南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
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米債務法案は成立すれども

2011-08-02 17:20:19 | 経済
究極のチキンレースはぎりぎりのラインで双方が自制し終了しました。
結局、与党民主党が財政再建のために計画していた富裕層の優遇税制廃止は断念する、という結末です。
(下院での民主党賛否は95対95と実に奇妙で際どい採決でした。逆に野党共和党は賛成174反対66です)
これでデフォルトは回避されますが、巨額な財政赤字の削減にはまったく目途がたっておりません。
野党共和党は小さな政府を目指していますから、社会保障給付費などの削減にメスを入れていく方針でしょう。
富裕層を擁護する共和党と、低所得者層を擁護したいとする民主党、実にわかりやすい構図です。
瀬戸際ギリギリで妥協はしたものの、問題はさらに大きくなって先送りされました。
これが世界の金融市場にどのような影響を与えるのか、まだまだ予断は許されません。

しかしこの問題を外国のことだと笑ってみている訳にはいきません。
我が国の財政状況は米国以上に深刻だからです。
米国の債務残高は約1100兆円で、年間予算規模約294兆円の3.7倍ですが、日本のそれは10倍以上(債務残高約1000兆円、年間予算規模92兆円)にもなります。
さらに東日本大震災の復興資金の財源はいまだ見えておらず、特例公債法案の成立も危うい状況です。

米国以上に日本が深刻なのは、財政再建の方向性について与野党ともバラバラな点です。
特例公債法案とは赤字国債を発行するための法案ですが、現在でも深刻な財政状況の中でどういった未来図を描けるのかが最大のポイントです。
私たちが気をつけて見ていないと虎の子を根こそぎ奪われるかもしれません。