たまにはこんな試みもよいかと思い。
物語風にお届けいたします第十二弾。
冷やし飴を買いに出て 今日がもりばばの お話の夕べであることを思い出した もりばばの家に集うのは 最高気温を記録した日と決まっている 殺人的な日差しを逃れ ひんやりとした風情に包まれた あの家 ばばの過去を知っているものはいない 合気道の師範だったとか 飴売りだったとか 光脈の守り人だったとか 噂は色々ある 僕はそれが すべて本当だと思っている 「おやおや。今年もきたっね。 まあ、上がいやんせ。 昨日よか茶が届いたで まあ、飲んみゃんせ。」
障子を開けて仰ぎ見る 月の光の禍々しさ 語りの夕べは不定期なのに 登る月はいつも満ちていて 濡れ羽色の森を照らし出す 「そんではある をんなの話をしようかね」 灰暗い光と共に 語りの夕べが始まった |
珍しく和風テイスト。
セピの憧れる「やってみたいこと」の一つに。
囲炉裏を囲んでお年寄りに昔話や伝承を語ってもらう。
というのがあります。
木が燃え爆ぜる音を聞き、嬲る風の声をバックミュージックに、訥々と語るしゃがれた声。
どこか哀愁があって、土の匂いがする物語を紡いでいく。
美味い番茶があれば、なおヨロシ。
高橋克彦の作品に『眠らない少女』というのがあります。
主人公が昔囲炉裏で語ってもらった、昔話『うりこ姫』の怖さを思い出し、妻と娘に語るシーンがあります。
岩手の方言で綴られる物語は、その残酷な内容をさらに奇怪に血なまぐさくさせる。
本当に方言で話しているのを聞いたら、場の空気だけで震えてしまいそうです。
そんな一時をぜひ過ごしたひ。
民俗学大好きィには、たまらない集いではないでせうかww