弥生後期、大溝見つかる 滋賀・栗東の下鈎遺跡
- (写真上)下鈎遺跡から見つかった弥生時代後期の溝(栗東市下鈎)。(同下)朱色に塗られた木製高杯の一部
滋賀県の栗東市教育委員会は29日、同市下鈎の下鈎遺跡から、弥生時代後期につくられたとみられる大溝が見つかったと発表した。守山市伊勢町の伊勢遺跡(国指定史跡)と区画が似ており、弥生時代の集落を知る貴重な資料としている。
下鈎遺跡はJR栗東駅の南約700メートルに位置し、過去に祭殿とみられる大型建物3棟や門状の遺構、青銅器などが見つかっている。物流施設建設のため5月から調査した。
大溝は長さ約35メートル、幅約4メートル、深さ約1・3メートル。周辺の祭場や大型建物の位置関係から、村の中心部が楕円(だえん)状に直径約250メートルの規模だと明らかになったという。
同遺跡の大型建物の区域は範囲がはっきりしていなかったが、今回の調査で東側を区切る溝が見つかり、溝を巡らせて大型建物を計画的に配置した伊勢遺跡と同じ形態を取っていたことが判明。市出土文化財センターは「両遺跡で青銅器の製造や祭祀(さいし)など、役割を分担していたのではないか」としている。
朱色に塗られた木製の高杯(たかつき)や古墳時代の円墳2基、勾玉(まがたま)や円盤など約230点の滑石製品、同市では初の鏡の模造品も発見した。当時の祭祀の様子を知る資料という。
12月3日午後2時から現地説明会を開く。問い合わせは市出土文化財センターTEL077(553)3359。
【京都新聞 2016年11月30日 11時11分 】