「戯言の部屋」

セピアス、戯言を語るの間

土曜日の午后 15

2006-11-04 12:31:12 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第十五弾。



 
本を読みながら微睡んでいると
夢の中で僕は
物語の新しいページを開いていた。




「見上げるシャンデリアの煌き。
一つ一つの硝子細工が
ブリリアントに輝いても
私の胸は一向に晴れない。」



「晩餐会の夜。
沢山の人に囲まれながら
それでも一人ぼっちを感じていた。」



「オルゴールが奏でるのは
軽快でありながら
空々しい哀しみに満ちたメヌエット。」



「私にとって彼は
必要欠くべからざる人なのに
彼にとって私は
必要欠くべからざる人でない
そのことが
こんなにも私の胸を塞ぐのだ。
 
どうにもならない。
どうしようもない。
まるで疫病のように巣食ったこれは
恋のいう病。
誰も救えない
彼にしか救えない
哀しく凍りついた病。

私は哀しく踊り続ける
たった一人で
この恋のメヌエットを・・・・。」



そこで目が覚めて
僕ははっと頬に手を当てる。
零れ落ちた雫は
僕のものか
彼女のものか。



国が滅び
命あるものが死に
綴る人も
語る人も
詠う人も
何もかも消え去ったとしても
ただ想いが
想いだけが
悠久の時の彼方に
連綿と営々と息づいていく。
小さく吐息を吐くように
誰かの元に飛来して
儚い夢を魅せるのだろう。

「土曜日の午后」と「ショートショートショート」の違い。
 それはコントと一発ギャグの違いに近い
 土曜日の午后は、概ね先にストーリーがありそこから写真を撮っていくことが多いです。
 もしくは何処かに出かけた先で撮った写真を繋ぎ合わせて、物語を考える・・・という流れでしょうか。
(最近は全部の写真が私が撮った写真というわけではないですが・・・あんちょこ☆)
 ショートショートショートは、自分の感性に「おお!」ときた1枚写真で、そこから物語を浮かばせる手法を取っています。
 まさに、ザ☆インスピレーション(だから何だ)
 どちらも気に入ってます
 小説を書く頻度が極端に落ちているので、こんな風な手法でも取って文章力を保っていかねば。
 しかし一体いつになったら10000企画出来るんですかねえ(←ヒトゴト?)
 10000企画は、モデルを使っての写真が必要となる為、なかなか予定が合わなくてですねえ。
 難しいです。季節もどんどん変わっていきますし。
 まあでも、そのうちキチンやります。
 そのうち・・・ですけど(弱腰)

「土曜日の午后」ないし「ショートショートショート」は、一応どちらかは毎週やっていきたいと思っています。複数枚写真が必要な「土曜日の午后」は、なかなか毎週作るのが難しくて☆てへw
 でも「好きだよ~」と言って下さる方が多いので、ちゃんと続けていきますです。
 さーって!
 明日もどこかに撮影に行ってくっかあ♪


土曜日の午后 14

2006-10-01 22:38:27 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第十四弾。



 
その日は記録的な暴風雨であったが
彼との約束の日だったので
実に1年ぶりに
このカフェへとやってきた。



「相変わらず甘いものが好きなんだな。」
唐突にかけられた声に顔を上げると
約束通りそこに彼がいた。
一年前と変わらない声。
変わらない笑顔。
5分遅刻するところまで一緒だった。



「この1年楽しく過ごせたかい。」
「うん。まあ」
「そうか。それはよかった。」
「・・・・・・・。」
「俺も楽しく過ごさせてもらった。」
「・・・・・・・。」
「ありがとうな。本当に。」
「どうしても、しなければならないんだろうか。」
「当たり前だろう?」
「このままでは、いけないのかな。」
「こうなることはずっと決められていたことだ。」
「うん・・・。」
「仕方のないことなんだよ。」
「・・・・・・・。」



「さあ、約束を果たそう。」
彼はそう言ってにっこりと笑った。
その笑顔があまりに優しかったので
僕は瞼が熱くなった。

彼の前に置かれた
カクテルの紅が滲む。

彼はふっと吐息を吐いて
一息にそれを飲み干した。



嗚呼



僕は彼が
僕の中から消滅していくのを感じていた。

もう二度と戻らない
僕の過去。
人は成長する為に
沢山の自分を殺していかなければならない。

僕は彼が好きで
彼も僕が好きだった。
それでも僕は
彼を殺さなければならなかった。
僕が新しい僕となる為に。

後悔はしてない。
ただ。
舌に残る毒薬の味が
無償に淋しかった。

 物凄く久しぶりです「土曜日の午后」。
 あんまりコメントを頂けることがないので、セピの趣味で続けているという感じなんですが。
 意外にも「土曜日の午后好きだよ~」と言って下さる方が多くて嬉しいw

 色々な人を見て最近思うことですが。
「自分自身の価値観を変える」ということは、一体どれくらいの年まで出来ることなんでしょうね?
 出来れば一生、といいたいとこですが。
 結構難しいと思うのです。
 なんというか・・・自分だけの「こだわり」って人それぞれあると思うんですよ(それが正しいことか正しくないことかは置いておいて)
 そういう自分のこだわりを変えられることって、年をとればとるほど難しい。
 人に指摘されても「余計なお世話。私は私でこうやってきたんだから、これからもやっていくの!何か文句ある!?」ってなことになりがち。
 なるべくですねえ・・・「自分を変える」ということに対して柔軟でありたいとは思っております。
 ってなことを、秋の夜長に考えまして。
 生まれたのが、今回の「土曜日の午后」というわけです。
 
 雨が降るたびに気温が下がっり、金木犀の香りは掻き消され。
 冷気の中で、木々の葉が密やかに紅葉していく・・・。
 今年こそは、国立並木道に逝こう!
 と、心に決めるセピなのでした~~~ww


土曜日の午后 13

2006-09-10 22:29:08 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第十三弾。



 
深い霧に包まれた森の奥に
「世界の果て」がある
選ばれた恋人同士だけが
その先にある
理想郷ユートピア」への扉を開くことが出来る



僕の仕事は
世界の果てで
不法に訪れる者がないよう見張る
門衛だ



「理想郷」は
魂を共有する完璧な恋人同士しか
暮らすことが出来ない
足を踏み入れることすら許されない



毎日沢山の恋人達がやってくる
しかし
本当に「世界の果て」までたどり着けるのは
ほんの一握りだけ
大概がこの霧の中で
互いの姿を見失ってしまう



「理想郷」では
すべてが完成された静謐に満ちている
死すらも自らの意思で選択出来る
永遠に祝福された場所

そしてそれは
僕がけっして訪れることが出来ない場所なのだ



扉は常に閉ざされ
ただこちら側の世界に居続ける
それが
門衛の宿命



深夜の遊園地のように
蜃気楼を見据える長距離走者のように
僕は常に孤独と共にある

世界の果てに佇んで
月を見上げて
心地よい寂しさに身を浸す時

哀しい恋人達の
繋がれていた筈の互いの手の
優しい温もりがまたひとつ
この森に泡沫と消えてゆく


 さて。
 とうとう明かしてしまいました。
 主人公「僕」の仕事。
 恋人達の為の異世界理想郷ユートピア」の門衛
 これ、実はセピの中で構想15年くらいの物語があり、その中の登場人物の一人なんです。
 その構想15年の物語は、セピが書きたい「幻想文学」として、いくつか短編を派生して書いているんですが・・・。
 いかんせん、かなりワープロ時代に書いたせいでですねえ・・・。
 FDの中身が見られねえ orz
 でも確か、こういうFDの中身を出力してくれるサービスってありましたよね??
 って、分かっていながら調べようとしてないモノグサなセピです(笑)

 さてさて。
 今回の「土曜日の午后」は、かな~り重要なある「伏線」ですので、ご愛読頂いている方(いるのか?)は、ぜひとも頭の片隅にでも置いておいて頂けると嬉しいです~~。
 (☆∀☆)うっへっへ
 


土曜日の午后 12

2006-08-19 21:15:22 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第十二弾。



 
冷やし飴を買いに出て
今日がもりばばの
お話の夕べであることを思い出した



もりばばの家に集うのは
最高気温を記録した日と決まっている
殺人的な日差しを逃れ
ひんやりとした風情に包まれた
あの家



ばばの過去を知っているものはいない
合気道の師範だったとか
飴売りだったとか
光脈の守り人だったとか
噂は色々ある

僕はそれが
すべて本当だと思っている



「おやおや。今年もきたっね。
まあ、上がいやんせ。
昨日よか茶が届いたで
まあ、飲んみゃんせ。」



障子を開けて仰ぎ見る
月の光の禍々しさ
語りの夕べは不定期なのに
登る月はいつも満ちていて
濡れ羽色の森を照らし出す



「そんではある
をんなの話をしようかね」

灰暗い光と共に
語りの夕べが始まった

 珍しく和風テイスト。
 セピの憧れる「やってみたいこと」の一つに。
 囲炉裏を囲んでお年寄りに昔話や伝承を語ってもらう。
 というのがあります。
 木が燃え爆ぜる音を聞き、嬲る風の声をバックミュージックに、訥々と語るしゃがれた声。
 どこか哀愁があって、土の匂いがする物語を紡いでいく。
 美味い番茶があれば、なおヨロシ。

 高橋克彦の作品に『眠らない少女』というのがあります。
 主人公が昔囲炉裏で語ってもらった、昔話『うりこ姫』の怖さを思い出し、妻と娘に語るシーンがあります。
 岩手の方言で綴られる物語は、その残酷な内容をさらに奇怪に血なまぐさくさせる。
 本当に方言で話しているのを聞いたら、場の空気だけで震えてしまいそうです。

 そんな一時をぜひ過ごしたひ。
 民俗学大好きィには、たまらない集いではないでせうかww


土曜日の午后 11

2006-08-13 00:56:26 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第十一弾。



 
寝台ベッドに横になり
つらつらと夢の後味を噛み締めていたら
思った以上に時間が経ってしまった。
だらけた体を引きずりだして
ブランチを食べに街へ繰り出す



そこは森の中にひっそりと建つ
閑静なカフエ
ここのチーズオムレツが
最近の僕の流行なのだ

オムレツを待つ間
聴くともなしに
隣のカップルの会話が聞こえてくる



「私は役職にいるわけじゃないけど
それでも指導したり資料作ったり
本来の仕事じゃないことまで
何でもかんでも頼まれるの。
でもそれに対して何でも
はいはい言っていたら
どんどん自分が苦しくなってくる。
そんな職場なのよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。」



「あの子は会うたびに
いっつも違うことを言っているの。
昨日は黒と言っていて
今日は白と言っている。
でも本人は矛盾しているなんて思ってない。
ただ気分でどんどん話しているだけ。
でも付き合わされる方はたまったもんじゃないわ。
それでも指摘すると
烈火の如く怒るのよ。
じゃあ私にどうしろっているの?
そう思うじゃない。」
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね。」



「楽しい時間を過ごしていても
時折少し淋しくなることがあるの。
それ古い傷跡を爪で引っかいて
滲む痛みに感じ入る・・・。
そんな少し自虐的な感傷なの。
でもそれは
あんまりよくないこと。
よくないことだと分かっていても
それでも目を逸らせない
不思議な力があるのよ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「結局貴方・・・・別れるつもりなのね。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん。」



不意に
僕の胸に鋭い痛みが走った。
それが
彼の痛みなのか彼女の痛みなのか
分からないまま
少しぬるくなった檸檬水シトロン
ゆっくりと僕は飲み干した。
 

 久しぶりに行ってきました。
 下北沢。
 演劇経験がある大学生は、一度は行ったことがあるはず。
 懐かしい町並み・・・漂う香りも店構えも何もかも、本当にまったくあの頃と同じ。
 行き交う人さえ同じように見える。
 
 が。
 行きたかったカフエに行ってみたら・・・。

 見事につぶれていました。orz

 まあ・・・いいですわ。
 友人とぶらーりぶらーり歩きながら、素敵な店を見つけましたし。
 愛好家ご垂涎の燐寸を買いましたし。
 路地に入り込んで艶やかな町並みを撮りましたし。
←ながーい坂がまたd(>∀<)b
 雷雨が去った後の空って、なんてあんなに瑞々しく美しいのでしょうねえ。
 自分の中の、色々なものも一緒に流されていったような。
 そんな晴れ晴れとした午后のひとときでしたw

 


土曜日の午后 10

2006-08-05 00:00:49 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第十弾。



 
陰惨な月光にあぶられて
蝉の絶叫がこだまする
そんな夜に僕はきまって
夜のカフェへとしゃれこむのだ



会員制の「タマリ・マハル」もいいのだが
今日はなんとなく気楽に過ごせる
「ヴィオレット」へと足を向ける



この店で美味しいのは、ミノとレンズ豆のスープ

紅いスープを掬いながら
僕はふっと空想に囚われる

細やかな襞の生々しいこの肉片は
もしかしたら無垢な赤ん坊の「魂」かもしれない
光を失ったかつての恋人の「愛」かもしれない
もう救われない僕の「罪」かもしれない

そして僕はゆっくりと
時間をかけて狂気を食む



それは封印された心の螺旋階段を
一歩一歩降りていくのに似ている
恐れながらも
どこか惹きつけて離さない
自虐的な甘味に酔いしれる



さあ、夜も更けてきた
愚か者の宴を始めよう
明日の朝にはきっと
この中の誰かが消え去っているとしても
甘美な堕落の味を
心ゆくまでかき抱くのだ
 

 写真(勝手に)提供:Violette
 
 なんとな~くCafeで小粋な時間を過ごしてみたくなり、前々から行こうと思っていたCafeへGo!
 メニューを見ていたら・・・。
「牛の胃袋のトマト煮
 というのがありました。
 ムガアアアア!
 イチもニもなく、私の心のスイッチが入る。
 
 ムシロ、食わねば d(☆∀☆)bシャキーン

 というわけで。
 なんというか・・・リアルに「内臓でした。
 そして味は・・・月イチで食べたくなるくらい美味かったっス。
 とろっとして臭みがなく、しかもこってりしているが胸に残らない。
 舌の上でフワッと溶けていきました(´¬`)ンマー

 ちなみに、代々木公園駅から徒歩5分の位置にあるのに。
 たどり着くまで、30分かかりました。

 ・・・・ナゼ!? orz


土曜日の午后 9

2006-07-22 16:55:24 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第九弾。



 
まどろむ午后に
見知らぬ誰かの思考が
不意に呼び込んでくることがある。



『私の屋敷は
スーパーコンピューターの
超頭脳ビッグマザーによって管理されていました。』



『屋敷の中は
奏でられる音楽さえ
自動人形オートマータでした。』



『この鳥籠の中で
空を見ながら
ただ飛ぶことだけを夢想していた日々。』



『紅い実を食べたら
紅い鳥になって
空を飛べるのかしら。』



『構える時も
振り下ろす時も
振り下ろした後ですら
奇妙に罪悪感はありませんでした。』



『それでも
私が戻りたかったアノ場所に戻れない
そのことだけは痛い程分かりました
紅い実を食べた時
結局違う籠の中に
閉じ込められたことを知ったのです


二度と飛び出せない
狂気の中へ。』
 


 まあ、最近私の中で「ホラー」が流行りだったこともあり。
 ホラーテイストで作ってみました。
 んなことをしていたせいで。
 めっちゃめちゃ怖い夢を見てしまいましたよ
 寮?かホテル?か。
 定期的にある「闇」がやってくる。
「闇」がやってくる前に完全に密閉された空間にいないと、死んでしまう。
 何とかしようと「闇」の本性を暴くべく、アイテムを集めたり文書をあさったりするわけです。
 時々でサイレンの音がする・・・人々は逃げ惑い、密閉した空間を探して逃げ惑う・・・私もとりあえず必死で探して飛び込むわけです。

 なんていうか・・・・。
 サイレントヒルの影響受けすぎ☆てへっ

 一応、町はずれの廃車の中に、対抗策になりそうなアイテムをゲッツ!(←この当たりがゲームっぽい)
 さあ、いざ対戦だ!!ってところで。
「起きろ~~~~!!」
 と、ママンに起こされました。
 (TεT;)チェッ

 いやいや。
 ホラー熱はまだまだ冷めそうにないですが。
 もうちょっと「感動系」にも手を伸ばしませう~(苦笑)


土曜日の午后 8

2006-07-08 21:56:22 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第八弾。


 
叔父が経営する「ガランドゥ」は
一風変わった店だった



ここでは客が品物選ぶのではなく
品物が客を選ぶのだ
まるで遥か昔に別れ別れになった双子のように
ぴったりと響き合う一時を求めて
今日も客はやってくる



「ハイウェイを疾走する風をください
身を任せたら
あらゆる憎しみを解き放てるような
そんな風を下さい」



「愛しい男の胸を
涙のような血潮に染めるにふさわしい
鋭利な鋭利な洋刀ナイフを下さい
あの人の冷酷さに似合うだけの
煌く白銀の洋刀ナイフを下さい」



「ちりちりとする痛みを抱いて
気付けば頬を涙で濡らすような
密やかな哀しい夢を下さい
思い出そう目を凝らしても
ただその苦味を噛み締めるしかないような
そんな儚い夢を下さい」



春夏秋冬を乗り越えて
常連はひとりまたひとりと消えていく
それはきっとガランドゥを通して
二度と戻れない自我の世界へと
旅立ってしまったからに違いない

そうして失踪者達は
この世界のどこかで
ノスタルジックな王国築く
招待状も挨拶もきっかけすらなく
眠りに落ちるような静けさで
失踪者達はこの世界から消滅する
 

 夜だけ開店する雑貨屋を営みたい。
 いや。本当に営みたいかっていうと、答えはNOですが(なんやねん)
 想像するだけだと、いいなあと思うのです。

 従業員は一様に言葉が通じない。
 ってか、それ地上の言葉?みたいな言語で話す(でも勘が物凄くいい)
 そして何に使うか分からないようなガラクタしか売ってない。
 でも奇妙に惹きつけられる店。
 
 そんな空想の店「ガランドゥ」を描いてみました。
 ちょっとブラック絵本みたいなテイストになってしまいまちた☆
 ま、たまにはよしとしよう

土曜日の午后 7

2006-06-18 00:54:05 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第七弾。


 
まどろむような浅い眠りの中で
奇怪な夢を見た



探し物をしている
それは蒼く蒼く透通った
幼い日の憧憬のようなもの



螺旋階段を駆け下りていく
焦燥が 僕の後から
靴音を鳴らしてついてくる



「あれは井戸の名残ですか」
と、僕は問う
「いいえ、首を吊った後ですよ」
と女は答えた

驚いて振り返っても
ただ女の笑い声が
残響のように漂っているだけだった



あやかしの森では
おばあさんの皮を被った狼が徘徊している



夢のような現実と
現実のような夢と
その境目が分からない

ただ今 僕は
この世界にいて
必死に出口を探し続けている
 

 怖い夢。
 時々見ます。
 汗びっしょりになって目が覚めるけど、肝心の内容はよく覚えてない。
 でも胸の中には、じわりじわりと恐怖の温もりが残っている。
 
 余談ですが。
 高いところから落ちる夢って、確か吉兆のしるしらしいですよ。
「おーちーるー!!」
 というアノ恐怖は、とてもじゃないですがいい夢とは思えませんが。
 確か・・・それまでのいただけない状況からの離脱かなんかを意味していたやうな。
 
 ・・・嘘かもしれません。
 曖昧知識、御免なすって。


土曜日の午后 6

2006-06-11 20:24:30 | 土曜日の午后

 たまにはこんな試みもよいかと思い。
 物語風にお届けいたします第六弾。


 
最後の晩餐が終わり
僕に残されたものは
もう何もなかった

 
現実は
太刀打ち出来ないくらい現実なので
あの手この手で
僕を脅かし続ける



疲れてしまった
終わらせることは簡単なのだ
僕は微かに微笑んで
路上の石を小さく蹴った
 
テールランプが紅く連なっていく
僕は目を閉じて
深呼吸をする
 
さあ、いまだ
そう思った時
僕の携帯が鳴った
そう それはまるで
計ったかのような
絶妙なタイミングで



「美しい日差しを見て、貴方のことを 思い出しました。
ここは暗く 淋しい場所だけど
貴方の確かな輝きだけは
いつもどんな場所でも 感じています。」

 
嗚呼
人生は なんと数奇に満ちているのだろう
大海へと船出する 淋しい船員になって
僕らは一人一人が
数ある運命に翻弄されていく



でも そう
悲しみの後には きっと
喜びがやってくる
僕が僕であるために
沢山の手が差し伸べられ
守られ 愛されていることを
けっして 忘れてはならないのだ
 
凍りついた夜を抜け出して
 
今 心の扉を開いて
自分の歩調で 歩きだそう
 

 最近読みたい本を色々な人から借りたり買ったりしていまして。
 もうはや本棚がヤバいことに。
 クロゼット地層に入れるホドではないにしろ、また本の配置を考えなければ。
 
 後から振り返れば、笑っちゃうような出来事でも、今この時はただ猛烈にキている。
 そんな時って多々あります。
 どん底にいる時って、ただ自分の足元に広がる暗い底しか見えませんから。
 でも、どん底にいるなら、後は這い上がるだけなんです。
 どん底だもん。これ以上悪いことなんて、起きないさ。
 と、思いまして・・・つらい夜を過ごす人々に送る作品です。