後、月曜日以来の買い物に出かけた。火曜日から外出の際にその携帯が義務づけられた「例外的外出証明書」を携帯して自転車で出かけた。一番近いスーパーまででも自転車で6,7分ほどかかる。今日はそこで簡単に買い物を済まそうとその店の前まで来て驚いた。店の外に1.5から2メールくらいの間隔を開けて客が列をなしていたのだ。入店者の数を制限することで店内での客同士が至近距離に近づくことを避けるためだとわかった。
 他の店も同じかどうか確かめようと、その店では買い物をせずにもっと大きなスーパーまで足をのばした。同じである。行列はもっと長かった。二十人ほど並んでいる。そのうち約半数がマスクをしている。こんな光景はもちろん初めて見る。店の入口にガードマンが立っていて、一定数の客が店から出て来ると、五人ずつ店内に入ってよいと合図をする。いったいどれくらい待たされるのかと思ったが、十分も待たされなかった。
 店内は当然すいている。品薄はひと目でわかるが、大体いつもどおりの買い物ができるくらいには品物が入荷して来てはいるようだ。レジには、レジ打ちと客との間に透明なビニールシートがカーテンのように天井から吊られている。飛沫感染を防ぐためだ。客たちは買い物メモを片手に少しでも店内にいる時間を少なくしたいかのように急ぎ買い物を済ませレジに並ぶ。レジで待たされないから普段よりむしろ快適なくらいだ。
 帰り道、通り過ぎる家々の庭にはマグノリアの大ぶりの花が青空に向って蓮の華のように大きく開いているのが目立った。その甘やかな芳香を胸に吸い込む。一時間にも満たない外出だったが気分が少し晴れた。