南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

心理的効果

2010-03-16 12:55:43 | 経済

毎週月曜日に日経新聞に掲載される「景気指標」欄は時々眺めましょう。
昨日の「景気指標」では、日銀による金融政策の目的についてこう書かれておりました。
『日銀による金融政策の目的は物価の安定を確保し、持続的な経済成長の実現に貢献することである。
今のようなデフレ局面では、できるだけ緩和的な金融環境を整えて投資や消費を刺激し、需給ギャップの解消を狙う』

現実はどうでしょうか。
春闘はいよいよ大詰めを迎えています。
なんとか定昇確保は出来る見込みですが、ベア無しでは消費増に結びつくような心理的効果は望めません。
資本主義社会においては賃金の引き上げにお金が使われない場合には、投資と雇用創出に使わなければなりません。

我が国に使うお金がないとは言わせません。
「景気指標」欄の法人企業統計を見ると、10-12月の営業利益は前年比+73.9です。
同じく日経新聞14日の記事によれば、国内企業が手元にお金をためておく傾向が強まっており、フリーキャッシュフローは10-12月期年換算で26兆円と過去最大に膨らんでいます。
それに加えて日銀はデフレ克服に向けて、資金供給規模を現在の10兆円から上積みする予定ともいいます。

銀行の預金もどんどんと増え530兆円を超えました。
銀行に預けられたお金は、貸し出し先の無いままで行き場を失い、国債購入に向かいます。
そして銀行の国債保有が過去最高を更新、1月末の残高は126兆円と08年秋の金融危機から1年余りで1.5倍に膨らみました。

なんと哀しい国家でしょうか。
終戦直後に匹敵するような130万世帯の生活保護家庭、日常的に使われはじめた貧困という言葉、340万を超える失業者の群れ、そして学校出ても職がないという暗い春、・・・・。
一方では行き場を失ったお金たち、どこかでなにかがおかしくなっています。
世界的金融危機を招いた元凶の米国が少しずつではありますが上向いてきました。
日本と大きく違う指標は景気先行指数です。
これは企業家たちの心理をあらわすものですが、日本の97.1(04年を100として)に対して米国は107.4(05年を100)でした。(1月時点)
資本主義が機能しない資本主義国家では国民が不幸になります。
国民生活をおろそかにする社会はいつか崩壊します。
それは政権交代などという生易しいものではありません。
どうか国を動かすようなトップリーダーのみなさん、もっともっと“正しい奮起”をお願いいたします。