南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

小諸義塾

2011-08-01 19:48:17 | Weblog

せっかく来た長野ですから、そのまま帰るのももったいないと思い、かねてからいってみたかった小諸市を訪れました。
小諸城址には「懐古園」があり、その中には藤村記念館や小諸義塾記念館があります。
この写真は、藤村記念館前にある樹齢500年という立派な大ケヤキです。

藤村記念館もさることながら、島崎藤村が恩師木村熊二の招きに応じて教師を務めたという、「小諸義塾記念館」にも感動しました。
この「小諸義塾」とは、幕府昌平塾に学んだのち12年のアメリカ留学を経て、この地に木村熊二が教育の理想を打ちたてようとした私塾です。
展示室のパネルに小諸義塾設立の趣意が書かれておりました。
あまりにいい文章なので書き写そうかとも思いましたが、写真に撮ろうと考えて記念館の事務員さんに聞きましたら、そんな要望が多いのでワープロ打ちしたものを1枚10円で分けているとのことでした。
みなさんには10円のおすそ分けをいたします。

1、教育するということは、書を読ませ、学校に通学させるということではなく、起居坐臥を共にし、夜分は一室に集まって、談話・対論などを通し、見聞を確かにすると共に精神を陶冶することである。

1、私の今日精神教育を主張するのは、青年の品位を高尚にすることである。
或る人が私に申すには、学校に出し、書を読ませると子供は生意気になり親を大切にしなくなるという。
それは書を読ませるだけでは赤児に刃物を与えるようなもので、心を育てないからである。
人格・気風を育てることが人間教育の本文である。
目先の利殖や営利栄達のみを求める人間は、技芸は秀でても品性の極く卑しい者であるといわざるをえない。

1、国家の消長は、国民の気風にかかわる。
この気風は一朝一夕にしてできるものではないことは東西の歴史を見てもわかる。
この強靭にして高尚なる気風は、其の任にあたる人の実践躬行によるより他にない。

1、利害に狂奔し、自分の棲息する地以外のことは考えないという強隘にして利己主義的傾向は、ここ信州においても例外ではない。
故に教育の本文は青年ひとりひとりの人物の養成が急務である。