城郭探訪

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「彦根屏風」は12代井伊直亮が購入

2016年10月24日 | 文化財

国宝「彦根屏風」は12代井伊直亮が購入 千両を値切って

京都新聞 2016.10.21

【上】近世初期風俗画の代表作、国宝「彦根屏風」。寛永年間に京の遊里を描いたとされる。作者は不詳=彦根城博物館所蔵【下】「屏風之覚」の揚屋之図のページ。3行目中ほどに「金初メ千両」などと記されている(彦根城博物館提供)

 彦根藩井伊家に伝わり、江戸時代初期の風俗を描いた傑作として知られる国宝「彦根屏風(びょうぶ)」を購入したのは、12代藩主の井伊直亮(なおあき)(1794~1850年)だったと彦根城博物館(彦根市金亀町)が20日発表した。直亮が自ら記した収集品の目録から判明、現在の金額で1億円もの売価を値切って入手していたことも分かった。

■自筆目録修復で判明、13代直弼購入説を否定

 これまでは13代藩主直弼(なおすけ)が購入したという井伊家伝来の説と、直亮以降の江戸後期とする説の二つがあり、はっきりしていなかった。目録は「屏風之覚(びょうぶのおぼえ)」で、古文書の修復と判読の過程で明らかになったという。

 屏風之覚は茶道具や楽器、書画など井伊家の収集品を直亮自らが整理、作成した20冊近くある目録の一冊。縦28・5センチ、横18センチ、96ページで、所蔵する屏風120件の名称や筆者などを記しており、彦根屏風購入の経緯や値段も記されていた。

 そこには「浮世又平筆、極彩色(中略)揚屋之図」「格外之高金、初メ千両□及懸合□百参拾両ニ而取入」(□は判読不能)などとあった。筆をとったとする「浮世又平」は伝説上の風俗絵師で、真の作者は不詳。千両と高額だったのを交渉の結果「□百三十両」で購入した、と経緯を説明している。

 千両は現在の1億円に相当し、「当時の絵画としては破格の高額」(同博物館)という。彦根藩では財政難から倹約令を出したり、藩士の給与カットをしたりしている時期だが、「(藩主の小遣いである)御手元金が潤沢で、直亮にとっては清水の舞台から飛び降りるほどでもなかった」(同)という。

 「彦根屏風」と「屏風之覚」は28日から始まる特別展「コレクター大名井伊直亮」で公開される。11月27日まで。会期中無休。有料。


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